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1章・彼女にフられた俺
005・そして勇者は冒険を開始する
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「ち、ちょっと、待ってくださいよ!?魔王を倒すってなんですかっ!?
普通に嫌なんですけどっ!?」
マジで何言ってんの、この人!?
冗談じゃないぞっ!
「じ、自慢にはなりませんけど、俺の身体能力は人並みの平均より以下で
更にコミュニケーションも全く取れやしない、モブキャラさんなんですよ!
そ、そんな俺が勇者?ホント無理ですって、無理無理っ!!
絶っ対に無理っ!
出来る訳ないじゃんっ!!
「うふふ、大丈夫ですよ勇者様。そんな心配なんていりません。何故なら
貴方は『勇者』様なのですから♪」
「貴方は『勇者』様なのですから♪......じゃねぇよっ!!」
その言葉に何の説得力も脈絡もないじゃねぇかっ!!!
「こいつ......ひょっとしてこの女神様、ポンコツなのか?」
「ちょ、ヒドイですわ勇者様!?わたくしの事をポンコツ呼ばわりする
なんて~~っ!」
あ、やば!声に出ちゃってたっ!
「まったく......えっと、貴方様がさっき仰っていた身体能力の件ですが、
そこはご安心して下さいな。勇者になりさえすれば、その問題は無用の
ナッシングですので。何せ、勇者というジョブはわたくしの恩恵と贔屓を
思いっきり受けたジョブです。ハッキリ言いまして、そんじょそこいらの
上級ジョブの力や魔力なんぞ、尻尾巻いて逃げるくらいのレベルですよ!」
メリアーナは鼻息荒くをフンスと吐きながら、俺の不安に思っている
要素を矢継ぎ早の言葉で取り除く。
そして軽く息を吸って吐いてをした後、呼吸を整えて話の続きを始める。
「更にこの勇者ジョブには、まだプラス要素があるんですよ!それは
ですね、なんと他のジョブでは習得することの叶わない勇者専用の
超~強力なスキルや、超~強力な魔法をゲットする事が出来るんです!
うふふ、やったねっ♪」
勇者ジョブの凄さと素晴らしさを語り終えたメリアーナは、したり顔で
エッヘンとふんぞり反る。
「上位ジョブより特化し、更に超強力なスキルと魔法......か」
だとしたら俺にもやれるかも?
っていやいや。
やっぱ無理無理!
モブキャラの俺が、陽キャラの代表みたいな存在の勇者をやるだなんて。
お門違いも良い所だよっ!
「ああ。でも......な」
俺は、ふと考える。
「異世界に渡り勇者となって、メリアーナの使命に没頭すれば恵美の事を
忘れられるのでは!?」
...と。
そして俺は、更に深く考える。
「これはターニングポイントで、あいつの事を吹っ切る絶好の大チャンス
なのではっ!?」
......と。
そうだよな......例え勇者になる事を断って、元の世界に帰れたと
しても、きっと今まで通り、あいつの事でダラダラと未練がましく
時を過ごすのが目に見えてくる。
「......だったらさ。そんな負け犬根性で元の世界を生きるよりも、
勇者の道を選択した方が、きっと充実した人生だよなっ!」
迷いを振り払うかのように拳をグッと強く握り締めると、俺の表情は
決意新たな希望に満ちた表情へと変わっていく。
「おお、その表情!もしかしてヤル気が出てきましたか、勇者様♪」
「......そうだね。ガシッと出てきましたっ!」
俺はニコッと微笑み、メリアーナの顔を見る。
「おお!本気ですか勇者様!何だかよく分かりませんが、でも勇者様の
お心に心境の変化があって良かったです!これで創造神から長~~い
お説教を食らわずに済みそうです♪」
俺の決意の言葉に、メリアーナは安堵でホッと胸を撫で下ろす。
メリアーナ様、マジで安堵の表情をしているな......
「......創造神の説教って、よっぽどなんだろうな」
......まぁいい。
今はそんな事よりも、
「所でメリアーナ様。俺は一体どんな感じでメリアーナ様の世界に行くん
ですか?正直いって録でもない人物との接触は勘弁願いたいんですが......」
ほら、ラノベなんかで良くあるじゃんか。
クソみたいな王とか王女、そして貴族どもに理不尽に利用される展開がさ。
「あ、それは心配ご無用ですよ、勇者様!貴方が今から召喚される場所は
わたくしを崇拝する人物達がいる城です。したがってあなたを蔑ろにする事は
絶対にありえませんので♪」
「そ、それが本当なら、安心なんですけど......」
......で、でも、
そんなドヤ顔で絶対なんて言われちゃうと、何かフラグっぽくて物凄く
嫌な予感がするんですけど!?
「コホンッ!え~ではでは、勇者!早速ではございますけど、地上への
召喚を開始させていただきますねぇっ!」
「――へ!?メ、メリアーナ様!?俺まだ勇者のスキルと魔法の説明を
ひとつも受けていないんですけ――――」
「わたくしの世界をどうかお救い下さいませ、勇者様!切に祈って
おりますっ!」
「ちょっとぉぉぉおっ!?切に祈っております......じゃねぇぇぇえっ!」
勇者の力をちゃんと説明してくれやぁぁぁぁあっ!!
無知識で危険な異世界を旅したくないんですけどぉぉぉぉおっ!?
「クソォォオッ!やっぱこの女神、ポンコツの駄女神だぁぁぁぁああっ!!」
こうして俺は勇者の持つスキルや魔法の説明を全く受ける事なく、知識なしの
状態で地上へと転移させられてしまうのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ!そうそう。あの世界にはあなた以外にも勇者様達が召喚されて
いますので、その連中と仲良くなって、共に魔王を退治して下さいねぇ♪」
既に転移して聞いていないだろう溯夜に対して、メリアーナが届く事のない
追加情報を伝える。
普通に嫌なんですけどっ!?」
マジで何言ってんの、この人!?
