チート幼女とSSSランク冒険者

第漆拾肆話 ヴァスカトール領に到着

　九時頃にナイザックの街を出て、昼前にはヴァスカトール領の領都レオヴァスに入り、もうすぐヴァスカトール公爵家の屋敷に到着する。

　領都は、レオヴァスという。
　領主で初代ヴァスカトール公爵家の当主だった、レオ・フォン・ヴァスカトール公爵の名前を略して名付け感じなのかな。

「お父様。領都名は、初代当主様の名前を縮めて名付けられたのですか？」

「そうだよ。ヴァスカトール領は、初代様が公爵になる前は、他領だったり、未開の土地だったりしたのだが、初代様が開拓されて、領土が広くなり、公爵なって、家名をヴァスカビルからヴァスカトールに改めて、領土が広くなり領都を現在のところに移された際に領都名を決めることになり、民たちから領主の名のレオと家名ヴァスカトールのヴァスをくっつけたレオヴァスがいいという声が多く、名付けられたらしい。初代様がそれだけ領民から慕われていたということだろうな。」
「私は違うが、レオンのようにヴァスカトール公爵家では、初代様のように領民から慕われ、国からの信頼の厚い初代様の名にあやかった名前を子供に付けられることが多いんだ。」
「まあ、レオンは今のところ当主になる気もなく、冒険者をやっているがな……」

　お父様は、領都名が名付けられた理由やヴァスカトール公爵家の子供の名付けについて教えてくれたが、レオン兄さんの話になってからレオン兄さんを見ながら苦笑いを浮かべていた。

「……」

　レオン兄さんは、何も言わなかったが、顔をひきつらせながら苦笑いを浮かべていた。

「はい。お父様、まだ当主を引退されるようなお年ではないですし、私もレオン兄さんやクランメンバーと一緒に色々な場所に行ったりと冒険者を続けたいですが、私もレオン兄さんは領民や使用人さんたちから慕われるいい当主になると思うので、その際には協力させていただきます。」

　私は、笑顔でそう言った。
　レオン兄さんは、強いだけでなく、優しいところもちゃんとあるし、色々としっかり考えているからいい当主になると思うんだよね。
　私に対して、過保護過ぎるところはあるけどね……

「しばらくはこのままで、時期をみて、ノリス兄様とカール兄様にも協力してもらって、当主の仕事もやりながら冒険者を続けさせて、領地経営をやってもらいお父様の引退と共に冒険者を休業してもらい当主に専念してもらうというのはどうですか？」

　私は、お父様に一つの案を提示してみた。
　レオン兄さんなら冒険者を続けながら当主の仕事もこなしていけると思うんだよね。
　今は、冒険者としての気持ちが大きいから冒険者業を優先しているけど、ノリス兄様とカール兄様に協力してもらえれば、うまく行く気がする。
　完全に冒険者を引退して辞めてしまわない理由は、レオン兄さんの力が必要になることがあるかもしれない時があるかもしれないからだ。

「おお、アオイ。それはいい考えだな。」

「流石、アオイちゃんね。あなた、アオイちゃんの案でいきましょう。しばらくはあなたに頑張ってもらって、事務方のノリスに補佐としての役割を今以上にしっかり叩き込んでやれば、うまく行きそうだわ。カールはレオン寄りで、ノリスと一緒に補佐としているけど、事務仕事より剣や槍が得意で、空き時間に私兵の団長や兵士たちと体を動かしり、たまに王都に行き、騎士団長に稽古してもらってますからね。騎士団長から聞きましたけど筋がいいらしいので、レオンが少しでも当主の仕事をしてくれるようになれば、願いどおり騎士団に入隊出きるわね。」

　そんなこと話をしていると屋敷に到着し、ノリス兄様、カール兄様、使用人さんたちに出迎えられ、私たちは、屋敷の中に入った。