32 / 64
4章・昇級試験
032・ハグ禁止
しおりを挟む「でも珍しいですねぇ、佐々木さん?貴方が女性じゃなく、男性の方を
担当するとか言い出すなんて?」
「いやなにね、あの連中...どう見ても明らかに風菜ちゃんが目当てみたい
じゃん?だからちょいとあいつらに対して絶望感を与えちゃおうっかな~
って思ってさぁ~~くふふ♪」
「ハァ...佐々木さん。あなた本当に性格が悪いですね......」
佐々木が悠々と述べる男性の試験官を担当するその理由に、小鳥は呆れ
顔をして深い嘆息を吐く。
「お褒めの言葉、ありがとうございま~す♪あ、でも言っておくけど
別にそれだけの理由で男性を担当するんじゃないんだぜ?俺ってさ、
女性に優しいじゃん?だから女性新人の試験官を担当したら、甘めの
手抜き採点をつけちゃいそうだしねぇ~♪」
「ああ...それは有り得そうですね。いいえあなたなら絶対確実に、甘々の
手抜き採点をつけちゃいますねっ!」
確かにこいつに任せたら、確実に女性の新人冒険者全員が合格するなと、
小鳥は納得した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「では試験を受ける予定のみなさん。改めて紹介致しますが『黄昏の果て』の
佐々木郁夫さんです。この佐々木郁夫が男性を、そして倉井風菜が
女性の昇級試験の試験官をそれぞれ担当する事となりました。ですので
新人の冒険者さんは男性が左の試合場、女性は右の試合場にと別れて試合の
出番がくるまで準備をしつつ、待機をしていて下さい!」
「はぁああ!だ、男性が佐々木が担当だとぉぉおっ!?」
「な、何で佐々木なんだよ!俺、風菜さんが試験官を担当するって言う
から、この昇級試験を受けたっていうのにぃぃい!?」
「あの佐々木郁男っていう奴、男性には態度が悪い事で有名じゃんかさ!
あいつが試験官をするってんなら、採点もめっちゃ厳しいんじゃないのか?」
「あいつ、男には絶対手加減しなさそうだし、普通に嫌なんだけど!」
「しかも試合が同時だから、風菜さんの勇姿も見れねぇじゃんかよ!」
「ぐぬぬ!昇級試験なんて受けなきゃ良かったぜぇぇえっ!」
担当が佐々木だと知った男性新人冒険者の一部が、ブーイングの合唱をする。
「そんな~!わたし、佐々木さんに試験官をやってほしかったんですけど!」
「あわよくば、佐々木様に私の事を好きになってもらって、恋人関係に
なりたかったのにぃ~思惑が丸潰れだぁぁあ~っ!」
「くぅぅう、私も逆たまを狙っていたのにさ~っ!」
「私は別に倉井さんでも構わないけどねぇ...ううん、やっぱ私もイケメンと
お近づきになりたかった~っ!」
そして佐々木が試験官をすると知った女性新人冒険者の一部も、また同じく
ブーイングを合唱する。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はう!?あ、あれは!?み、みみ、見てよお兄ちゃん!わたしの目の前に
『戦乙女』のリーダー倉井風菜さんと『黄昏の果て』のサブリーダー、
佐々木郁夫さんがいるんですけどぉぉぉお♪」
A級冒険者が二人もご登場に、成美が黄色い声を上げてテンションをあげて
喜び勇む。
「んふふ...これは行くしかない...うん、これはもう行くっきゃないよっ!」
友達にわたしのお兄ちゃんは、風菜さんと佐々木さんが試験官を担当した
試験を受けたんだぞって、自慢できるしねぇっ!
