288 / 351
288 閑話 デート(2)
しおりを挟む#288 閑話 デート(2)
「ここがおすすめのお店です!先日の月間ポッターに紹介された流行のドレスを売っている店です。ここならクレアさんに合うドレスが見つかるはずです」
月間ポッターですか。話からするとファッション系の雑誌でしょうか。この大陸の常識には詳しくないですが、そんなのも出版されてるのですね。もしかしらたら人族の大陸よりそういう面では進んでるのかもしれませんね。
「すいません、この人に合うドレスを選んでもらえますか?」
「はい、いらっしゃいませー。お美しい方ですね。わかりました。腕によりをかけて選ばせてもらいます!」
店員さんに選ぶのを任せるのは初心者としては正しいのですが、予算を言わないのは減点ですね。私にいいところを見せたいのでしょうけど、金銭管理の出来ない人とは結婚できませんよ?
「このドレスなどはいかがでしょうか?今流行のレースの刺繍がされていますので、上に淡い色のカーディガンと合わせると良いかと思います」
「カーディガンも見せてもらえますか?」
「もちろんです、こちらの黄色のはいかがでしょうか」
「素敵ですわね。首元が寂しい気がしますが」
「それならこの首飾りはどうでしょうか?シンプルなチェーンですが、ピンポイントに宝石が埋め込まれていますので、お似合いになるかと思います」
「袖がないので手元も寂しいですね」
「腕輪などいかがでしょうか。こちらは金で作られておりまして、ドレスの色とも合うかと思います」
「パーティーに出るのにあと何がいるでしょうか?」
「ハンドバッグでしょうか。こちらの白に金のあしらいの物がドレスに合うかと思います。本当は同じ白でもこちらの方がおすすめですが、こちらは少々お値段が高くなりまして」
「あら素敵だわ。マルフォイさん、どうでしょうか?」
マルフォイさんは私のドレス姿を見て呆けています。それほど似合ってないのでしょうか。
「天使だ、、、天使が降臨した、、、」
いえ、別の世界に旅立たれているようですね。
「マルフォイさん、このドレスが気に入ったのですが、買っていただけますか?」
ちょっと胸を強調してみます。私の胸はそれほど大きくはありませんが、今のマルフォイさんには効果的でしょう。
「は!も、もちろんです!このドレスをください!」
「アクセサリーもいいかしら?」
「もちろんです!俺に任せてください!」
さっき聞いたのですが、このドレス、ドレスだけで金貨1枚するそうです。アクセサリーも合わせたら金貨3枚だとか。
マルフォイさんは金額も聞かずに買ってしまったも良かったのでしょうか。こんなに簡単に散財させられるとは思ってなかったのですが。
「では店員さん、このまま出かけたいので着ていた服は預かっていてもらえますか?明日にでも取りに来ますので」
「承知しました。お支払いはマルフォイ様の商会宛でよろしいですか?」
「ええ!アドモンド商会のマルフォイまでお願いします!
さあ、クレアさん、せっかくドレスを着たんですから馬車で移動しましょう。実はレストランを予約しています。2階の見晴らしのいい部屋ですので食事を楽しめるかと思います」
そう言って手を取ろうとしてきますが、気づかないふりをしてさっさと店を出ます。後ろでは空の手を見てションボリしたマルフォイさんがいますが、知ったことではありません。ドレスの実物を手に入れた以上、この店に用はありません。
「クレアさん、今日はコース料理を頼んでありますので楽しんでください」
「あの、私は奴隷ですのでマナーとかを知らないんですけど、、、」
「わかってます。そのための個室ですから。マナーなどは気にせず自由に楽しんでください」
それを聞いて安心しました。傭兵時代にはレストランなんて用がなかったですからね。最近はジン様の付き添いで良い物を食べさせてもらっていますが、本来なら残り物を食べれればいい方です。
「食前酒はいかがしましょうか?」
店員さんがオーダーを取りにきました。
「一番美味しいものを」
「かしこまりました」
マルフォイさんは見栄を張っているようですね。お酒なんて一杯で金貨とかかかるものも珍しくないのに一番美味しいものだなんて。それとも事前に指定してあるのでしょうか?
「ここのレストランは月間ポッターで紹介されていた店で、美味しいワインを出すので有名なんです。貴族の方もお忍びで来られるとか。この部屋はそのための部屋だと聞いています」
月間ポッターはファッション系だと思ったのですが、グルメもあるようです。
「ご馳走様です」
「食事は楽しんでいただけましたか?」
「ええ、満足ですわ。特にワインが美味しかったですわ。もういっぱいいただいても良いかしら?」
「もちろんです。もう一本頼みましょう。さあ、どうぞ飲んでください」
食事の最中から思ってましたが、やたらとお酒を勧めてきますね。これは酔いつぶそうとしているのでしょうか。私はこう見えて結構お酒には強いですよ。
うん、高いワインなんでしょうね。ワインの値段はわかりませんが、これだけ飲みやすいワインです。結構高いんじゃないでしょうか。ツケにするんでしょうけど、後で払いが大変ですよ。
「クレアさん!その、隣の宿に部屋が取ってあるのですが。。。」
なるほど、そういうつもりでしたか。最初のデートで物にしようなんてせっかちですね。私はジン様に処女を捧げる覚悟で奴隷になったのです。他の方にはあげませんよ?
「ごめんなさい。今日は帰らないといけませんの。他の方にもマルフォイさんの素晴らしさを聞かせてあげたいですわ」
「そ、そうですか。いえ、それは明日でもいいのは?!せっかくいいワインを飲んでいい気分なんです。ぜひ泊まっていきましょう」
だんだん露骨になりますね。
これは非常手段を使った方がいいでしょうか。
「わかりました。ではちょっと化粧直しに行ってきますね」
「おお、分かってもらえましたか!ええ、化粧直しですね。行ってらっしゃい」
喜んでますね。そんなに女に飢えてるんでしょうか。
私は部屋を出てトイレに、向かわずに出口に向かいます。
「お帰りでしょうか?」
「ええ、狼さんに襲われそうなので大人しく家に帰りますわ」
「そうですか。本日はありがとうございました」
そう言って店員さんが送り出してくれました。あとは店員さんがうまくやってくれるでしょう。
0
お気に入りに追加
770
あなたにおすすめの小説

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果
ひむよ
ファンタジー
全てが平均的な少年、山田 涼太。
その少年は努力してもしなくても、何をしても平均的だった。そして少年は中学2年生の時に努力することをやめた。
そのまま成長していき、高校2年生になったとき、あることが起こり少年は全てが異常へと変わった。
それは───異世界召喚だ。
異世界に召喚されたことによって少年は、自分のステータスを確認できるようになった。すぐに確認してみるとその他の欄に平均的1と平均的2というものがあり、それは0歳の時に入手していた!
少年は名前からして自分が平均的なのはこれのせいだと確信した。
だが全てが平均的と言うのは、異世界ではチートだったのだ。
これは平均的で異常な少年が自由に異世界を楽しみ、無双する話である。
hotランキング1位にのりました!
ファンタジーランキングの24hポイントで1位にのりました!
人気ランキングの24hポイントで 3位にのりました!

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる