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102 Fランクはキツイ、汚い、安い
しおりを挟む#102 Fランクはキツイ、汚い、安い
俺が転移してきてから約一年が経つ。
正確な日付はわからないが、多分、昨年の11月だったと思う。
思えば遠いところに来たものだ、とはいうが、本当に遠いところに来た。
神様と会って、リリア様と会って、メアリー殿下と会って。もちろん、クレアとマリアの奴隷を買ったのも良い思い出だ。
メアリー殿下、いや、メアリーも冒険者登録をして、Fランクの仕事を受けている。
俺と一緒にやれば、簡単にCランクくらいまで上げれるのだが、いつまでもお姫様気分では困るので、Fランクの依頼を受けさせている。
俺?俺はいろいろだ。
<調合><鍛治><彫金>などだ。生産系と呼ばれるスキルだな。
<彫金>に関しては、センスの無さが随所に見られるものの、買ってきたものと同じものを作ってみたりして、スキルを上げている。もちろん、買ってきたものほどいいものは作れない。レベルだけでいえば、俺の方が高いと思うんだけど。
ちなみにそれぞれのスキルレベルは以下の通りだ。
<調合>lv7
<鍛治>lv7
<彫金>lv4
下手なりにやっていると、レベルだけなら上がるようだ。だけど、レベルだけでは良いものはできないらしい。
調合などはレシピ通りにやれば、同じものが作れるが、鍛治や彫金には本人のセンスが問われる。
みすぼらしいがよく切れる剣とか、無駄に凝っているがよくわからないオブジェとか。使うもの以外は鋳つぶして再利用している。
材料はメアリーを助けた秘薬の報酬として、ミスリルと金、銀をもらったので、それを使っている。
俺はドワーフに作ってもらった、ミスリルを混ぜた剣がダメになったので、自分で作ったミスリルの剣を使っている。切れ味は良いのだが、見た目が良くない。
数打ちの剣の方が見た目が良いのではないだろうか?
クレアにも大剣を作ってあげた。当然ミスリルだ。受け取った時は微妙な顔をされたが、使ってくれてるし、気に入ってくれたんだろう。
マリアには短剣だ。もちろんミスリルだ。「こんな高価なもの受け取れません」といつものやり取りがあったが、他に短剣を使うものがいないので、持たせている。
リリア様にはミスリルの剣を。俺のとお揃いだ。
メアリーにも何かと考えたんだけど、今使っている杖がいいものなので、それ以上のものが作れない俺からは、何もあげれなかった。杖って鍛治だろうか?
他に、防具として、全員分のマントを作った。フードのあるタイプだ。
以前討伐したドラゴンの皮を使ったものだ。ドラゴンの皮とは、鱗の裏にある皮膚の部分のことだ。
一般に売りに出されているマントを購入して、糸をばらして、型紙をとり、ドラゴンの皮で作ったのだ。針が通らなかったので、穴を開けてから糸で留めた。
風竜だとどんな効果が付くのか楽しみにしていたら、気温の調節機能だった。効果とは正式な名称ではないが、高位の素材で作った時に、自動的に付いている機能のことだ。
チンピラの剣くらいなら、マントで受けても十分防げる。Cランク程度なら、剣で切られても打撲は受けるかもしれないが、切り裂かれることはないはずだ。
さて、メアリーだが、Fランクのキツイ、汚い、安いの依頼に嫌気がさしたのか、学院をサボって依頼を受けまくり、わずか一月でCランクまで上がった。Dランクに上がってからは、クレアやマリアとも一緒に依頼を受けていたようだ。受けたのは冒険者であるメアリーだけなので、クレアとマリアは手伝いだ。
俺?俺が受けたのは、薬草採取だ。
初期に受けた依頼のリベンジだ。
わざわざロービスまで出向いて依頼を受け、西の魔の森まで足を運んだ。
当時、『依頼の後に』説明された通り、森から北に少し行ったところで、森に入ると、沼地があり、薬草が大量に生えていた。
当時の俺は貧乏(神様貯金除く)だったので、これだけの薬草が採取できていたら、生活が楽だっただろう。
というか、生活よりも、精神的にもっと楽だったと思う。依頼の失敗に近い結果だったので、結構凹んでいたのだ。
何にせよ、メアリーがCランクになった事で、旅の準備は完了だ。あとは出発の時期だが、予定は一年半後だ。結構あとだ。
なのになんでメアリーのランク上げを急がせたかったかって?別に急がせてないよ?
ただ単に、メアリーが「つまらない仕事が嫌だから、早くランクを上げてCランクになりますわ!」と言って急いだだけだ。
学院休んでたけど、授業大丈夫かな?
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