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新たなる始まり
第325話-精霊の魔法-
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ヤンからの話によると私たちを追っていた一人がヤンが戦う所へ逃げてきて、状況を伝えて、そのまま逃げ帰ったらしい。ヤンが戦っていたのがリーダーらしく、命令を出していたのもそいつだったとか。
その後ヤンは大きな音がした方へ来てくれて私達を見つけてくれた。
その場で私を動かすことも出来ずに困っていたユリィと倒れて血まみれの私を今ここにいる離れた洞窟へと運んで手当てをしてくれた。
「ありがとう。ヤンは頼りになるね」
「当たり前のことをしかしてねぇ。むしろこっちが面食らったわ」
「だ、だよねー」
私は笑って誤魔化した。
今度は私のことも話した。何があってこうなったか。ユリィからは話は聞いていたけど、私からの視点での話をした。
ヤンとユリィは聞いてるだけで、相槌を打つ様にたまに反応をしてくれる。
「何が起こったか結局詳しくは分からねぇが、お嬢が魔法を使える様にはなったってことだな」
「うん。間違いない」
「しかも優子さんは精霊憑きです。それも間違いありません」
ユリィが断言した。
「私の話からさせてもらいます。私は今回優子さんにかけていたこちらに呼ぶための魔法を解きました」
「呼ぶ魔法ってのは使ったらそれで終わりじゃないのか? そもそもあんたの精霊はなんなんだ?」
「優子さんから聞いているとは思いますが改めて……。私に憑いている精霊は魂の精霊です。最初は優子さんの魂だけをこちらに呼べていました。ただ、今ではご覧のとおり、彼女の魂を呼び、それに合わせて彼女の身体さえも呼べる様になりましたが」
それは前にも聞いていた。ただ、改めてその話を聞くといかに精霊が凄いものなのかと言うことを再認識させられた。
「ただ、呼ぶ魔法は使って終わりではありません。呼んだ魂を留めておくのに私の生命力を回しています。だから他の魔法が使えなかったんです」
「なるほどな。それを今回解いた。なのにお嬢がここにいるってのが不思議な事になるんだな」
「そうなんです。それは色々考えてみましたが答えは出ませんでした」
確かにあの時ユリィは慌ててた。私にもその理由は当然分からない。
「他の魔法ってのはどんなのが使えるんだ?」
「優子さんが精霊憑きだと断言出来たのもその話になります。私は人の魂が見えるんです。色の付いた球の様なものですね」
魂が見える。それはにわかには信じにくいけど、嘘ではないんだろう、それが魔法であり、精霊の恩恵なのかもしれない。私の魔法の様に。
「優子さんの魂の色は特殊です。他の人とは違いますから、だから断言出来ました」
「なるほどな。他には使えないのか?」
「今はこのくらいですね。精霊憑きの魔法は万能ではないので……」
「分かった。ありがとよ。そしたら次はお嬢だ」
二人の視線が私に集まった。
二人とも気になって仕方ないんだろう。あの大きな手が出てくる様な精霊憑きの魔法が……。
「私の精霊は……」
その後ヤンは大きな音がした方へ来てくれて私達を見つけてくれた。
その場で私を動かすことも出来ずに困っていたユリィと倒れて血まみれの私を今ここにいる離れた洞窟へと運んで手当てをしてくれた。
「ありがとう。ヤンは頼りになるね」
「当たり前のことをしかしてねぇ。むしろこっちが面食らったわ」
「だ、だよねー」
私は笑って誤魔化した。
今度は私のことも話した。何があってこうなったか。ユリィからは話は聞いていたけど、私からの視点での話をした。
ヤンとユリィは聞いてるだけで、相槌を打つ様にたまに反応をしてくれる。
「何が起こったか結局詳しくは分からねぇが、お嬢が魔法を使える様にはなったってことだな」
「うん。間違いない」
「しかも優子さんは精霊憑きです。それも間違いありません」
ユリィが断言した。
「私の話からさせてもらいます。私は今回優子さんにかけていたこちらに呼ぶための魔法を解きました」
「呼ぶ魔法ってのは使ったらそれで終わりじゃないのか? そもそもあんたの精霊はなんなんだ?」
「優子さんから聞いているとは思いますが改めて……。私に憑いている精霊は魂の精霊です。最初は優子さんの魂だけをこちらに呼べていました。ただ、今ではご覧のとおり、彼女の魂を呼び、それに合わせて彼女の身体さえも呼べる様になりましたが」
それは前にも聞いていた。ただ、改めてその話を聞くといかに精霊が凄いものなのかと言うことを再認識させられた。
「ただ、呼ぶ魔法は使って終わりではありません。呼んだ魂を留めておくのに私の生命力を回しています。だから他の魔法が使えなかったんです」
「なるほどな。それを今回解いた。なのにお嬢がここにいるってのが不思議な事になるんだな」
「そうなんです。それは色々考えてみましたが答えは出ませんでした」
確かにあの時ユリィは慌ててた。私にもその理由は当然分からない。
「他の魔法ってのはどんなのが使えるんだ?」
「優子さんが精霊憑きだと断言出来たのもその話になります。私は人の魂が見えるんです。色の付いた球の様なものですね」
魂が見える。それはにわかには信じにくいけど、嘘ではないんだろう、それが魔法であり、精霊の恩恵なのかもしれない。私の魔法の様に。
「優子さんの魂の色は特殊です。他の人とは違いますから、だから断言出来ました」
「なるほどな。他には使えないのか?」
「今はこのくらいですね。精霊憑きの魔法は万能ではないので……」
「分かった。ありがとよ。そしたら次はお嬢だ」
二人の視線が私に集まった。
二人とも気になって仕方ないんだろう。あの大きな手が出てくる様な精霊憑きの魔法が……。
「私の精霊は……」
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