上 下
4 / 24
第一章 カルディナ王国編

第3話 アルテミスは両親と再会する

しおりを挟む
 私の所為で、騒ぎが大きくなってしまったが、男の人を助けることができてよかった。

 馬車の積み荷は、割れたり、壊れたりして、ダメになっちゃっているみたいで、大損失だけど命があれば、また商売もできるもんね。

 それより私は、人の心配よりお父様とお母様を探さないと……絶賛迷子中なのだから。

「はぁはぁ……アルテミス。見つかってよかった」

「はぁはぁ……離れちゃダメって言ったでしょう」

 お父様とお母様が居ないから周りをキョロキョロ見て、探していると慌てて私の元にお父様とお母様が駆けつけてきた。

 二人とも息を切らしているので、迷子になった私を探し回ってくれたんだな。

「お父様、お母様。どこに行っていたのですか?
 探しましたよ」

「いやいや。どこかに一人で行ってしまい、迷子になっちゃったのは、アルテミスだからね」

 迷子になった子供の言い訳を言ってみたが、お父様には、通じなかった。

 まあ、騒ぎが大きくなったお陰で、両親と再会できたから結果オーライだね。

「あまり反省しているようには、見えないけど……これからは一人で、黙って勝手にどこかに行ってはダメよ。
 お父さんもお母さんもとっても心配したんですからね」

「はい。わかりました」

 心配をさせ、迷惑をかけてしまったのは事実なので、二人に謝った。

「それで、この騒ぎはなんなのかな?」

「馬車の下敷きになった男の人がいて、大怪我をしているのに、みんな周りで見ているだけで助けてあげようとしないので……」

「治癒師のマリア様ではないですか!!」

「「「!!」」」

 私がお父様とお母様に騒ぎの説明をしていると、人族は魔法を使えないと教えてくれたおじさんが叫んだ。

 治癒師のマリア様?マリアは、お母様の名前だよね……ということは、おじさんが話していた街にたまに来る治癒師ってお母様のことだったんだ。

 おじさんが叫んだ所為で、また騒ぎが大きくなって、人が集まってきてしまった。

「あら!ナダルさんじゃないの。ナタリアさんの調子はどうですか?」

 おじさんのことを知っているらしいお母様は、周りの騒ぎなど気にすることなく、おじさんにそう言った。

 ナタリアさんって、ナダルさんっていうらしいこのおじさんの奥さんかな?

「マリア様のお陰で女房は、元気になって働いてます。マリア様には、感謝しております」

「いいのですよ。怪我した人や病気の人を治療するのが私の仕事ですからね。」

 お母様がたまに街に出掛けていたのは、病気の人の治療とかをするためだったんだ。

「そちらの子供はマリア様の……」

「はい。娘のアルテミスです。娘が何か迷惑をかけてしまいましたか?」

 騒ぎを大きくしちゃったけど、おじさんに迷惑はかけていないよ。

 子供が見るものじゃないから、あっちに行けとかは、言われたけどね。

「おじさんにあっちに行けって言われた」

「!!……怪我が酷かったから、子どもに見せられるようなものではなかったので……トラウマになってしまってはいけませんから……マリア様の娘とは知らず申し訳ないです」

 私の発言におじさんは、お母様に言い訳を言い始めた。

「いいのですよ。ナダルさんは、アルテミスのことを思って言ってくれたのですからね」

「怪我をした方は、大丈夫なのですか?治療が必要なら私が見ますよ」

「いいえ。娘さんが魔法で治療してくれたので、怪我は治りました。
 出血が多かったので、治療院に連れて行かれたみたいですから、大丈夫です」

「そうですか。無事でよかったです」

「娘さんもマリア様のように素晴らしい治癒師になられますな」

「私は、治癒師にはならない。お父様みたいに魔物を倒したりしたい」

「らしいですよ。治癒魔法も使えますが、女の子なのに今は、剣や魔法に夢中なお転婆な娘になってしまったので、どうしたものかと悩んでます」

 お父様が魔物を倒すのを見て、カッコいいって思って憧れたんだから仕方がない。

 女の子が目指すものじゃないから、お転婆と言われてしまうが、やりたいのだからいいじゃないか。

 今世は、自由に好きなことをやって生きていくと決めたのだから。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう
ファンタジー
俺はどうやら事故で死んで、神様の計らいで異世界へと転生したらしい。 そこまではわりと良くある?お話だと思う。 ただ俺が皆と違ったのは……森の中、木にめり込んだ状態で転生していたことだろうか。 しかも必死こいて引っこ抜いて見ればめり込んでいた部分が木の体となっていた。次、神様に出会うことがあったならば髪の毛むしってやろうと思う。 ずっとその場に居るわけにもいかず、森の中をあてもなく彷徨う俺であったが、やがて空腹と渇き、それにたまった疲労で意識を失ってしまい……と、そこでこの木の体が思わぬ力を発揮する。なんと地面から水分や養分を取れる上に生命力すら吸い取る事が出来たのだ。 生命力を吸った体は凄まじい力を発揮した。木を殴れば幹をえぐり取り、走れば凄まじい速度な上に疲れもほとんどない。 これはチートきたのでは!?と浮かれそうになる俺であったが……そこはぐっと押さえ気を引き締める。何せ比較対象が無いからね。 比較対象もそうだけど、とりあえず生活していくためには人里に出なければならないだろう。そう考えた俺はひとまず森を抜け出そうと再び歩を進めるが……。 P.S 最近、右半身にリンゴがなるようになりました。 やったね(´・ω・`) 火、木曜と土日更新でいきたいと思います。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

王女の夢見た世界への旅路

ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。 無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。 王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。 これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。) とある孤児院で私は暮らしていた。 ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。 そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。 「あれ?私って…」 そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

辺境伯令嬢に転生しました。

織田智子
ファンタジー
ある世界の管理者(神)を名乗る人(?)の願いを叶えるために転生しました。 アラフィフ?日本人女性が赤ちゃんからやり直し。 書き直したものですが、中身がどんどん変わっていってる状態です。

処理中です...