3 / 122
3.男女の性事情
しおりを挟む
ラブホテルのベッドに男女が並んで座っている。男は服を着ているが、女はバスタオル一枚だけを身に纏っているという煽情的な姿だ。場所と格好を考えれば、これから大人の時間が始まりそうな雰囲気があった。
俺が相手である以上、もちろんそんなことがあるはずもなく。クラスメイトであり、この世界のメインヒロインである白鳥日葵はなぜ俺を誘惑したのか、その理由を話してくれた。
「私……野坂純平くんと付き合っているの」
知っている。原作の情報だからな。
野坂純平。クラスメイトであり、白鳥日葵の幼馴染である。
原作では高校入学を機に、野坂は長年募っていた恋心を白鳥に告白した。
最初は弟のように思っていた幼馴染からの告白に、白鳥は動揺し、返事を保留にした。だが後日、大切な幼馴染の悲しむ顔を見たくないからと告白を受けて、晴れて二人は付き合うようになったのだ。
そして、順調に仲を深めていく最中、二人の仲を裂くように郷田晃生が恋人を無理やり……。まあつまり、寝取り展開ってわけだ。
野坂純平は原作主人公で、彼が好きになる女子がみんな寝取られていく。脳を破壊されそうな展開が続いていくが、俺は寝取る側として読んでいたのでとてもお世話になったものだ。
「この間ね、純平くんと初めてエッチしようとしたの」
思わず噴き出しそうになったのをなんとか耐える。女子って自分の性事情を他の男子に話しちゃうもんなのか?
いや、話を聞くと言ったのは俺だ。最初から話の腰を折るわけにもいかない。無言で続きを促した。
「それでね……。私の裸を見た純平くんが『あ、俺おっぱい大きい女の子が苦手なんだ』って言ったの」
「は?」
これから彼女とエッチしようって時に、何言ってんの純平くん?
「その日はそれでお終い。それからなんだかギクシャクしちゃって……。私の身体に魅力がなかったせいで純平くんに嫌な思いをさせてしまったの……」
白鳥は悲しみの涙を零す。俺は原作で読んだことのなかった情報に困惑していた。
とりあえず話を整理しよう。
告白したのは野坂からだ。原作を信じていいのなら、二人の仲は良好だったはずだ。
付き合っているのだからエッチする展開になるのも当然だ。しかし、いざ裸を見せると「おっぱい大きい女の子は苦手」ときた。
それから二人の関係がギクシャクして、白鳥が俺をラブホテルに誘うという展開になったわけか。……うーん、白鳥の口振りからして自分の魅力を俺で確認したかったんだろうが、ぶっ飛んだ行動にも程があるだろ。
ここで白鳥の行動については置いておこう。野坂の言動については少しピンときたものがあるしな。
「その、初めてのエッチの時だけど……。白鳥が裸になって、野坂は服を脱いだのか?」
顔が熱くなる。そういうことを平気で尋ねられる胆力は、本来なら俺は持ち合わせていないのだ。
「え? えーと……。確かパンツを穿いたままだったわ」
うん、その答えを聞いてなんとなくの想像はついた。
おそらく初エッチの時、野坂は白鳥の美しく迫力のある裸体に気後れしたのだろう。緊張しすぎてムスコが立ち上がらない。一定数の男はそういう悩みを抱えている。初めてだったならなおさらだ。
自分の情けないところを誤魔化すためなのか、野坂は心にもないことを言ってしまった。「大きいおっぱいが苦手」だなんて、自分から告白しておいて今更すぎる。
