上 下
25 / 59
3章・冒険ギルド

025・テンプレ発動

しおりを挟む
「おお。あれが能力値を測定するマジックアイテムか!」

冒険ギルドの説明を受けた部屋から、隣の能力測定を行う部屋に移動した
俺は、会場に設置されている能力測定器に目を移す。

「へぇ~こっちの測定器って、あっちと違って機械機械メカメカしているんだな?」

あっちの世界での測定アイテムは、ただの水晶玉だったのに。

「全員揃ったみたいですね。では今から皆さんの能力値を測定致します
ので、4箇所の測定器のどれかに並び、各ギルド員の指示で測定を受けて
下さい!」

俺が測定器の違いに驚いていると、測定を担当するギルド員のひとりが
集まった新人冒険者達の能力測定をする為、列に並んでくれと声を
掛けると、それを聞いた新人冒険者達が言われた通り、各々の測定器の
列へぞろぞろと並び始めていく。

「お、測定が始まるみたいだな。そんじゃ俺も列に並んで能力測定を
してくるとしますかな。という訳だから成美はそこでしばらく待って
いてくれ。多分能力を測定するだけだろうから直ぐ終わると思うし!」

「うん分かった。良い結果が出るといいね、お兄ちゃん♪」

成美は笑顔で俺にそう言うと、近くにある待機場所に移動して行く。

「......ふ、スマンな我が妹よ。それは無理な相談というものだよ」

何故ならば、その良い結果が出ないように隠蔽スキルを使うからだ。

だって俺のステータスって、魔王を倒せるレベルの能力値なんだぞ。

学生が...ましてや新人が出していい数値のステータスじゃないのは明白。

それに正直、冒険ギルドここには成美のお願いで来ただけであって、冒険者を
やるつもりは今のところ、更々ないのだ。

「......とまぁ、そういう事なので当たり障りのない平均値で......いくっ!」


『発動!無用の長物っ!』


俺は測定される前に隠蔽スキル...『無用の長物』を発動させると、レベルと
能力値をあっちの世界の新人冒険者の平均値へと変える。

「これで良し!」

「――では次の方どうぞ!」

「あ、は、はい!」

ステータスの隠蔽をやった直後、測定係のギルド員から呼ばれたので、
俺は早足で測定器の前へと移動していく。

「それでは測定を始めるので、そこの台に置いてある2つの金色のリングを
左右の人差し指にそれぞれ嵌めて下さい!」

「は、はい!これをこことここに...ですね?」

俺は言われた通りに、左右の人差し指にリングをカチャカチャと嵌める。

「え、えっと。こ、これでいいですか?」

「はい、それで結構です。では能力値を測定しますので、そのままの
体勢でいて下さいね!」

測定係のギルド員がそう言うと、機械のスイッチやレバーをポチポチ
ガチャと引いたり押したりしていく。

「よし。では、測定を開始します!」

そして測定する為の本体スイッチを、測定係のギルド員がカチッと
押したその次の瞬間、


ズガァァァァアアアアアア――――――ンッ!!!


測定器が大きな爆発音と共に、粉々に吹き飛んてしまった。


「「はああぁああぁぁぁぁぁあっ!?!?」」


それを見た俺と測定係のギルド員は揃って目を大きく見開いて喫驚し、
目の前の出来事に唖然としてしまう。

「ど、どういう事だ!?な、何で爆発したんだっ!?こ、この測定器は
最新技術で作られてマジックアイテムだぞ!だからこんな欠陥がある訳が
ない!だというのに、測定器が粉々となって壊れてしまうだなんてっ!?
ハッ!?ま、まさか...測定できる限界値を...こ、越えたからなのかっ!?」

測定係のギルド員がそう呟くと、俺の顔を恐る恐る見てくるので、

「いやいやいやいや!そ、そ、そんな訳ないじゃないですかっ!?だって俺、
し、新人冒険者ですよ!?そ、それにこの身体付きを見て下さいよ!ほらほら!
ど、どこをどう見ても普通人の身体でしょうっ!」

俺は動揺を抑えながら、必死にこの状況を言い繕っていく。

「ぐ、ぐむぅ。た、確かに...正直いって、そんな強そうには見えないな?」

「で、でしょう~。自分で言うのもなんですが、俺みたいなモブが平均値を
越える能力を叩き出すなんてそんな馬鹿げた事が到底起こるとは思えません!
し、したがってその測定器に何らかの支障が起きて壊れただけですよっ!」

「おいおい、何もそこまで堂々と自分を卑下するんじゃないの。ふう、この子
の態度を見るに、やっぱり故障でってのが濃厚かもしれんな?取り敢えず、
壊れたこいつを片付けてるとするか。お~いみんな。スマンが壊れて飛び
散ったこいつの回収を手伝ってくれないか~っ!」

測定係のギルド員が周囲の測定担当のギルド員達をここに呼び、そして
壊れて飛び散った測定器を急いで回収していく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~

一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】 悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……? 小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位! 更新予定:毎日二回(12:00、18:00) ※本作品は他サイトでも連載中です。

【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 前話 【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)

三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。 各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。 第?章は前知識不要。 基本的にエロエロ。 本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。 一旦中断!詳細は近況を!

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

さよなら、英雄になった旦那様~ただ祈るだけの役立たずの妻のはずでしたが…~

遠雷
恋愛
「フローラ、すまない……。エミリーは戦地でずっと俺を支えてくれたんだ。俺はそんな彼女を愛してしまった......」 戦地から戻り、聖騎士として英雄になった夫エリオットから、帰還早々に妻であるフローラに突き付けられた離縁状。エリオットの傍らには、可憐な容姿の女性が立っている。 周囲の者達も一様に、エリオットと共に数多の死地を抜け聖女と呼ばれるようになった女性エミリーを称え、安全な王都に暮らし日々祈るばかりだったフローラを庇う者はごく僅かだった。 「……わかりました、旦那様」 反論も無く粛々と離縁を受け入れ、フローラは王都から姿を消した。 その日を境に、エリオットの周囲では異変が起こり始める。

もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ

中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。 ※ 作品 「男装バレてイケメンに~」 「灼熱の砂丘」 「イケメンはずんどうぽっちゃり…」 こちらの作品を先にお読みください。 各、作品のファン様へ。 こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。 故に、本作品のイメージが崩れた!とか。 あのキャラにこんなことさせないで!とか。 その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される

鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。 レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。 社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。 そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。 レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。 R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。 ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。

処理中です...