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第伍拾参話 転移魔法の対策

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 私がアイラたちと話していると執務室からケインさんがやってきました。

「アオイ、ハク、ジーク、一緒に来てくれ。話がある。」

「わかりました。」

「わかった。」

「了解。」

 私とハクさん、ジークさんは、ケインさんに呼ばれ、執務室に向かい話し合いが始まりました。

「これから話すことは、今は、ここだけの話しとし、広めないようにしてもらう。もし破った場合は、話した相手がグランのメンバーであったとしても、クランを脱退してもらう。」
「では、始める。まあ、今回もアオイに関することだ。」

 ヒューイットさんがそう言うと、ハクさんとジークさんが私を見てきた。

「レオンから話を聞いたがアオイ。アオイは、転移魔法が使えるということで間違いないか。」

「はい。間違いないです。」

「「!!」」

 最初からいたメンバーは、レオン兄さんから説明されていたのでしょうから驚きはしないって感じですが、ハクさんとジークさんは、とても驚いていますね。
 それはそうですよね。世界に現在、五人しかいないというのに、私が六人と聞かされたのですから当然ですね。

「それでな。別のトラブルを招く可能性もあるが、シルティーに相談して、アオイのランクを上げてもらうつもりでいるんだが、アオイは、それでいいか。」

「うん~ん。何かズルしているみたいで嫌ですけど、トラブルはある程度避けれるんですよね。」

「そうだな。冒険者は、実力主義だからランク高ければ、絡まれることはないな。まあ、アオイは、見た目で絡まれるかもしれんが、近くに俺らがいるならな。大丈夫だろう。
 実力の方もお前、模擬戦で、Dランクのやつ一撃で吹き飛ばして、気絶させたんだろう。
 なら、依頼こなしていけば、全く絡まれなくなるはずだ。」

「はい。確かに加減はしたのですが、Dランクのエドさんを気絶させちゃいまし、結界も壊しちゃいました。怪我もなかったみたいでしたし、結界もすぐ張り直されたのでよかったですけど……」

 その時のことを思い出して、申し訳ない気持ちになってしまった。

「おお、加減して、上のランクのやつ気絶させて、結界破壊か。流石は、俺の妹だな。ランク上げてもなら問題ないな。」

 私は、申しない気持ちなのに、レオン兄さんは、すごく嬉しそうな顔で、私のことを誉めまくりである。

「そうだな。俺たちもいるから大丈夫だが、冒険者同士の暴力沙汰は、禁止されているが、守らんアホもいるからな。でもそれほど強いなら対処できるだろうから、ランク上げ、公爵家の養子、俺たちが同伴、あと秘密厳守で、かなりトラブルの対策になりそうだな。」

「ぐすん……あり……が……とう」

 皆が私のことを守ろうと色々考えてくれたことがすごく嬉って、泣いてしまった。

「どうした。アオイ。」

「皆が心配して……色々考えてくて、す……ごく、優しくしてくれるのが……嬉しがって」

「そうかそうか。」

「アオイ。兄として当然だ。」

「そうだそ。同じクランのメンバーなのだから、メンバーのことを心配して、色々考えるのは、当たり前だ。」

 皆さん、ありがとうございます。」

「まだ決定ではないが、アオイの養子縁組が正式決まったら、転移魔法のことを国王陛下から公表してもらう。転移魔法を使える者は、正式に公表されると、利用しようとする者が現れたりとトラブルになるので、そういうことをしようとしたり、した場合は、罪に問われ、裁判なしで公開処刑となる。だから公表されるまでは、アオイ、なるべく転移魔法使わないようにするんだぞ。」

「わかりました。裁判なしで公開処刑なんて厳しいですね。」

 裁判なしとか冤罪とか大丈夫なのかな。この世界の裁判なんて見る機会ないからどんなものかわからないし、私がいた世界とはちがうんだろうけどさ。

「ああ、昔、無理やり言うことを聞かせようとして、世界唯一の転移魔法が使える者を全く協力しないから、殺してしまった事件があってな。
 世界法が制定されて、そう決まったんだ。その当時は、まだゲートもなかったから、本当に転移魔法が使える者は、貴重だったんだよ。それにそいつらは、当時一番大きな国だった帝国の皇帝を暗殺するために利用しようとしていたらしくって、だから尚更、重罪に指定されたんだ。」

 うわ、世界唯一の術者を殺しちゃったんなら、世界的に問題になるよな、しかも一番大きな国のトップを暗殺しようなどと考えてたなら尚更。
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