冗談じゃないぞっ!
「じ、自慢にはなりませんけど、俺の身体能力は人並みの平均より以下で
更にコミュニケーションも全く取れやしない、モブキャラさんなんですよ!
そ、そんな俺が勇者?ホント無理ですって、無理無理っ!!
絶っ対に無理っ!
出来る訳ないじゃんっ!!
「うふふ、大丈夫ですよ勇者様。そんな心配なんていりません。何故なら
貴方は『勇者』様なのですから♪」
「貴方は『勇者』様なのですから♪......じゃねぇよっ!!」
その言葉に何の説得力も脈絡もないじゃねぇかっ!!!
「こいつ......ひょっとしてこの女神様、ポンコツなのか?」
「ちょ、ヒドイですわ勇者様!?わたくしの事をポンコツ呼ばわりする
なんて~~っ!」
あ、やば!声に出ちゃってたっ!
「まったく......えっと、貴方様がさっき仰っていた身体能力の件ですが、
そこはご安心して下さいな。勇者になりさえすれば、その問題は無用の
ナッシングですので。何せ、勇者というジョブはわたくしの恩恵と贔屓を
思いっきり受けたジョブです。ハッキリ言いまして、そんじょそこいらの
上級ジョブの力や魔力なんぞ、尻尾巻いて逃げるくらいのレベルですよ!」
メリアーナは鼻息荒くをフンスと吐きながら、俺の不安に思っている
要素を矢継ぎ早の言葉で取り除く。
そして軽く息を吸って吐いてをした後、呼吸を整えて話の続きを始める。
「更にこの勇者ジョブには、まだプラス要素があるんですよ!それは
ですね、なんと他のジョブでは習得することの叶わない勇者専用の
超~強力なスキルや、超~強力な魔法をゲットする事が出来るんです!
うふふ、やったねっ♪」
勇者ジョブの凄さと素晴らしさを語り終えたメリアーナは、したり顔で
エッヘンとふんぞり反る。
「上位ジョブより特化し、更に超強力なスキルと魔法......か」
だとしたら俺にもやれるかも?
っていやいや。
やっぱ無理無理!
モブキャラの俺が、陽キャラの代表みたいな存在の勇者をやるだなんて。
お門違いも良い所だよっ!
「ああ。でも......な」
俺は、ふと考える。
「異世界に渡り勇者となって、メリアーナの使命に没頭すれば恵美の事を
忘れられるのでは!?」
...と。
そして俺は、更に深く考える。
「これはターニングポイントで、あいつの事を吹っ切る絶好の大チャンス
なのではっ!?」
......と。
そうだよな......例え勇者になる事を断って、元の世界に帰れたと
しても、きっと今まで通り、あいつの事でダラダラと未練がましく
時を過ごすのが目に見えてくる。
「......だったらさ。そんな負け犬根性で元の世界を生きるよりも、
勇者の道を選択した方が、きっと充実した人生だよなっ!」
迷いを振り払うかのように拳をグッと強く握り締めると、俺の表情は
決意新たな希望に満ちた表情へと変わっていく。
「おお、その表情!もしかしてヤル気が出てきましたか、勇者様♪」
「......そうだね。ガシッと出てきましたっ!」
俺はニコッと微笑み、メリアーナの顔を見る。
「おお!本気ですか勇者様!何だかよく分かりませんが、でも勇者様の
お心に心境の変化があって良かったです!これで創造神から長~~い
お説教を食らわずに済みそうです♪」
俺の決意の言葉に、メリアーナは安堵でホッと胸を撫で下ろす。
メリアーナ様、マジで安堵の表情をしているな......
「......創造神の説教って、よっぽどなんだろうな」
......まぁいい。
今はそんな事よりも、
「所でメリアーナ様。俺は一体どんな感じでメリアーナ様の世界に行くん
ですか?正直いって録でもない人物との接触は勘弁願いたいんですが......」
ほら、ラノベなんかで良くあるじゃんか。
クソみたいな王とか王女、そして貴族どもに理不尽に利用される展開がさ。
「あ、それは心配ご無用ですよ、勇者様!貴方が今から召喚される場所は
わたくしを崇拝する人物達がいる城です。したがってあなたを蔑ろにする事は
絶対にありえませんので♪」
「そ、それが本当なら、安心なんですけど......」
......で、でも、
そんなドヤ顔で絶対なんて言われちゃうと、何かフラグっぽくて物凄く
嫌な予感がするんですけど!?
「コホンッ!え~ではでは、勇者!早速ではございますけど、地上への
召喚を開始させていただきますねぇっ!」
「――へ!?メ、メリアーナ様!?俺まだ勇者のスキルと魔法の説明を
ひとつも受けていないんですけ――――」
「わたくしの世界をどうかお救い下さいませ、勇者様!切に祈って
おりますっ!」
「ちょっとぉぉぉおっ!?切に祈っております......じゃねぇぇぇえっ!」
勇者の力をちゃんと説明してくれやぁぁぁぁあっ!!
無知識で危険な異世界を旅したくないんですけどぉぉぉぉおっ!?
「クソォォオッ!やっぱこの女神、ポンコツの駄女神だぁぁぁぁああっ!!」
こうして俺は勇者の持つスキルや魔法の説明を全く受ける事なく、知識なしの
状態で地上へと転移させられてしまうのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ!そうそう。あの世界にはあなた以外にも勇者様達が召喚されて
いますので、その連中と仲良くなって、共に魔王を退治して下さいねぇ♪」
既に転移して聞いていないだろう溯夜に対して、メリアーナが届く事のない
追加情報を伝える。
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