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第捌話 ヒューイットはスゴい!? そして、ターブルロンド到着

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 出発するんだなぁと思っていた私に、ヒューイットさんは「アオイ、俺の手を掴んでくれ。」と言い出したのである。

「??」

 ヒューイットさんの言っている意味がわからなかった。
 私は、馬車にてターブルロンドへの一ヶ月間の長旅をすることになるから、まずは馬車に乗るために森から出るのだと思っていたので、歩くのに小さい子供だからと手を繋ぐ必要はあるのかと思ったのだ。だからヒューイットさんが言ったことが理解できなかったのである。

「あぁ、すまん。ターブルロンドまでは、馬車でだと一ヶ月もかかるだけど、俺は三日後に別の依頼が入っていて、馬車で行くとその依頼受けられなくなる。だから、転移魔法で、ターブルロンドまで転移する。」

「転移魔法?」

 転移魔法は異世界モノでよく出てくるので、どんなものかわかっていたが、きっと使える人ほとんどいないんだろうと異世界モノをよく好んで読んでいた私は思った。
 そんな魔法を子供が知っているのはおかしい事だとも思ったので、知らない風を装った。

「アオイは知らないのか。転移魔法は一度でも行ったことあるところなら、距離とか関係なく瞬時に目的の場所に行けちゃう魔法だ。転移魔法使える人は一千万人に一人なんだよ。現存しているのだと、現在確認されているのは五人だけだね。」
「転移魔法使えなくても、転移門てんいゲートがあるから知っているかと思ったんだけどな。勿論、王都だからターブルロンドにもあるしな。転移門てんいゲートっていうのは、国が管理している魔方陣が刻まれた門で、門を通れば、転移魔法と同じで瞬時に目的地に行けるんだ。転移門てんいゲートは、転移先が登録してあって、転移先を指定する事で、自分が行った事がない場所でも行ける。ただ利用するには大金がかかるから利用するのは、王族や貴族、あとはかなり儲かっている商人や高ランク冒険者など、金に余裕のある一部だけだな。」
転移門てんいゲートは、利用しない人でも一般的に知られているからアオイは知っていると思ったけど、アオイは貴族とかではないし、まだ小さいから知らなくっても別におかしくないのかもな。」

「そそぉ そうだよ。 小さい子供は知らない子いると思うよ。」

 転移門てんいゲートっていう一般的に知られているものがあるのかよ。
 ヒューイットさんも言ってだけど、ターブルロンドは王都なんだから当然ある。王都で暮らしているのに知らないのかと疑問に思われたが、小さいから知らなくてもおかしくないって思ってもらえてよかった。
 マジ、焦ったわ。
 あれ、この世界の人口知らないけど、一千万人に一人しか使えない。
 しかも今、生きていて転移魔法使えるのは五人だけしかいない!!
 もしかして、ヒューイットさんって、スゴい魔法の天才とかで、強くて、超有名な冒険者だったりするんじゃないのかな。
 など考えていると、ヒューイットさんがまた説明の続きを話し始めた。

「まあ、転移魔法で転移する先は、王都内じゃなく、ターブルロンドの近くだけどな。
 アオイも知っているだろうど王都内に入るには、必ず検問を受けなきゃならない。悪人や違法な物を王都内に入れない為のチェックするためにな。
 まぁ、それに過去に国王が暗殺されかけた事があって、暗殺者を拷問したりして吐かせたら、当時敵対していた国が王都内に転移魔法で暗殺者を転移させていたことが判明して、危機感をもった国王の命令で大賢者に依頼して、王都内に転移できないように結界を張らせたから直接、王都内に転移することなんかできないんだけどな。」

「では行くぞ。 アオイ。」

「うん」

「転移」





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





「もう、着いたの。 転移魔法ってすごい便利だね」

「うん。着いたよ。さっさと検問受けて、中に入ろうか。」

 こうして、私は、人生初の転移を体験した。
 いいや私はダメ神の転生先失敗で、異世界転移してきたので、既に転移体験していたわ。ははは。
 しかし、ダメ神、王都の家に転移するはずが、かなりヤバい森の奥に転移とか。やってくれるよな。ダメ神はどんだけ失敗繰り返すのかね。
 まだまだ、これからも年下に抜かれていき、おのダメ神は偉くはなれないなと考えていたが……
 あれ、検問って身分証とか必要だったりするんじゃないかな……きっと……
 私、そんなの持ってないけど……大丈夫かな?……王都内に無事に入れるか不安になってきた。どうしよう……どうしよう……大丈夫かな……

 目的の王都に転移魔法で、サクッと到着したものの、身分証が必要かもと気づき、王都内に入れるか不安を感じ、動揺しまくりの私であった。
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