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教団と大精霊

第343話-魔法談話-

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「バナフェスの周辺で教団の目撃談が相次いでいてね、施設みたいなのがあるって言われてるのよ」

 チェルさんは私たちの向かう先のことを教えてくれた。
 私は当然この世界のことが分かってない、だけどユリィも私と同じようにバナフェスの事は知らなかった。

「教団のことはあまり知らなくて……」
「その方がいいと思うわ。関わらない方がいいに決まってるもの」
「昔からヤバそうな奴らでしたもんね……」

 しみじみとガルド城での事を思い出す。今思えばとんでも手品集団ではあったけど、それでも脅威ではあった。
 特に最後に出てきた剣士は私達が束になってギリギリやり過ごせたレベルだった。まぁ私なんて戦力外だったけどさ。

「今では信者も多くなってきているのよね。ある意味当然だけど」
「当然?」
「昔から崇めてた偶像が本当にあったんだもの、信者も増えるわ」
「魔法が本当に存在したからですね」
「正解、ユリィさん」

 確かに当然と言えば当然か。神様を崇めていたら神様が本当に降臨した。なんてなったら信者は増えるだろうに。

「結局魔法がなんで出てきたんですか?」

 ふとした疑問だった。ユリィにこの世界に来た時に説明はされていたけど、結局分からないままだった。

「私は知らないわ。あの人もね」

 指差す先は馬車の先頭、バレルさんの方だ。

「調べた事はあったんだけどね。それが何故かは結局分からないまま。今は現実として受け入れているわ」
「私には使えない魔法ですけど、今では身近なものですものね」
「精霊憑きも大変ね」

 確かに精霊憑きの魔法は特殊すぎて生活には不便かもしれない。私の魔法はまだしも、ユリィの魔法は何の役に立つかと聞かれたら正直分からない。

「でもこれからは少し教団に近づかないといけないんですよね」

 あの獣人の事は忘れられない。私達が狙われる存在だとしても調べるためには避けられない。

「とは言っても近付くのはあの人と私だけよ。貴方達は距離を離すようにするから」
「えっ?」
「当然よ。向こうから来るならまだしも、こっちから接触する事はないからね」

 心配してくれてるのは分かるけどそれはそれでこっちが心配だ。集団に対して二人だけで調べる事が出来るものなのか。
 そんな事を話していると馬車が大きく動いた。景色の流れが遅くなっていく。私たちが乗っている方が速度を落としたらしい。馬車は横一列から縦一列の布陣になった。
 そのすぐ後に荷台からはすれ違った人の姿が見えて距離が空いていく。また景色の流れがさっきと同じものになってくる。

「あれ?」

 ユリィが荷台からの景色を見て何かに気づいた。

「止まってください!」

 ユリィの一声で馬車がいきなり速度を落とした。ユリィ含め私たちと荷物は勢いに負けて進行方向へと転がった。
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