まあ気持ちがわからんでもない。可愛い女の子を前にして、男の象徴が反応しないのはショックだろう。その場をなんとか切り抜けようと見栄を張ってしまうのは、男の性みたいなものだ。
「まあ気にするなって。今はギクシャクしていても、時間が解決してくれるって。野坂が大きいおっぱいを嫌っているなんてあるはずないだろ」
そこまで想像できたものの、白鳥にそのまま伝えるのは憚られた。
いやだってさ、これを言っちゃうと野坂の男の沽券にかかわる。あくまで俺の想像でしかないし、変に伝えて余計に関係がこじれでもしたら、それこそ責任を取れない。
無難に聞き流してしまおう。話だけは聞いたし、俺の役目は終わったってことで。
「嘘っ。絶対に無理よ。時間が経っても変わらないわっ!」
白鳥はネガティブ発言を繰り返す。その顔は悲しみに暮れたままだった。
彼氏に拒絶されたのがよほど堪えたのだろう。胸の大きさというどうしようもないことを言われて、自分でも何をしていいのかわからなくなっているのかもしれない。
「郷田くんだって私のこと、魅力がないって思っているでしょう?」
「そんなこと思ってないって」
「嘘よ! ……だったら、ちゃんと見てみてよっ」
白鳥がすくっと立ち上がる。それから俺の正面でその魅力的な身体を強調させた。
バスタオル一枚という煽情的な姿が俺の眼前にさらされる。あまりに近すぎて、彼女の良い匂いが鼻腔をくすぐって仕方がない。
白鳥はかろうじてその身体を守っているバスタオルに手をかけた。
「ほわぁっ!?」
思わず変な声を出してしまった。
だって、いきなり白鳥の身体を守っていたバスタオルがはらりと落ちたから。そうすれば当然何一つ身に纏っていない姿がさらされるわけで……。俺は大事な肌色が見えるギリギリで目を閉じた。
「ちゃんと見て……。私、そんなに魅力ない?」
あまりに近すぎる声。反応して目を開ければ、白鳥の顔がすぐそこにあった。
涙を零しながら裸体をさらす美少女。あまりにも美しく、何よりエロくて目を奪われてしまった。
俺が相手である以上、もちろんそんなことがあるはずもなく。クラスメイトであり、この世界のメインヒロインである白鳥日葵はなぜ俺を誘惑したのか、その理由を話してくれた。
「私……野坂純平くんと付き合っているの」
知っている。原作の情報だからな。
野坂純平。クラスメイトであり、白鳥日葵の幼馴染である。
原作では高校入学を機に、野坂は長年募っていた恋心を白鳥に告白した。
最初は弟のように思っていた幼馴染からの告白に、白鳥は動揺し、返事を保留にした。だが後日、大切な幼馴染の悲しむ顔を見たくないからと告白を受けて、晴れて二人は付き合うようになったのだ。
そして、順調に仲を深めていく最中、二人の仲を裂くように郷田晃生が恋人を無理やり……。まあつまり、寝取り展開ってわけだ。
野坂純平は原作主人公で、彼が好きになる女子がみんな寝取られていく。脳を破壊されそうな展開が続いていくが、俺は寝取る側として読んでいたのでとてもお世話になったものだ。
「この間ね、純平くんと初めてエッチしようとしたの」
思わず噴き出しそうになったのをなんとか耐える。女子って自分の性事情を他の男子に話しちゃうもんなのか?
いや、話を聞くと言ったのは俺だ。最初から話の腰を折るわけにもいかない。無言で続きを促した。
「それでね……。私の裸を見た純平くんが『あ、俺おっぱい大きい女の子が苦手なんだ』って言ったの」
「は?」
これから彼女とエッチしようって時に、何言ってんの純平くん?
