117 / 351
117 温泉 (1)
しおりを挟む#117 温泉 (1)
メアリーとリリアが夏休みに入った。
俺たちは話していた通り、温泉に行くことになっている。
オーユゴック家の馬車は5人では乗れないので、大型の馬車を借りている。2頭立てだ。
片道2週間ということで、馬用の飼料も大量に天板にのせてある。馬は大量に飼料を消費するのだ。
俺たちの日常品はマジックバッグの中だ。
メアリーもリリアもマジックバッグは当然の様に持っている。
クレアだけ持ってなかったので、俺が<アイテムボックス>隠匿のために使っていたのを与えた。
全員がマジックバッグを持っているはずなのに、メアリーとリリアは別途トランクを積み込んでいた。マジックバッグに入りきらなかったらしい。一体どれだけ持っていくつもりやら。
もともと、<インベントリ>の隠匿のために<アイテムボックス>を使う予定だったしね。思ったより<アイテムボックス>の希少性が高かったのでマジックバッグでの隠匿に切り替えていたが。
<転移>もばれたし、<アイテムボックス>もそれほど隠す必要性も感じてないし。<インベントリ>が隠せればそれでいい。
とりあえず、半日で山裾といえる場所まで来たが、これから山を迂回するための道を通っていくという。俺たちなら、歩きでも3-4日で超えれるんじゃね?
まあ、旅というのは過程も大事だ。
山を迂回するルートを通って走っていくと、右に山、左に森がある。この森は西に行くと、魔の森につながっているらしい。オーユゴック領の北東にあたる。
途中でオークが出たが、瞬殺して、美味しくいただきました。最近オークを食べるのに抵抗がなくなってきた。この世界に染まってきたのかね。
10日ほどで最初の村に到着した。ここからはアズール帝国領だ。
村で温泉街のことを聞いたら、東に2日くらいのところにあるらしい。
ただ、街道が通ってないとかで、一度北上し、東南に戻る形になる。
北上したところには小さな砦があるらしく、そこでUターンすればいいらしい。
俺たちは言われたまま北へ進むと、夕方には砦についた。
砦なので、軍事施設で、入れないものだと思っていたが、普通に街だった。ただ、壁が5メートル近くある。
入り口で冒険者カードを提出しているときに聞くと、南の山脈に住み着いたワイバーンが襲ってくることがあるらしい。巣を作るのはザパンニ王国側なのだが、こちらにも被害が出ているそうだ。それ以外はそれほど危険な場所でもないらしい。
ここでも温泉街の事を聞いてみたが、評判はいいらしい。その分値段も高く、貴族か大商人くらいしかいけないとか。
一晩街で過ごし、翌日温泉街に向かった。特に問題なく夕方にはついた。そこかしこから湯気が出ており、温泉という感じがする。さらには硫黄の匂いもいい。他の4人は腐ったような匂いと言って、顔をしかめていた。
まあ、よく卵の腐った匂いと言われてたからな。
なんにせよ、宿を決めないといけない。入り口で警備の人に聞くと、高くて構わないなら、一番南にある高級宿が一番らしい。南から順番にいい湯を使っているので、北側になると、お湯が温かったりするらしい。
俺たちは金には困ってないので、一番という宿に向かった。
「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」
「はい。5人お願いします」
「部屋は一人部屋が一つと、二人部屋が二つになります。お一人様大銀貨3枚となっております」
さすが高級旅館。一人30万とか、どこかのホテルのスィートに泊まれる金額だ。
「温泉は二十四時間いつでもお入りになれます。男女別になってますので、ご注意ください。覗きなどは普通に違法です。兵士に連れて行かれますので、お気をつけください。
こちらが部屋の鍵となります。お食事はもう少ししたらご用意いたしますので、先に温泉をいかがでしょうか。当店の温泉は源泉掛け流しです。自信を持ってお勧めします」
いや、覗きなんてしないよ?見ようと思えば、言えば見せてくれるだろうし。
ただ、シチュエーション的には覗きもありだ。やらないけど。
うん、やっぱりまずは温泉だよな。
部屋に入ると、浴衣の代わりにTシャツを膝まで伸ばしたような服が置いてあった。腰でしばれるようになっている。透けないように厚手だ。手ぬぐいとバスタオルもセットで置いてある。高いお金を取るだけのことはある。
俺は着替えて、手ぬぐいとバスタオルを持って、風呂に向かった。
男湯と書かれたドアを開けると、脱衣所があり、その奥に温泉が広がっていた。そこは泳げるんじゃないかというくらい広い。団体で来てもゆっくり入れそうだ。
入って左側に木でできた柵があり、その向こうが女湯らしい。ちょっとジャンプしたら見れそうだ。見ないけど。
俺は洗い場で体を洗ってからゆっくりと温泉に浸かる。源泉掛け流しと言うだけあって、硫黄の匂いが充満し、湯の温度も高い。湯の花も浮いていた。温泉は傷に良かったり、美容に良かったりと言われるけど、異世界だし、本当に効果があるかもしれないね。
今日は他に誰もいない。独り占めだ。なんか、こう、リッチな気分になってくるね。
0
お気に入りに追加
759
あなたにおすすめの小説
異世界でスローライフとか無理だから!
まる
ファンタジー
突如青白い光に包まれ目を開ければ、目の前には邪神崇拝者(見た目で勝手に判断)の群れが!
信用できそうもない場所から飛び出していざ行かん見慣れぬ世界へ。
○○○○○○○○○○
※ふんわり設定。誤字脱字、表現の未熟さが目につきます。
閲覧、しおり、お気に入り登録ありがとうございます!
異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる