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246 ゴブリンアーチャー
しおりを挟む#246 ゴブリンアーチャー
なぜかこのダンジョンでは地図が出回ってない。
探索者ギルドでも確認したが、売ってないそうだ。
人間の大陸でも5層までしか地図が売ってなかったが、同じ理由らしい。地図を頼りに最短経路で下層に降りて死ぬ探索者が多いとか。
どこの世界でも無謀な人は多いみたいだね。
自前でマッピングしながら1層を探索していると、この1層では普通のゴブリンが出ないようだ。最低でもゴブリンエリート、それも複数で現れる。
なるほど、20層で上級者なわけだ。
問題は稼げるのかどうかだ。
金には困ってないが、一般の探索者は低階層でも稼げないと、ダンジョン都市は成り立たないはずだ。
おや、このゴブリン、角があるな。短いけど人間大陸では見かけなかった特徴だ。とりあえず採取しておくか。
根っこから抉り出すように取り出そうとすると、どうやら角は頭蓋骨とつながっているらしい。いや、考えてみれば当然なんだけど、なんとなくドロップ品の印象が強かったのか、頭蓋骨とは別物という意識があった。
頭蓋骨ごと持っていくべきか?いや、そんな事してたらバッグが大変なことになる。ここは根本からおる形で持って帰ることにしよう。
やっと階段が見つかった。1層で半日も費やしてしまった。
なんせ、このダンジョン結構広いのだ。それに結構な頻度で魔物と遭遇する。これで1層だとこの後どのくらい大変か想像がつかない。
「マリア、クレア、結構広いのはわかったと思うけど、帰りの時間も必要だから、今回は2層を攻略して終わろう。採取した物の価格も知りたいしな」
「わかりました」
「了解です」
さて、2層は何が出るかな。
2層にはゴブリンの亜種、と言ってもアーチャーやマジシャンが出る程度だが。
これが結構厄介で、前衛にゴブリンエリート、後衛にマジシャンやアーチャーがいると、好きに攻撃されてしまう。
マリアが後衛に直接向かおうとするが、エリートは結構素早く道を潰してくる。
俺が魔法で蹴散らしてもいいのだが、それではこの後の階層を生き抜けないだろう。
二人はどうするかな?
二人の判断を興味深く見ていると、二人は一直線上にならないように注意しながら、壁際を抜けるのを狙っているようだ。
壁際だと挟まれる心配はないからね。
だけど、二人だと中央のエリートを抑えれない。つまり、エリートも壁際に寄ってきて道が塞がれてしまうのだ。
仕方ないので俺が中央を受け持って時間稼ぎをする。
なんとかクレアが横を抜けて後衛に攻撃する。アーチャーは最初の一撃で弓を弾き飛ばし、マジシャンは杖を落とさせる。
もちろんマジシャンは杖がなくても魔法が使えるはずだが、杖を拾おうとあたふたしている。
そんな隙を見逃すはずもなく、後衛はさくっと片付いた。
そうなると、エリートは前後で挟まれて攻撃を受けるわけで、これもまたさくっと片付いた。後衛がいないエリートなら問題ないからね。
だけど、毎回無傷という訳にもいかない。後衛に向かうまでに何回かは魔法や矢が飛んでくるのだから。
最初慣れるまでは俺が魔法で防いでいたが、エリートの脇を抜ける方法を確立してからは援護なしでやってみた。
結果、矢は問題なかったが、魔法は何度か命中した。
魔力の循環をさせているので被害は少なかったが、何箇所か火傷がある。神聖魔法で治してやるのだが、クレアもマリアも魔法も避けると言って憚らない。
魔法は防ぐ物で避ける物じゃないと思うんだが。
下級の魔法なら避けれるかもしれないが、中級以降は大抵が狭いが範囲魔法になる。ファンタジーでよくあるファイアーボールのような魔法は、本人が直撃を回避しても近くに着弾すれば火の粉は飛んでくるのだ。
俺は<風魔法>以外は滅多に使わないが、<火魔法>とかはその傾向が強い。
二人とも簡単な障壁でも張れれば安全になるんだが。これは戻ってから特訓かな?
障壁はいわゆるウォール系魔法と純粋な魔力を展開する物の2種類がある。ウォール系魔法は単純にその属性の壁を作る物だ。ただ、これは属性によっては意味をなさない物も多い。
例えば<火魔法>で壁を作ったとする。そうすると確かに火の壁が出来るのだが、矢は通るし、魔法も<水魔法>の威力が削がれるくらいで通ってくる。
もちろん強力な火の壁なら矢が通り切るまでに燃やし尽くせるのだが、そんなのは上級者だけだ。
それに二人は属性魔法が使えない。まあ、じゃあなんで候補にあげたのかと言うと、ただ説明のついでだ。
なので、二人が覚えれるのは魔力を直接放出するタイプだ。
これは魔力が放出できれば誰にでも使える。ファンタジーの種類によっては無魔法と分類されている物もある。無の属性というのがよく分からないが、要は魔力を持ってさえいれば使える技術だ。魔法と言っていいのかさえ分からない。
魔力の壁なので、物理的な攻撃は威力が半減するし、矢なんて軽い武器は突き破れずに落ちてしまう。魔力での壁なので、敵の魔法に干渉して威力を下げたり、魔力の差によっては完全に防いでしまったりする。
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