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第78話 大切な人

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 いつも通り黄色い声に囲まれながら登校し教室に入る愛翔たち3人。その教室には不自然に空いた席が5つ。そしてクラスの雰囲気もざわざわと落ち着きがない。
「住吉君。あなたがやったの?」
「深谷さんか。やったって、いきなり何の事だよ?」
「休んでいる5人の事よ」
「ん?それ俺は言えないな。昨日嫌がらせ行為について学校がセッティングした話し合いに出席したけど、処分なんかについては俺には決定権ないから。ただし嫌がらせをしてきたやつと一緒に学校生活を送りたいかと聞かれれば、嫌だと答えるけどね」
「そ、それが住吉君のやり方なのね」
「何が言いたいのか分からないな」
「気にいらない相手は強引に排除する。そうなんでしょ?」
「は?意味が分からないんだが」
「いくら嫌がらせをしてきてた人たちだからって、こんな風に排除するなんて」
「ならどうしろって言うんだ」
「え、話合いをして」
「ふざけんな!」
いきなり怒鳴った愛翔にクラス中が静まり返った。
「一方的に嫌がらせをしてきている奴らに話合いだ?そんな事を言うやつには昨日の学校関係者含めた話し合いの様子を教えてやるよ」
そこで愛翔が話合いの様子を聞かせると。
「で、でもあの子たちだってそんな……」
「そんなもこんなもない。あいつらは追い詰めるまでやったことを認めなかったし反省も謝罪もしなかったんだ。そんなやつらとちまちま話合いだぁ?解決するわけないだろうが。そもそも、深谷さんは何やってたんだよ?嫌がらせをしてるやつらに何か止めるようにアクションを起こしたのかよ。何もしないで第三者的な安全地帯から眺めてた人間に文句を言われる筋合いはないな」
「でも、なんでそこまでするの?」
「そんなのは簡単だ。桜も楓も俺にとって大切な人だからだ。大切な人が悲しんでいる苦しんでいる、そんな時に助けに入らないでどうするって事だ」
堂々と言い切った愛翔に呆然とする深谷だったけれど、そのほかのクラスメートたちが歓声を上げた。
「キャーッ、大切な人だって」
「うぉぉぉ、さすが言うこともワールドクラスだな」
「あたしも、あんな風に言われて守ってもらいたい」
「やっぱりプリンセスにはナイトがついているのよ」
「くそぉ、俺だって天使様や女神様を守るナイトに」
「おまえ何もしなかったじゃないか。行動した奴だけがナイトになれるんだぞ」
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