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アルテミス

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203 獣人の神様

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#203 獣人の神様

 調査の結果を獣人達に報告すると、ならば自分たちが迎えに行こうと言ってきた。

「我々を長年苦しめてきた奴隷狩りだ。犯人は引き渡してもらいたい。
 本国で正式な尋問の後、我らの流儀で処刑したいと思う。
 この国で処罰されても本国の民達は納得しないのでな。

 それと聖女殿にも同行願いたい。
 これは今回の事とは別件だ。我々の国は戦神様を信仰しているが、女神イシュタルの事も奉じている。神官や巫女達がこぞって会いたがるだろう。
 無理にとは言わないが、ぜひ一度訪れてほしい」

「訪問については、イングリッド教国、女神イシュタルを奉じている宗教国ですが、その加減もありますので、今すぐというわけにはまりません。本国と相談して上で返事させていただきたいと思います」

「うむ。それで結構だ。それでは我々も南に向かうとしよう」


 帝国の陣地で報告すると、ヤパンニに駐留しているザパンニの部隊と連絡を取るという。
 ヤパンニに部隊に連絡を取るには、一度帝都カズンを経由し、王都ザパンに中継を頼み、ヤパンニに連絡することになる。
 鳩便とはいえ、結構時間がかかる。

 俺たちは唯一信じられる人間として、獣人の船に乗り込むことになった。
 ヤパンニに到着した時に軋轢が生まれない様にだ。
 獣人は俺たちが思っていたほど好戦的ではなく、あくまで奴隷狩りを中止させ、罪人を裁きたいというスタンスだ。あった事からすると、実に穏便だ。


 船の中で、巫女アンリ様と話す機会があった。

「獣人族の方は全員が戦神様を信仰されているのですか?」

「いいえ、女神様を信仰しているものもいれば、創造神様を信仰しているものもおります。種族単位で違うという感じでしょうか。アレックス様は戦神様を信仰されていますので、私を連れてきましたが、他の方なら他の巫女を連れてきたでしょう」

「巫女様を連れてくるのに何か理由があるのですか?」

「なにぶん、船での遠出は初めてのことですので、神の加護を得るために同行しました。私は<神託>はいただけませんので、遠慮したんですが、どうしてもと言われて」

「なるほど。<神託>を持たれている方もいらっしゃるんですか?」

「はい。本神殿の巫女様が<神託>を受けられるそうです。私たち通常の巫女はその神性を感じれるだけです。その能力で聖女様を判断させていただきました」

「ほう、神性ですか。やはり、雰囲気の様なものが違うのでしょうか」

「そうですね。神の残り香というか、そう言うものを感じると思っていただければ」

「戦神様からの<神託>にはどう言うものがあるのですか?」

「そうですね。基本は争いごとに関してでしょうか。ただ、ここ数百年ほどは戦争も起きておらず、<神託>も無いと聞いています」

「平和なのはいいことですね。奴隷狩りに関しては<神託>はなかったのでしょうか?」

「特になかった様です。戦神様は戦いの神ですので、権能の範囲外だと言われています」

「なるほど。女神イシュタル様に関してはどう言う扱いになっているのですか?」

「創造神様の眷属として敬われていいます。過去に<神託>持ちが生まれたと言う伝承は残っていませんので、この大陸で生まれていたんでしょうね」

 なるほど。世界全体で聖女は一人と。そうなると、他の神の巫女もいそうなもんだが。

「神様には他にどういった方がおられるのでしょうか?人間に伝わる伝承では創造神様、女神様、戦神様、恋愛神様、大地神様などが信仰されているのですが」

「それらの神様は獣人の間でも信仰されています。他にと言うと、魔法神様や商売神様でしょうか。いずれも<神託>スキルを持ったものは生まれておりません」

 人間には女神様、獣人には戦神様か。魔族にはどう言う神が信仰されてるんだろうね。結構興味がある。

「では、私からも質問させていただきますが、女神様はどういった<神託>をくださるのでしょうか」

「それに関しては本人から聞いたほうがいいですね。

 セルジュ様!

 アンリ様が女神様からの<神託>について聞きたいそうです」

「そうですね、女神様からは不作の年に<神託>があったり、戦争の起きる時に<神託>があったりします。人間にとって害となる事に事前に警告してくださる感じでしょうか。私も<神託>を得たのは過去に5回だけです。
 <神託>は神からの祝福だと言われており、絶対だと言われております」

「獣人族でもそうですね。<神託>に間違いがあったことはありません」

 獣人も同じ神を奉じているなら問題は起きないだろう。
 奴隷狩りの件が落ち着いたら、再度獣人の大陸を訪問してもいいかもしれない。
 セルジュ様を誘うくらいだから、無下にもされないだろう。

 そう思ったら、途端に楽しみになってきた。
 獣人大陸があったのだから、魔族の大陸もあってもおかしく無い。
 船をしつらえて、西に行ってみようか?いや、どのくらい遠いかも分からないのにそんな危険は犯せない。
 獣人大陸は思ったより近かったし、魔族の大陸も近くにあるかもね。


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