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第六章 新たなる先輩達との出逢い

3話・平凡三下

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「アンネ?ああ、眼鏡の先輩はアンネって言うんですねっ!ではアンネ先輩っ!
改めて俺とパーティを組んで下さい!お願いしますっ!」

サーシュ先輩の不機嫌は取り敢えず無視して、俺は上目遣いのニッコリ全開の
笑顔の表情で、アンネ先輩の前に右手を差し出す。

「え、えっと......サーシュちゃん、この後輩の交渉を受けてもいいかな?」

「はあ?な、なんでわたくしに意見をお求めになられますのかしら?貴女の
ご自由になされば......フン、良いではございませんかっ!」

アンネの問いにサーシュがそう答えた後、顔をプイッとそっぽを向く。

「......そ、それでその、返事はどっちでしょうか、アンネ先輩?」

「はう!?え、えと......は、はい!こ、こんな私で良かったら、どうぞです!」

アンネ先輩はオドオドしながらも、よろしくとばかりに俺の差し出した右手に
ガッシリと握手をする。

「ヤッタ!ありがとうございます、アンネ先輩っ!」

「えへへ。こ、こちらこそ!未熟な先輩ではありますけど、私の回復魔法で
キミをしっかりサポートさせていただきますねぇっ!」

アンネ先輩は眼鏡をキランと輝かせ、持っている魔法の杖を前にサッと出す。

「回復魔法を使えるんですね!先輩のサポート、期待させていただきますっ!
あ、そうそう。俺、先輩にまだ名前を名乗っていませんでしたっけ?では
改めて自己紹介しますね!俺の名前はザックっていいますっ!」

俺は自分の自己紹介をし、アンネ先輩にニコリと笑顔を向ける。

「え!ザック!?キ、キミ、ザックって名前なのっ!?」

「へ?ああ、は、はいそうですけど?それがどうかなさいましたか?」

ど、どうしたんだろ、アンネ先輩?

俺の名前を聞いてあんなにビックリしちゃって?

ま、まさか、俺の名前に何か不吉な何かがあるのかっ!?

目を大きく見開いてビックリしているアンネ先輩を見て、なんでそんなに
驚くのでしょうかと、俺の心が不安全開となってドキドキしてしていると、

「あ。ご、ごめんね。キミの名前が私の知り合いと同じだったから、つい
ビックリしちゃってさ!」

ああ、なるほど!

「そうでしたか。それで驚いてしまったんですね?」

俺はアンネ先輩の言葉を聞き、ホッと胸をなで下ろして安堵していると、

「よし!ザック君も名乗った事だし、今度は私が名前を名乗る番だねぇ♪
...と言っても、私の名前はサーシュちゃんが言ったからもう知っているとは
思うけど、でももう一度、私の口からちゃんと名乗っておくね。コホン......
私の名前はアンネ。エクトス学園の二年生だよ♪」

アンネ先輩がふうと呼吸を吐いて気持ちを整えると、自分の自己紹介を
改めて俺にしてくる。

「私の名前、ちゃんと忘れずに覚えておくんだぞ、ザック君♪アンネだからね、
ア・ン・ネ・ッ♪」

「あはは。了解です、アンネ先輩♪」

俺は胸に刻みますと言わんばかりに胸を指でトントンと叩くと、アンネ先輩に
ニコッと笑顔を見せる。

そんなザックの笑顔を見て、

おお~あざといくらいに屈託のない笑顔だなぁ、ザック君♪

くふふ~そんな素敵な笑顔を見せられたら、お姉さんとしては
張り切っちゃうしかないよねぇ~♪

アンネは改めて頑張るぞと拳をグッと握り締め、気合いを入れる。

「......さて、この勢いで次はあの地味っ子先輩と交渉するかな!」

ザックが次のターゲット、地味っ子先輩に目線を移す。

「え?ザック君、ミカリちゃんと交渉するんですか?」

「ん?アンネ先輩、あの地味っ...ミカリ先輩とお知り合いですか?」

「うん。私とミカリちゃんはね、同じクラスなんだよ♪」

「おお!それだったら交渉しやすいですね!それじゃ早速行きま――」

「ちょっとお待ちなさいな、平凡三下っ!」

アンネ先輩とミカリ先輩の所に行こうとした瞬間、サーシュ先輩が
待ったを掛ける。

「え、えっと...その平凡三下っていうのは、もしかして俺の事ですか、
サーシュ先輩?」

「もしかしても何も、貴方以外のどこにそんな輩がいるというのですか?」

うぐぅ。

な、なんという言いぐさ!

めっちゃ腹が立つけど、相手は女性で先輩だし、

ここはグッと我慢の子だ。

「......そ、それでサーシュ先輩。一体俺に何か用でしょうか?」

「ふふふ......それはですね!貴方がどうしてもというのでしたら、パーティを
組んであげるのも吝かではありませ―――」

「あ。それは結構です。平凡三下の俺如きが、先輩とパーティを組むなんて
恐れ多くて多くて。なにぶん平凡三下ですから、サーシュ先輩を煩わらせる
可能性が十二分にあります。ですから大変申し訳ございませんが、平凡三下の
俺はここで失礼させていただきますね♪」

俺はサーシュ先輩の言葉を遮り、嫌味を込めた矢継ぎ早の口調にてサーシュ先輩の
パーティ参加を丁重にお断りする。

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