上 下
5 / 314

5話 高野ひろみ

しおりを挟む
 午前中の授業が終わり昼休みの喧騒の中、給食の配膳の終わった教室で3人は机を寄せ合い昼食を食べている。
「数学って算数とだいぶ違うね」
「でも英語よりはよくない?桜。ねぇ、愛翔もそう思うでしょ?」
「ん~、オレはどっちも別に嫌じゃないな」
「あぁ、また出た。愛翔の何でもできる奴」
「でも、数学は楓に勝てないし、英語は桜のが良いだろ」
3人とも決して学業の成績は悪くないため、ごく普通に授業の感想に花が咲く。その中でも多少の得手不得手はあるようで、全体に何でもできる愛翔、桜は英語は得意でほぼ完璧だけれど、数学はやや落ちる。楓は逆に数学は完璧で英語にやや苦手意識を持っている。そこに声を掛けてくる女生徒がひとり。
小柄で少しばかり茶色い髪をショートボブにした中1としては少し派手な印象の女の子。
「あ、あの」
「ん?えと、高野さんだっけ?」
愛翔が答えると、嬉しそうにそれでも控えめに笑顔を見せる。
「う、うん。高野ひろみ、よろしく。それでね、住吉君て全体に成績いいよね」
「ガチで良いとは口が裂けても言えないけど、まぁそれなりには?」
「その、わたし中学に上がって色々てんぱっちゃって授業内容が分からなくなっちゃってて、それで、その……」
「愛翔に勉強を教えて欲しいってことかしら」
楓がじれったそうに口を挟む。
「あ、あの。はい。住吉君お願いできないかな?」
「教えるのは別にどうってことないんだけど、なんでオレ?高野さんの仲の良い子とか他にも女子とかの方が聞きやすいんじゃないかと思うんだけど」
「えと、そのね。言い難いんだけど、あたしの仲の良いグループの子ってみんなあんまり成績よくなくて。それに私ってこんな見た目でしょ。髪だって地毛なんだけど染めてるみたいに言われて他の女の子から浮いちゃってるの。それでクラスの男の子の中で女の子と比較的話をしてる住吉君ならどうかなって思って」
ピクリと反応する愛翔。イジメ関係には敏感に反応するのは桜が過去にそれで不登校直前までなったのを見ているから。そして他の生徒に聞こえないよう声を潜めて聞く。
「まさかイジメじゃないだろうね」
愛翔の心配する言葉に
「あ、そういうのではないです。単に私が近寄りがたいらしいんです」
そういう高野ひろみに
「まぁイジメじゃないなら、これ以上は詮索しないけど。勉強だっけ」
「う、うん。お願いできませんか」
「条件がある」
ドキリとした表情で愛翔を見つめる高野。
「条件って。お金とかですか」
その答えに愛翔は顔を顰める。
「そうじゃない。簡単なことだよ。その敬語をやめること。俺と高野さんはクラスメイト。敬語を使われるのは気持ち悪い」
目を見開きパチクリとさせ、ふにゃりと笑顔を見せる高野。
「わかりま……じゃなくて。わかった。住吉君よろしくね」
「じゃぁお互いのスケジュールの合う時に勉強会をするということでいいな」
「うん、お願い。スケジュールは住吉君に合わせるよ。私は部活入ってないからいつでも大丈夫だから」
「そうか、それじゃサッカー部は水曜と土日が休みだから、テストもまだ先だしとりあえず水曜日の放課後に図書室でいいか?」
「わかった、水曜の放課後は空けとく」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

処理中です...