「ほらほら、何をしているの、お兄ちゃん!ボーッとしていないで昇級試験の
受け付けに行ってらっしゃい!登録が締め切られる前にっ!」
「う、うう...な、なあ成美。や、やっぱり試験受けなきゃ駄目か?」
「......行かなきゃ、もう二度とハグは無しになっちゃうけど...良いの?」
「イエッサァァアッ!迅速で受付に行かせていただきまぁ~~すっ!!」
俺は愛しき妹とのハグ禁止なんて御免被ると、猛ダッシュで昇級試験を
受けるべく駆けて行った。
68
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説
幼馴染達にフラれた俺は、それに耐えられず他の学園へと転校する
あおアンドあお
ファンタジー
俺には二人の幼馴染がいた。
俺の幼馴染達は所謂エリートと呼ばれる人種だが、俺はそんな才能なんて
まるでない、凡愚で普通の人種だった。
そんな幼馴染達に並び立つべく、努力もしたし、特訓もした。
だがどう頑張っても、どうあがいてもエリート達には才能の無いこの俺が
勝てる訳も道理もなく、いつの日か二人を追い駆けるのを諦めた。
自尊心が砕ける前に幼馴染達から離れる事も考えたけど、しかし結局、ぬるま湯の
関係から抜け出せず、別れずくっつかずの関係を続けていたが、そんな俺の下に
衝撃な展開が舞い込んできた。
そう...幼馴染の二人に彼氏ができたらしい。
※小説家になろう様にも掲載しています。
[完結:1話 1分読書]幼馴染を勇者に寝取られた不遇職の躍進
無責任
ファンタジー
<毎日更新 1分読書> 愛する幼馴染を失った不遇職の少年の物語
ユキムラは神託により不遇職となってしまう。
愛するエリスは、聖女となり、勇者のもとに行く事に・・・。
引き裂かれた関係をもがき苦しむ少年、少女の物語である。
アルファポリス版は、各ページに人物紹介などはありません。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
この物語の世界は、15歳が成年となる世界観の為、現実の日本社会とは異なる部分もあります。
勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが
別に気にも留めていなかった。
元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。
リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。
最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。
確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。
タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。
追放された最強剣士〜役立たずと追放された雑用係は最強の美少女達と一緒に再スタートします。奴隷としてならパーティに戻してやる?お断りです〜
妄想屋さん
ファンタジー
「出ていけ!お前はもうここにいる資格はない!」
有名パーティで奴隷のようにこき使われていた主人公(アーリス)は、ある日あらぬ誤解を受けてパーティを追放されてしまう。
寒空の中、途方に暮れていたアーリスだったかが、剣士育成学校に所属していた時の同級生であり、現在、騎士団で最強ランクの実力を持つ(エルミス)と再開する。
エルミスは自信を無くしてしまったアーリスをなんとか立ち直らせようと決闘を申し込み、わざと負けようとしていたのだが――
「早くなってるし、威力も上がってるけど、その動きはもう、初めて君と剣を混じえた時に学習済みだ!」
アーリスはエルミスの予想を遥かに超える天才だった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
4月3日
1章、2章のタイトルを変更致しました。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
妻を寝取ったパーティーメンバーに刺殺された俺はもう死にたくない。〜二度目の俺。最悪から最高の人生へ〜
橋本 悠
ファンタジー
両親の死、いじめ、NTRなどありとあらゆる`最悪`を経験し、終いにはパーティーメンバーに刺殺された俺は、異世界転生に成功した……と思いきや。
もしかして……また俺かよ!!
人生の最悪を賭けた二周目の俺が始まる……ってもうあんな最悪見たくない!!!
さいっっっっこうの人生送ってやるよ!!
──────
こちらの作品はカクヨム様でも連載させていただいております。
先取り更新はカクヨム様でございます。是非こちらもよろしくお願いします!
【破天荒注意】陰キャの俺、異世界の女神の力を借り俺を裏切った幼なじみと寝取った陽キャ男子に復讐する
花町ぴろん
ファンタジー
陰キャの俺にはアヤネという大切な幼なじみがいた。
俺たち二人は高校入学と同時に恋人同士となった。
だがしかし、そんな幸福な時間は長くは続かなかった。
アヤネはあっさりと俺を捨て、イケメンの陽キャ男子に寝取られてしまったのだ。
絶望に打ちひしがれる俺。夢も希望も無い毎日。
そんな俺に一筋の光明が差し込む。
夢の中で出会った女神エリステア。俺は女神の加護を受け辛く険しい修行に耐え抜き、他人を自由自在に操る力を手に入れる。
今こそ復讐のときだ!俺は俺を裏切った幼なじみと俺の心を踏みにじった陽キャイケメン野郎を絶対に許さない!!
★寝取られ→ざまぁのカタルシスをお楽しみください。
※この小説は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる