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第二章 新たな出会い

5話・一緒に登校しないかい?

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「ふむ、ふむ。転入の書類で間違いないようだな?ほれ、こいつは返すよ」

書類の内容をひと通り見た門番さんは、記載に間違いがないと確認した後、
俺に書類を返してくる。

「しっかし1ヶ月ちょいでエクトス学園に転校を決めるとはな。3ヶ月とか
4ヶ月くらいで転校を決め、ここにやってくる輩はそこそこいるんだがよ。
こんなにも早い転校を決めてやって来た奴はお前が初めてだぜ。よっぽど
前の学園が嫌だったって事か?」

「あはは......まぁ、大体そんな感じです」

「......そっか。うむ、今度のエクトス学園はお前の肌に合うといいな!」

俺の表情を見て何かを察したのか、門番さんが俺の肩をポンと軽く叩き、
ニカッとした笑顔でそう言う。

「よし、では通っていいぞ!」

「はい。門番の仕事、頑張って下さいね!」

俺は門番さんにそう言い軽く会釈すると、王都の中に入って行く。





「おおお!スゲェェエ!!これが世界でトップスリーに入る街かぁあ~♪」

王都の中に入ったと同時にその目線に入ってくる密集された様々なる建物の
種類や壮大さに、あっちとはずいぶん違うんだなと、俺は目を大きく見開き
感動してしまう。

それからしばらくの間、感動の渦に浸っていると、

「お~~い!お待たせ~、ザック~~!」

門番のチェックを終わらせたエレアが、手を左右に振りながら俺の下に
近づいてきた。

「結構時間がかかったね?どうしたの?」

「はは...実は生徒手帳をどこに仕舞ったのか、ど忘れしちゃってさ♪」

「生徒手帳?まだエクトス学園に通ってもいないのに、もう生徒手帳を
持っているんだ?」

「うん。合格通知と一緒に学園の制服や教科書、それにこの生徒手帳も
送ってきたからさ!」

エレナは生徒手帳をヒラヒラさせながら、持っている理由を説明する。

「え、そうなの!?俺はそんなの送ってきてないけど!?」


―――ハッ!?


ま、まさかとはおもうが、ここまで来て転入手続きが出来ていないとか
言わないよな!?

俺がどういう事だという不安に駆られていると、

「ザックは途中転入だったよね?だったら、それらは学生寮で貰えると
思うよ?」

「ホ、ホントか、エレア!」

「う、うん。でも確か、その説明は案内パンフに書いてあったと思うん
だけど?」

「へ!そ、そうなんだ?お、俺って基本的にそういった類いは見ない
性格だからさ......あはは」

「いや、ちゃんと見なよ!そんなんじゃ、いつか痛い目に合っちゃうよ?
今パニクッているみたいにさ!」

「たはは...そ、そうだよね。その言葉、肝に命じておきます......」

エレアから呆れ口調のジト目を受けた俺は、頬をポリポリと掻いて
ニガ笑いをこぼす。

「さぁ!そんな事より、ザック!学生寮に向かうわよ。寮に着いた後も
色々な手続きがあるから、早く行ってそれらを済ませなきゃ!」

「そ、そうだな。早く終わらせれば、夜はのんびりできそうだしな!」

俺とエレアはそう会話すると、急ぎ学生寮のある場所に駆けて行く。


それから数十分後。


「ほへぇ~!こ、ここがエクトス学園の学生寮なんだぁ...すっげぇ立派だな!」

俺は本日三度目の感動に打ち震えていた。

「それじゃ、女子学生寮はこっちの方だから、わたしはここで失礼するね!
明日また学園で会おうね、ザック!」

「うん、また明日......あ!そうだ!ねえ、エレア。どうせならさ、学園でって
よりもここで会わないかい?」

「え?ここで?」

「うん!せっかく同じ場所から学園に通うんだしさ!そうだね......明日の朝の
7時半くらいに、ここ...学生寮の門口で落ち合って一緒に学園に登校しようよ?」

「一緒に登校かぁ~!うんいいね、それ♪正直わたしもひとりで学園に登校する
のが、ちょっと心細かったんだよねぇ!」

「よしなら決まりだ!良い返事が貰えて良かったよ!それじゃ明日、7時半だよ。
忘れずにちゃんと来てね!」

「了解♪そっちも忘れない様にねぇ♪それじゃ、今度こそバイバイ~ザック~!」

お互いに登校時間の確認をし終えると、エレナがニコニコした笑顔で手を大きく
振りながら、女子学生寮のある場所へと駆け足で走って行った。

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