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3章・冒険ギルド

015・こちらの冒険者の実力は?

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「動くなよと言われてもなぁ......」

休憩できる場所がないじゃん、ここ。

だからといって、ここを離れると成美の姿を見失うしな。

「......仕方がない。俺も成美みたいにグラウンド内にいる冒険者を
見学して時間を潰すとしますか......」

イケメンは当然絶対、除外として、

どうせ見学するんなら、こちらの冒険者の実力を測りたいし、強そうな
冒険者がいいな。

「どれどれ、実力の強そうな冒険者はいるかな...っと!」

俺は実力のありそうな冒険者を求めて、グラウンド内をキョロキョロと
見渡していくと、

「おお!こ、これは!?強き気の持ち主を発見っ!」

グランドの中央ちょい左側の少し離れた場所で、何かの特訓をしている
強きの気を持った冒険者...女の子三人組を見つけた。

へぇ...あの子達、魔力もかなりの強さだぞ。

「これは見学しがいがありそうだな♪」

女の子三人組の強さに感動しつつ、俺は思考を見学モードへ
切り替えていく。



「うお!あのショートカットの子、槍捌きが中々上手いじゃん!」

あの重そうな槍を、右に左にと軽々と振り回していやがる。

「それに左サイドポニーの子の弓攻撃も鋭い精密度で的を射抜いてるな!」

あの正確な射撃攻撃、

あっちの世界にいたエルフ族でも、出来る奴はいないレベルだぞ。

「そしてこっちの右サイドポニーの子も槍使いの子と同じく、剣の扱いが
とても上手いっ!」

おお!切り返しが素早いぞ!

あれを防御出来る奴は、そうそういないんじゃないのか?

俺が女の子三人組の冒険者の攻撃の凄さに感心していると、

「キャー!ねぇ、今の攻撃見た!?」

「うん、見た見た。流石はA級冒険者パーティの『戦乙女』だよねぇ♪
特に火奈さんの剣捌き。私達のようじゃ下っ端冒険者じゃ、目で追う事も
ままならないよ♪」

「火奈ちゃんだけじゃないよ!風菜ちゃんの槍捌きだって、同じく凄いよ!」

「いやいや、水那を忘れちゃ駄目だぞ、お前ら!水那はスキルがメインだって
いうのに、弓が達人級なんだから。これが凄いと言わず、何が凄いっていうのだ!」

「それを言うなら、火奈さんだって凄いじゃん。火奈ちゃんは剣攻撃よりも、
スキルを使った至近距離攻撃がメインなんだからさ!」

「それだったら、風奈ちゃんも凄いわよ!彼女も中間攻撃の槍の他に、接近戦と
遠距離を軸とした、ナイフ攻撃がサブウェポンとしてあるんだからさ!」

「何を言うか!火奈さんが一番だっ!」

「いいや、水那が一番だっての!」

「いえいえ、風菜ちゃんこそが至高の存在っ!」

「ハァ......結局、三人とも凄いで良いんじゃね?そんなくだらない言い争いなんて
やっていると、戦乙女の連中に嫌われちゃうぞ?」



「「「――――――っ!?!?」」」





「......へぇ。彼女達、A級冒険者のパーティだったんだ?」

俺が見学していた、女の子三人組の冒険者情報が次々と耳に入ってくる。

A級冒険者なら、強い気や魔力、そしてあの武器捌きの上手さにも
納得がいくな。

それに他も攻撃方法も色々と凄いらしいから、それらも見れるといいな。

それから俺は、成美が見学から帰ってくるまでの間、『戦乙女』パーティの
見学をしていた。


――二十分後――


「遅い...遅い過ぎる......一体何をやってんだ、成美の奴は?」

かれこれ二十分が過ぎたというのに、

一向に成美が帰ってくる気配が全然ないのだが?

「成美の奴、あいつらの見学にまだ現を抜かしていやがるのか?」

俺はイケメン集団『黄昏の果て』のいる方角に嫌々ながら目線を移す。

すると、

「......あ」

その目線の少し前のグラウンドに続く通路で、俺が先程予想していた事態に
陥っている成美を見つけた。
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