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2章・異世界帰り
007・イケメンとモブ
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「彼女......か。そういえば、あいつもイケメンに目が眩んだひとりだったな」
俺はかつて仲睦まじく毎日をイチャイチャな関係だった元彼女...恵美の顔を
脳裏の中に思い浮かべる。
「でも面白いよな。あれほどに恵美の裏切りに苛ついていたっていうのに、
今はもうそんな感情が一切沸いてこないなんて......」
召喚された当初、俺は浮気しやがったあいつへの怒りだけを糧として、
異世界で強くなっていった。
そんな俺だったっていうのに、
今では「そんな奴もいったっけ?」ってな感じで懐かしむ様になって
いるんだもんな。
「はは...ホント、感慨深いよな......」
でもさ、異世界での生活の中、イケメンと言われる連中と関わって
俺はつくづく思ったよ。
俺らみたいな普通人...陰キャラは、イケメン陽キャラどもには戦わずして
敗北してしまう運命にあるんだという事に。
母さんから聞いた話じゃ、恵美の浮気相手であるイケメン野郎も学校一の
文武両道で、勉強もスポーツもトップクラス。
二年生の時には生徒会長にも選ばれたらしくて、そんなんだから当然、
女子生徒にもモテモテな存在らしい。
「こんな奴が相手だったんだ。当時の俺が有無も言わせずに恵美を取られても
しょうがないか.....」
だってあの当時の俺って、ホント何の取り柄もない陰キャラだったからな。
「......そんな奴の努力や頑張りなんか、完璧イケメンの前じゃ、霞んで消えて
当たり前か......」
恵美の浮気相手とその当時の俺とでは、あまりにもレベルや住む世界が
違った事に「......あはは」と、思わず苦笑いが口からこぼれ落ちてしまう。
「ふん......まぁいいさ。所詮、今更のお話しだからな.......」
そんな事よりも......まずはこっちだ。
「おお、スゲェッ!めっちゃ若いじゃん、俺の顔っ!メリアーナの言った通り、
俺ってば、本当にあの時の年齢に戻ってんだなっ!」
俺は取り敢えず、イケメン共の事をポイと横に放り捨てると、近くにあった
鏡に映っている自分の顔をペタペタと両手で触り、若返っている自分の姿に
驚きを露にする。
「それに時間の方も、あの時に戻っているな......」
ポケットに入れていたスマホをスッと取り出して電源をオンにすると、
俺がトラックに引かれる前、家を出る時に見た時計の時間...それに近い
時間が携帯電話に表示されていた。
「......それに」
目の前にある壁に貼ってあるポスターへ、俺は目を移す。
「これもメリアーナの言う通りか......」
メリアーナがいうには、こちらの世界でも俺達勇者の力の影響にて
バランスが狂ってしまうだろうと告げられていた。
しかしそのバランスの狂いは、致命的な崩れではないそうなので、
神々の協議の結果、それを放置する事となったらしい。
そしてそのバランスの狂いがどんなものかと、俺がメリアーナに問うと、
それはあちらの世界にあった魔物の巣窟『ダンジョン』。
各階層が草原だったり、山だったり、海だったりと異なる場所が
待ち受けている『地下迷宮』。
下層へ下層へと降って行き、最下層を目指すダンジョンや地下迷宮とは
違い、上へ上と昇って行き、頂上を目指す事が目的の『塔』。
これらがこちらの世界にも出現するだろうと。
そしてその変化に伴い、こちらの世界の種族にも、あちらの住人同様に
スキルや魔法、レベルやステータスがこちらの世界の住人にも備わる
だろうとの事だった。
俺はかつて仲睦まじく毎日をイチャイチャな関係だった元彼女...恵美の顔を
脳裏の中に思い浮かべる。
「でも面白いよな。あれほどに恵美の裏切りに苛ついていたっていうのに、
今はもうそんな感情が一切沸いてこないなんて......」
召喚された当初、俺は浮気しやがったあいつへの怒りだけを糧として、
異世界で強くなっていった。
そんな俺だったっていうのに、
今では「そんな奴もいったっけ?」ってな感じで懐かしむ様になって
いるんだもんな。
「はは...ホント、感慨深いよな......」
でもさ、異世界での生活の中、イケメンと言われる連中と関わって
俺はつくづく思ったよ。
俺らみたいな普通人...陰キャラは、イケメン陽キャラどもには戦わずして
敗北してしまう運命にあるんだという事に。
母さんから聞いた話じゃ、恵美の浮気相手であるイケメン野郎も学校一の
文武両道で、勉強もスポーツもトップクラス。
二年生の時には生徒会長にも選ばれたらしくて、そんなんだから当然、
女子生徒にもモテモテな存在らしい。
「こんな奴が相手だったんだ。当時の俺が有無も言わせずに恵美を取られても
しょうがないか.....」
だってあの当時の俺って、ホント何の取り柄もない陰キャラだったからな。
「......そんな奴の努力や頑張りなんか、完璧イケメンの前じゃ、霞んで消えて
当たり前か......」
恵美の浮気相手とその当時の俺とでは、あまりにもレベルや住む世界が
違った事に「......あはは」と、思わず苦笑いが口からこぼれ落ちてしまう。
「ふん......まぁいいさ。所詮、今更のお話しだからな.......」
そんな事よりも......まずはこっちだ。
「おお、スゲェッ!めっちゃ若いじゃん、俺の顔っ!メリアーナの言った通り、
俺ってば、本当にあの時の年齢に戻ってんだなっ!」
俺は取り敢えず、イケメン共の事をポイと横に放り捨てると、近くにあった
鏡に映っている自分の顔をペタペタと両手で触り、若返っている自分の姿に
驚きを露にする。
「それに時間の方も、あの時に戻っているな......」
ポケットに入れていたスマホをスッと取り出して電源をオンにすると、
俺がトラックに引かれる前、家を出る時に見た時計の時間...それに近い
時間が携帯電話に表示されていた。
「......それに」
目の前にある壁に貼ってあるポスターへ、俺は目を移す。
「これもメリアーナの言う通りか......」
メリアーナがいうには、こちらの世界でも俺達勇者の力の影響にて
バランスが狂ってしまうだろうと告げられていた。
しかしそのバランスの狂いは、致命的な崩れではないそうなので、
神々の協議の結果、それを放置する事となったらしい。
そしてそのバランスの狂いがどんなものかと、俺がメリアーナに問うと、
それはあちらの世界にあった魔物の巣窟『ダンジョン』。
各階層が草原だったり、山だったり、海だったりと異なる場所が
待ち受けている『地下迷宮』。
下層へ下層へと降って行き、最下層を目指すダンジョンや地下迷宮とは
違い、上へ上と昇って行き、頂上を目指す事が目的の『塔』。
これらがこちらの世界にも出現するだろうと。
そしてその変化に伴い、こちらの世界の種族にも、あちらの住人同様に
スキルや魔法、レベルやステータスがこちらの世界の住人にも備わる
だろうとの事だった。
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