スキルを極めろ!

アルテミス

文字の大きさ
上 下
196 / 351

196 バンダナ

しおりを挟む

#196 バンダナ

1週間ほどは王宮でゆっくりと過ごさせてもらった。

流石にそろそろギルドの依頼を受けないとまずいだろう。
マリアを誘ってギルドに向かった。

「アイリスさん、依頼を受けに来ました。何かありますか?」

「ジンさん、Sランクではありませんが、Aランク依頼がいくつかあります。一つが、Sランク冒険者ラノスの生存確認です。正確には死亡確認ですね。魔の森での捜索になりますので、Aランクで発行されています。
Sランクとなると、生存しているかの確認も重要ですので」

「その割には俺の死亡は簡単に信じられたようですが?」

「国からの公布でしたので。それに他国の、それも辺境ですので、調査を出すのも難しかったのです」

国からの公布は信頼性が高いらしい。俺からするといい加減にしか見えないが。アズール帝国からはどんな報告を受けたのやら。トップ同士は交流もあるようだし、生々しい話がされていると思うんだが。

俺がSランクのままだとまずい事でもあった?
いや、それなら俺を復活させる理由がない。

情報が錯綜した?
あり得る。リリア達の証言しかないのだから、魔法陣でどこかに飛ばされたと考えるのが順当だろう。その上で<転移>が使える俺が帰ってこないなら死んだとみなすと。ありそうだ。

そうなると、北の山脈で一年迷子になっていたと言うのは、嘘がバレバレだったかな?
まあ、信じてなくても、それで収めてくれるならいいか。


「それで、ラノスとやらはいつ頃どの辺で死んだのですか?」

「はい、中級ダンジョンフレイアから西に向かったそうです。魔の森から逃げてきたパーティメンバーもフレイアで報告して、そのままフレイアで亡くなっています」

「時期は?」

「報告が届いたのが1週間ほど前です。魔の森には入ってから5日程度進んだとか。一人でも帰ってこれたのが奇跡ですね」

魔の森を5日も進んだら、結構な強さの敵が出ただろうに。なんで帰ろうって思わなかったのかな?

「今から行くと、死んでから一月くらいですか。死体が残っているとは思えませんが?」

「はい。ぶっちゃけると、調査を行なったと言う事実が必要なので、結果は問いません。フレイアから魔の森を5日の場所を調査、期間不問、報酬は金貨50枚です」

「まあ、いいでしょう。久しぶりに魔の森に行きますか。マリア、お前は魔の森は無理だ。王宮で待っていてくれ」

「お待ちください。フレイアまでお伴します。道中の食事はお任せください」

「そうか、なら頼む」


俺たちはラールサック領への乗合馬車に乗り、途中で降ろしてもらった。ここから1日で中級ダンジョンのあるフレイアだ。以前一度だけ来たことがあるが、クレアが<身体強化>すら出来なかったので、探索を諦めた場所だ。


フレイアに着いて、魔の森で必要そうな物を買っていると、服屋で隅っこの方を気にしているのを見つけた。何か欲しいものがあったのだろうか?

マリアは欲しいものがあってもなかなか言わないので、こちらで気づいてやらないと、欲しい物を諦めてしまう。

「マリア、何か気になる物があるのか?」

「あ、あの、あのバンダナが素敵で。。。」

どれどれ。むう、いろいろあって、どれか分からないな。

「どれだ?」

「あ、あの、これです」

明るい赤色に黄色で簡単な刺繍が入っている。髪の赤茶に合わせたんだろうか。

「これがいいのか?他のを見てもいいだぞ?」

「それでは、少し失礼します」

マリアはバンダナを選び出した。普段買いたいと言いださないマリアが欲しいと言うのだ、多少高くても買ってやりたい。
マリアはいろんなバンダナを一つ一つ真剣に選んでいる。別に二つ欲しいならそれでもいいんだよ?バンダナくらい安いものだ。

マリアは最後に3つ残して悩んでいるようだ。普段使いにする用なら3つは多いか。ゆっくり悩んでもらおう。

「あ、あの、これよろしいでしょうか?」

結局最初に見た赤いのにしたようだ。

「ああ、構わないぞ。一つでいいのか?」

「はい!」

俺は予備の服と一緒に購入した。
マリアは早速つける気らしく、髪をまとめ始めた。うん?髪留めに使うのか?てっきり額に巻くのかと思っていたが。マリアは髪を紐で縛ると、その上からバンダナを巻いた。落ちないだろうな?どうやら髪をしばった紐でバンダナもくくるらしい。

赤茶の髪に明るい赤が映えてなかなか綺麗だ。個人的には髪をまとめるならもうちょっと長いほうがいいとは思うが。これ以上髪が長いと戦闘にも差し支え出るだろうし、言わないけど。言ったら絶対に伸ばすのがわかってる。


雑貨屋に行った時にも、マリアはあるものに視線がいっていた。匂い袋のようだ。冒険に差し支えるから流石にダメですよ?いや、普段使いならいいのか?

「なんだ、匂い袋がいいのか?」

「い、いえ、冒険の妨げになるので結構です」

マリアが遠慮しだした。まあ妨げになるのは確かなので勧めはしないが、王都に戻ったら買ってやろう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でスローライフとか無理だから!

まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが! 信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。 ○○○○○○○○○○ ※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。 閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)

土岡太郎
ファンタジー
 自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。 死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。 *10/17  第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。 *R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。  あと少しパロディもあります。  小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。 YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。 良ければ、視聴してみてください。 【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮) https://youtu.be/cWCv2HSzbgU それに伴って、プロローグから修正をはじめました。 ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

処理中です...