「その日はそれでお終い。それからなんだかギクシャクしちゃって……。私の身体に魅力がなかったせいで純平くんに嫌な思いをさせてしまったの……」
白鳥は悲しみの涙を零す。俺は原作で読んだことのなかった情報に困惑していた。
とりあえず話を整理しよう。
告白したのは野坂からだ。原作を信じていいのなら、二人の仲は良好だったはずだ。
付き合っているのだからエッチする展開になるのも当然だ。しかし、いざ裸を見せると「おっぱい大きい女の子は苦手」ときた。
それから二人の関係がギクシャクして、白鳥が俺をラブホテルに誘うという展開になったわけか。……うーん、白鳥の口振りからして自分の魅力を俺で確認したかったんだろうが、ぶっ飛んだ行動にも程があるだろ。
ここで白鳥の行動については置いておこう。野坂の言動については少しピンときたものがあるしな。
「その、初めてのエッチの時だけど……。白鳥が裸になって、野坂は服を脱いだのか?」
顔が熱くなる。そういうことを平気で尋ねられる胆力は、本来なら俺は持ち合わせていないのだ。
「え? えーと……。確かパンツを穿いたままだったわ」
うん、その答えを聞いてなんとなくの想像はついた。
おそらく初エッチの時、野坂は白鳥の美しく迫力のある裸体に気後れしたのだろう。緊張しすぎてムスコが立ち上がらない。一定数の男はそういう悩みを抱えている。初めてだったならなおさらだ。
自分の情けないところを誤魔化すためなのか、野坂は心にもないことを言ってしまった。「大きいおっぱいが苦手」だなんて、自分から告白しておいて今更すぎる。
まあ気持ちがわからんでもない。可愛い女の子を前にして、男の象徴が反応しないのはショックだろう。その場をなんとか切り抜けようと見栄を張ってしまうのは、男の性みたいなものだ。
「まあ気にするなって。今はギクシャクしていても、時間が解決してくれるって。野坂が大きいおっぱいを嫌っているなんてあるはずないだろ」
そこまで想像できたものの、白鳥にそのまま伝えるのは憚られた。
いやだってさ、これを言っちゃうと野坂の男の沽券にかかわる。あくまで俺の想像でしかないし、変に伝えて余計に関係がこじれでもしたら、それこそ責任を取れない。
無難に聞き流してしまおう。話だけは聞いたし、俺の役目は終わったってことで。
「嘘っ。絶対に無理よ。時間が経っても変わらないわっ!」
白鳥はネガティブ発言を繰り返す。その顔は悲しみに暮れたままだった。
彼氏に拒絶されたのがよほど堪えたのだろう。胸の大きさというどうしようもないことを言われて、自分でも何をしていいのかわからなくなっているのかもしれない。
「郷田くんだって私のこと、魅力がないって思っているでしょう?」
「そんなこと思ってないって」
「嘘よ! ……だったら、ちゃんと見てみてよっ」
白鳥がすくっと立ち上がる。それから俺の正面でその魅力的な身体を強調させた。
バスタオル一枚という煽情的な姿が俺の眼前にさらされる。あまりに近すぎて、彼女の良い匂いが鼻腔をくすぐって仕方がない。
白鳥はかろうじてその身体を守っているバスタオルに手をかけた。
「ほわぁっ!?」
思わず変な声を出してしまった。
だって、いきなり白鳥の身体を守っていたバスタオルがはらりと落ちたから。そうすれば当然何一つ身に纏っていない姿がさらされるわけで……。俺は大事な肌色が見えるギリギリで目を閉じた。
「ちゃんと見て……。私、そんなに魅力ない?」
あまりに近すぎる声。反応して目を開ければ、白鳥の顔がすぐそこにあった。
涙を零しながら裸体をさらす美少女。あまりにも美しく、何よりエロくて目を奪われてしまった。
14
お気に入りに追加
384
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
恋愛
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
悩んでいる娘を励ましたら、チアリーダーたちに愛されはじめた
上谷レイジ
恋愛
「他人は他人、自分は自分」を信条として生きている清水優汰は、幼なじみに振り回される日々を過ごしていた。
そんな時、クラスメートの頼みでチアリーディング部の高橋奈津美を励ましたことがきっかけとなり、優汰の毎日は今まで縁がなかったチアリーダーたちに愛される日々へと変わっていく。
※執筆協力、独自設定考案など:九戸政景様
高橋奈津美のキャラクターデザイン原案:アカツキ様(twitterID:aktk511)
※小説家になろう、ノベルアップ+、ハーメルン、カクヨムでも公開しています。
覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?
みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。
普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。
「そうだ、弱味を聞き出そう」
弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。
「あたしの好きな人は、マーくん……」
幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。
よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる