転移老夫婦の農業チート

紅 蓮也

文字の大きさ
上 下
2 / 2

第2話 異世界に来てもこの家で有り難いのじゃ

しおりを挟む
 聞き忘れていたので聞いてみたところ異世界の神様はアルカディアスという名だということじゃ。

 アルカディ様が異世界に行くにあたり、見た目は変わらないが魔力を内包する器官を地球仕様から異世界仕様に体を弄ったり、加護やスキルを付けてくれたようじゃ。

 異世界転移特典ってやつじゃな。

「これから転移してもらうのはウクラロシ王国という国のスピリッツ辺境伯が領主を務めているウォッカルという街になります。
 山や森に囲まれ魔獣も多く出てくるので気をつけてください。
 お二人の能力で倒せない魔獣は居ませんけどね」

 アルカディアス様の話を聞いて地球に居たときに暮らしていた田舎街で自然に囲まれていて、違いは魔獣が出るくらいじゃなと感じた。

 油断は禁物じゃが、儂らで倒せない魔獣は居ないとのことじゃし問題ないじゃろう。

「転移する前に何かありますか?」

「子供や孫たち、隣夫婦とその子供たちに伝言とか出来んかの?」

「そうですね。突然居なくなってしまって心配させてしまっているでしょうから私からもお爺さんと同じことを頼みたいですね」

「わかりました。伝えておきます。地球が危険な状態なのは伏せますが、お二人に関することは真実を全て伝えておきます」

 話を聞いた孫や隣夫婦の子供たちは羨ましがるじゃろうな。

 そして儂らの体が光ると目の前が真っ白となり、気がつくと見たことないが懐かしい感じの景色が広がっていた。

「婆さん、いい景色だな」

「そうですね。地球に居た時を思い出す田舎の景色ですね」

「家も用意してくれていると言っておったが……見ればすぐにわかると言っておったが何処にあるんじゃろうな?
地図など貰っておらんし、どんな街なのか住んでいる人たちはどんな感じなのか少しは知ることもをできるから探しまわれってことかの?」

「アルカディアス様は、そんな不親切な神様には見えませんでしたよ」

 確かに儂らのことを考えて色々してくれたしのなどと思いながら、ふと後ろを振り返ってみると……

「何でじゃ~!!どうしてあるんじゃ~!!ば……ば……ば……婆さん!!」

「何ですか。後ろを見ていきなり叫んだりして」

 婆さんから苦言を呈されたが、そりゃあ……驚いて叫びたくもなるじゃろう。
 振り返ったらそこには見覚えのある建物があったのじゃからな。

「地球に居た時に住んでいた私達の家ですね」

 そうそこには儂らが住んでおった住み馴れた家があったんじゃ。

 婆さんも振り返ってその家がを見たのだが、凄く反応が薄かった。

 儂は驚いて叫んでしまったのにそんな冷静な反応されたら恥ずかしくなるじゃろうが……

 近くに婆さんおらんから良かったが、周りに人がたくさんおったら穴を掘って隠れたい気分じゃ。

「はい。お爺さん」

 婆さんが儂にあるものを渡してきた。

「ああ、今欲しかったところじゃった。相変わらずよく気がつくのう」

「お爺さんは顔にすぐでますからね」

「これで穴を掘って隠れられるぞってちゃうわい」

「あら……違いましたか?お爺さんは驚いて叫んだのに私が冷静な反応だったから穴掘って隠れたい気分じゃないかと思ったのですが……
顔も真っ赤でしたし」

 いやいや……確かに儂はそう思っておったがな。

 そう思ったからって本当に穴を掘って隠れる者はおらんし、気づいたからと穴を掘るためにスコップ渡して来る者もおらんじゃろう。

 長年、夫婦として一緒におるが婆さんのこういうところだけは理解できん。

 以前には、孫娘がペットとして飼っていたミニブタに自分の真珠のネックレスとイヤリングをつけて

「ブタさんは真珠の価値はわからないかもしれないけど意外と可愛いわね」などと意味のわからんことを言っておったな。

 何故そんなことしたのかと聞いたら何となくとか言っておったな。

 まあ、そんなことりこれから住む家もわかったし、家の中に入って少し休むかの。

 アルカディアス様に体を異世界仕様にしてもらったおかげなのか80歳の体にしては地球に居た頃より軽やかに動ける感じじゃ。

 10代とか20代に戻った気分じゃな。

 そう思いながら玄関のドアを開けて家の中に入った。

 見た感じ室内も同じじゃな。まさか地球にあった家をこちらに持ってきたわけじゃないじゃろうが住み馴れた家と同じ家でこれからも暮らせるのは有り難いのう。

    冬だし、地球より寒いからこたつに入って温まるかの。

 そういえばアルカディアス様が地球と違い電気はないが代わりになるものはあると言っていたが異世界仕様に変えてくれているじゃろうと思いながらリビングに向かった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

Conanlove
2023.06.27 Conanlove

続き楽しみに待っています~頑張って下さいね~😄老人にとって住み慣れた家は必需品ですね~😄

解除
Conanlove
2023.06.24 Conanlove

面白そうです!続き楽しみに待っています~頑張って下さいね~😄

解除

あなたにおすすめの小説

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】

Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。 でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?! 感謝を込めて別世界で転生することに! めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外? しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?! どうなる?私の人生! ※R15は保険です。 ※しれっと改正することがあります。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります

ぐるぐる
ファンタジー
□お休みします□ すみません…風邪ひきました… 無理です… お休みさせてください… 異世界大好きおばあちゃん。 死んだらテンプレ神様の部屋で、神々の娯楽に付き合えと巻き込まれて、強制的に異世界転生させられちゃったお話です。 すぐに死ぬのはつまらないから、転生後の能力について希望を叶えてやろう、よく考えろ、と言われて願い事3つ考えたよ。 転生者は全部で10人。 異世界はまた作れるから好きにして良い、滅ぼしても良い、1番長生きした人にご褒美を考えてる、とにかく退屈している神々を楽しませてくれ。 神々の楽しいことってなんぞやと思いながら不本意にも異世界転生ゴー! ※採取品についての情報は好き勝手にアレンジしてます。  実在するものをちょっと変えてるだけです。

王子に転生したのですが、教育が厳し過ぎるので家出しました。神の加護で魔法が出来ますので、身分を隠して、魔道具屋を始めようと思います

もぐすけ
ファンタジー
 前世の記憶は定かではないのだが、多分おっさんだったように思う。  気がついたら、王子に転生していた。  王子ってのは、楽ではない。生後三ヶ月から厳しい修行が始まった。  若く美しい愛情いっぱいの母と、美女揃いの教育陣に囲まれているうちは、何とか俺も頑張っていられたのだが、八歳からは教育陣が男の教師たちに入れ替わる。  もう無理なので、八歳の誕生日に俺は王宮を逃げ出した。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。