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閑話 先輩達の一目惚れ

2話・ルルの一目惚れ その1

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あーしの名前はルル。

エクトス学園で随一の秀外恵中なる二年生なの。

そのせいか、自分で言うのもなんだけど、あーしってば、めっちゃ
モテるんだよねぇ~。

だから今日もほら、

「ルルさん!ぼ、ぼ、僕と、おお、お付き合いして、く、下さい!」

「僕のパートナーは貴女しかいません、どうかお願いします!」

「あなた以外の女性なんて考えられません!どうか俺の彼女になってっ!」

「好きです!絶対、不幸にしませんから、俺とお付き合い下さいっ!」

「ルル先輩!あなたの笑顔が大好きです!その笑顔をオレだけのものに
させて下さいっ!」

「俺と付き合えよ、ルル。イケメンな俺ほど、お前と釣り合いの取れる者は
いないと思うぞ!」

様々な連中があーしに告白してくるが、そんな連中に、あーしは申し訳なさそうな
表情をしながら、

「ホントゴメンなの~。告白はホンット嬉しいんだけど~。あーしはさぁ~
お付き合いとか~、そんなんはしばらくいいやって感じなの。なので返事は
ノーという事でお願いなの♪」

「うう!無念だぁぁあ~~っ!」

「くう!パートナーになりたかった......」

「ぐは!やっぱ、駄目かぁ~っ!」

「そ、そんな~僕だけの笑顔だと思ったのにぃぃいい~~っ!」

「ば、馬鹿なぁああぁ!こ、この俺が!この絶大なるイケメンの俺様が、
女にフラれた......だとぉぉおっ!?」

そんな連中の告白を、感情の込もっていないセリフにて全てお断りをする。

そしてあーしからお断りの言葉を聞いた連中は、ガッカリした表情で頭を
垂れると、トボトボと帰って行く。

そんな連中を見て、

「だあぁぁあ~~~、もうっ!毎度毎度、足の裏にくっついたガムの如く、
しつこくて鬱陶しい連中だななのっ!」

大体これだけ振りつづけているんだから、いい加減に誰とも付き合わないと
いう事を自覚しろよなのっ!

あーしは眉をVの字して怒りを露にしながら、額に浮かんだ青筋をヒクヒク
させつつ、不平不満の愚痴をこぼす。


そう...

あーしには今の今まで、一度足りとも異性に対して恋も愛も感じた事がない。


だから何でこうも話した事もない、あーしの事をよく知りもしないのに、
好きだの付き合って下さいだのと宣えるのか、まるで訳が分からないなの。

第一、付き合ってどうするなの?


―――イチャイチャする?

―――手を繋ぐ?

―――腕を組む?

―――抱き合う?

―――粘膜の接触を感じ合う?

―――それをやって、何が面白いっていうの?

―――それをやったからって、一体なんだっていうの?

―――それをやったからって、どうなるっていうの?


「本っ当に、理解不能なのっ!」


あーしは考えれば考える程、それらをやる事への価値を全く
見い出せず、頭を思いっきり悩ませる。

「......ふう。取り敢えず、飯でも食いに行くか、なの......」

あーしは嘆息を大きく吐くと、小腹の空いたお腹を満たす為、寮内に
ある学生食堂へと足を動かす。





―――学生食堂。


「ったく......なんでみんなそんな躍起になって色恋にうつつを抜かせるなの?
マジで意味が分かんないなの......」

何が恋だ、愛だ、なの。

「ああ!ホンットに、下らないなのっ!」 

あーしは寮の食堂で晩御飯をパクつきながら、今日の告白合戦を思い出して
しまい、再び愚痴と文句が沸き上がってくる。

「....やれやれなの。そんな事よりも、これ超絶旨いなの!流石はリダさんなの~!
モグモグ…ほう!かぁあ~~、美味し過ぎっしょなの~っ♪」

ガラガラ......

あーしが落ちた気分を取り戻す様に、食堂の料理人リダさん特製のAランチに舌鼓を
打っていると、食堂に誰か出入り口のドアを開けて入って来た。

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