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第陸拾弐話 レシピを教えに王城へ

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 私は、国王陛下から頼まれていたので、王城に向かおうとしている。

「レオン兄さん、王都内では公表がされたので、一人で大丈夫です。」

「いいやダメだ。一人では行かせられない。」

「でもレオン兄さんは、今日はヒューイットさんたちと一緒に依頼を受けてましたよね。」

「そうだが……では、城に行くのは明日にしたらいい。今日は俺たちと一緒に依頼を受ければいい。」

 それは、無理でしょう。国王陛下との約束ですし、料理長さんも仕事があるのにわざわざ時間作ってもらったんだら、そんなことできるわけがない。

「いいや無理です。今日行くと約束してしまってますから迷惑がかかりますから」

「しかしな……」

「レオンよ。いい加減にしたら、アオイちゃんなら大丈夫よ。法で守られているし、アオイちゃんも自分を守るだけの力はあるんだからさ。過保護すぎるのよ。」

「そうだよ。ミーナの言うとおりだそ。そろそろ行かないと依頼人との待ち合わせに遅れてしまうぞ。今回は諦めろレオン。」

「そうですよレオン兄さん。依頼人さんを待たせては冒険者失格です。」

「わかった。今回は諦め、一人で行くのを許すが、十分に気をつけるのだぞ。」

「うん。わかったよレオン兄さん。」

 やっと一人で行くのを許してもらえたよ。
 四歳児だからといって、レオン兄さんは、過保護がすぎるんだよね。
 屋敷内でも外出時でも事あるごとに抱っこしようとしてくるので、このままじゃ私、食事もしっかり食べているから運動不足でブクブク太って、肥満児になっちゃうよ。
 前世の私は、いくら食べても太らない体質だったけど、今の体もそうとはかぎらないんだからもし太ったら嫌だよ。
 それにいくらスキルがあったとしても冒険者活動に支障がでるかもしれないしね。

「じゃあ、許可もらったから私、王城に行ってくるね。皆も依頼頑張ってね。いってきます。」

 レオン兄さんたちに手を振りながら玄関を出た。

「イタタタタ……」

 レオン兄さんたちの方を振り向きながら手を振って歩いていたので、転んでしまった。
 ヤバい、こんなことではレオン兄さんの過保護が更に加速してしまう。
 転んだことによって付いた汚れを払いながら大丈夫アピールをしたがレオン兄さんが駆け寄ってきた。

「大丈夫かアオイ。」

「うん。大丈夫だよ。ケガもないから安心して」

「そうか。しっかり前を向いて歩かなければダメだぞ。」

「わかった。心配させてごめんなさい。」

「わかればいいんだ。じゃあ、気をつけて行くんだぞ。もう転ぶんじゃないぞ。」

「うん。」

 今度は、歩きながらではなく、立ち止まって手を振ってから改めて歩き始め王城に着いた。

「止まりなさい。どのようなご用ですか。」

「すみません。アオイ・フォン・ヴァスカトールですけど約束があり、王城に入りたいのですが、入れてもらえませんか。」

「失礼しました。アオイ様ですね。国王陛下から聞いております。人を呼んで参りますので、しばらくお待ちください。」

 来た理由を説明すると門番さんの一人が城内に人を呼びに向かった。

「アオイちゃん。いらっしゃい。」

「!!」

 まさか出迎えに王妃様が来るとは……普通あり得ないよ。

「アオイちゃん。いらっしゃいです。」

「王妃様、アルカちゃん。今日はよろしくお願いします。」

 王女様をちゃんづけでよんじゃったけど、王妃様も門番さんも気にしてないみたいだから大丈夫だよね。
 アルカちゃんは、今日もニコニコ笑顔でかわええなあ~

「アオイちゃん。教えてもらうのはお城の料理長なんだから、よろしくはこっちのセリフだよ。」

「そうね。アルカの言うとおりね。」

 そうして、城内の厨房まで王妃様とアルカちゃんに案内してもらった。
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