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5章・初登校

053・だって調子はノリノリ良好が一番じゃんっ♪

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「き、貴様かぁぁあっ!ボスをこんな目に合わせた野郎はぁぁああっ!」

「はい、そうですけど?それがなにか?」

小鉄の問いに、俺はあっけらかんとした悪びれない口調でそう言い返す。

「き、貴様はこのお方が誰だか、知っているのか!このお方はな、四大貴族の
ひとつ、丸道大財閥の長子の丸道孝之助様なるぞぉぉぉおっ!」

「え?よ、四大...貴族?なんだそれ??」

「き、貴様!四大貴族を知らんのか......!?」

小鉄が呆れ顔でこっちを見てくる。

「いいか、耳かっぽじって良く聞きやがれっ!四大貴族とは、この国に
最大なる貢献をしているギルドを仕切っている者達の事だっ!そして
孝之助様の親御様である丸道孝太郎様は、その内のひとつ、商人ギルドの
トップでおられなされるっ!」

「ふ~ん、商人ギルドのトップ......ねぇ」

こっちの世界にも、貴族様が絡んでいるギルドがあるんだ?

そりゃまた面倒だな。

......商人ギルドとは、極力関わらない様にしよっと。

「......取り敢えず、そこのイケメン野郎が上位市民様なのは良~~く
分かった。けどよ、それがどうしたってんだ?その理由が拉致監禁を
して良いって理由には全然繋がらないと思うんだが?」

「ハァ!?ら、拉致監禁だと!?か、勘違いするんじゃねぇ、小僧っ!
孝之助様はそこにおられる女性に交際の申し込みをなさっていただけだっ!」

「いやいや!どう見てもお前、その子を誘拐して拉致しようとしていた
じゃん?相手の意に反し、強引に連れ去ろうとした時点で誘拐拉致なんだよ!
例え相手の意が合ったとしても、未成年は誘拐拉致になるんだけどな!」

俺はそう言うと、地面に転がって気絶している変態イケメンを、ゴミを
見るかのようなジト目で見る。

そして俺は小鉄に目線を戻し、

「大体そこの変態イケメン野郎、その子を監禁して襲う気満々だった
じゃん?あ。ほれ、これがその証拠ぶつね!」

俺はそう言うと、携帯電話を胸ポケットから取り出し、さっきの現状と
状況をしっかり記録した動画を小鉄に流して見せる。

「なっ!き、貴様!?いつの間にそんなものをっ!?」

「どうだ、おっさん?これを見て、まだ交際の申し込みと取ったと
言い張るつもりか?」

「ぐぬぬぅぅうっ!そ、そいつをこっちに寄越せぇぇぇええっ!!」

証拠を録られていた事に焦りを見せる小鉄が、こちらに向かって
ドスドスと足音を鳴らしながら襲い掛かってくる。

「おいおい、誘拐監禁の次は泥棒ですか......よっと♪」

俺はやれやれというポーズをとった後、涼しい表情をして相手の
攻撃が届く寸前の所で、ひょいっと横に軽く躱す。

「クッ!さ、避けるんじゃねぇぇえ!このクソガキが!そいつをさっさと
俺に寄越せやぁぁぁぁああっ!!」

俺に攻撃を躱さ怒りを上げた小鉄が、クルッとこちらに向き直すと、
両手を大きく振り上げて再び襲い掛かってくる。

「誰が寄越すかよ、バ~カッ!この携帯一体いくらすると思ってんだ!
こいつ結構なお値段のする携帯電話さんなんだぞっ!」

そう、これはかつての俺の元カノ...恵美との会話をスムーズにする為、
寝る間も惜しんでキツいバイトを頑張りまくり、最新機能が沢山搭載
されたやつを買ったんだよなぁ。

「まぁ、それも無駄買いの結果に終わっちまったけどねぇ.....」

......たはは。

当時の苦い思い出に、俺は渇いた苦笑がこぼれてくる。

「こ、このクソガキがぁぁぁあっ!調子に乗るなぁぁぁぁああっ!!」

「え~嫌だよ!だって調子はノリノリ良好が一番じゃんっ♪ほいほい、
ほほいのほいっと~♪」

俺は舌をべーと突き出し、挑発な態度で言葉返しをした後、相手の繰り出す
攻撃を余裕顔でひらりひらりと何度も躱していく。

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