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Time can only move forward
第265話-魂のリレー-
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アリスが何かを言ったあとにその異変は起こった。瞬きをすると一面白い景色が広がっていた。さっきまで学院にいたはずなのに。
ただ一面の白い景色の中に一つ不純物がいた。景色ほど白くはない。透き通った丸みを帯びた物が浮かんでいた。
なんとなくではあるけど、ホラー映画に出てくる様な人魂の様にも見える。
「何あれ」
人魂の様な物に近づこうとした。すると私の身体にも違和感があった。真っ白な地面に足がついて居ない。それどころか手も足もない。鏡がないけど恐らく顔もない。
近づこうとしていた人魂のような形に私もなっているのかも知れない。それを一人で観測する方法はない。
「そ、それならもういいわ。なんだか不思議な事に慣れて来た気がする」
慣れというのは恐ろしいと思いながらも人魂に近づいた。むしろこの人魂みたいなものに対しての好奇心が働いた。
「貴方多分さっきまで喋ってた人?」
突然目の前の人魂から声が聞こえた。いや、聞こえたと言うかは頭の中に響いて来た。
「えっ。えっ。何?」
「何はこっちよ。貴方よね私になって生活してたの?」
この言葉から考えると多分だけど一人しか思いつかなかった。
「フランソワ?」
当たっていた。私もまだまだ捨てたもんじゃないのかもしれない。
「そうよ。それで貴方は?」
「優子」
「ユウコ? そうまぁいいわ。良くもまぁ好き勝手やってくれてたのね」
「ごめんなさい。悪いとは思いつつも……」
「その考えも私に伝わってたから知ってるわ。悪い人間じゃなさそうだけど、貴方なんなのかしら」
「いやー。それは私にも分からない。目が覚めたら貴方だったから。むしろ貴方は今までどういう状態だったの?」
「分からないわよ。ただ、貴方の見た物、感じたものはうっすら感じてた。ただずっと眠たい様な気はしていたけど」
「そ、そうなんだ。」
「言っとくけど貴方の好きな味付けちょっと濃いわ」
「濃い目いいじゃない。この世界が薄すぎたのよ」
こんな大事な場面で何を言っているのかと思ってはしまったけど、反論せずにはいられなかった。
「でもこれからどうなるのかな。貴方に身体を返さないといけないとは思うんだけど」
「そうね。私としてもこのままじゃ困るわ。色々と」
「そうよね……」
「貴方! 大丈夫!? どうなってるの?」
「えっ、何が?」
「身体が薄くなってるわよ!」
「何それ、私から見えないから分からないんだけど!」
フランソワから見ると私は薄くなっているらしい。もしかしたら元の姿に戻るのかも知れない。魔法の時間も終わりかな。
「どうなるか分からないからとりあえずお礼は言っておくわ。色々やってはくれた様だけど、すごい事してたじゃない貴方」
「色々やらかしといてなんだけど、もしかしたら後は貴方に任せる事になるのかも知れない」
「貴方消えるの?」
「分からない。だけだ、なんとなくそう思える。だってだからこうしてフランソワと話せてるのかも知れないじゃない」
「どうかしらね。ゆっくりと腰を据えて話してみたかったけど」
「私も。残念だな」
多分私は目が覚めたらフランソワじゃなくなっている。そう思ったのは嘘じゃない。もしかしたらお互いの姿は魂の姿なのも知れない。それがお互い認識できたって事はお別れなのかも知れない。
別れた後でもこの記憶があるのかは分からない。だけど、あれば良いなとは思う。
「ねぇ。もし私が消えてたらアリスに伝言お願い」
「分かったわ」
「『これからも頑張って』って。」
「それだけ?」
「うん。これ以上は無粋ってもんじゃない?」
「どうかしらね」
「それにあんまり長いと覚えられないかも知れないし」
「私はそこまで馬鹿じゃない」
言葉だけだと馬鹿にしている様かも知れないけど、お互いに表情があれば笑いながら言っていると思う。
「そろそろ貴方見えなくなるわよ」
「やっぱり? なんだか眠たくなって来たかも」
「また入れ替わって今度は私の場所に貴方がいるかも知れないわね」
「そうかな? でも私としてはまた貴方に会えるチャンスがあれば何でも嬉しいけどね。そろそろやばいかも。また会えるといいね」
「えぇ。そうね。貴方のことは忘れないつもり」
「私も」
その言葉を言うのが限界だった。最後の一言を伝えて私は抗え無い眠気に屈してしまった。
ただ一面の白い景色の中に一つ不純物がいた。景色ほど白くはない。透き通った丸みを帯びた物が浮かんでいた。
なんとなくではあるけど、ホラー映画に出てくる様な人魂の様にも見える。
「何あれ」
人魂の様な物に近づこうとした。すると私の身体にも違和感があった。真っ白な地面に足がついて居ない。それどころか手も足もない。鏡がないけど恐らく顔もない。
近づこうとしていた人魂のような形に私もなっているのかも知れない。それを一人で観測する方法はない。
「そ、それならもういいわ。なんだか不思議な事に慣れて来た気がする」
慣れというのは恐ろしいと思いながらも人魂に近づいた。むしろこの人魂みたいなものに対しての好奇心が働いた。
「貴方多分さっきまで喋ってた人?」
突然目の前の人魂から声が聞こえた。いや、聞こえたと言うかは頭の中に響いて来た。
「えっ。えっ。何?」
「何はこっちよ。貴方よね私になって生活してたの?」
この言葉から考えると多分だけど一人しか思いつかなかった。
「フランソワ?」
当たっていた。私もまだまだ捨てたもんじゃないのかもしれない。
「そうよ。それで貴方は?」
「優子」
「ユウコ? そうまぁいいわ。良くもまぁ好き勝手やってくれてたのね」
「ごめんなさい。悪いとは思いつつも……」
「その考えも私に伝わってたから知ってるわ。悪い人間じゃなさそうだけど、貴方なんなのかしら」
「いやー。それは私にも分からない。目が覚めたら貴方だったから。むしろ貴方は今までどういう状態だったの?」
「分からないわよ。ただ、貴方の見た物、感じたものはうっすら感じてた。ただずっと眠たい様な気はしていたけど」
「そ、そうなんだ。」
「言っとくけど貴方の好きな味付けちょっと濃いわ」
「濃い目いいじゃない。この世界が薄すぎたのよ」
こんな大事な場面で何を言っているのかと思ってはしまったけど、反論せずにはいられなかった。
「でもこれからどうなるのかな。貴方に身体を返さないといけないとは思うんだけど」
「そうね。私としてもこのままじゃ困るわ。色々と」
「そうよね……」
「貴方! 大丈夫!? どうなってるの?」
「えっ、何が?」
「身体が薄くなってるわよ!」
「何それ、私から見えないから分からないんだけど!」
フランソワから見ると私は薄くなっているらしい。もしかしたら元の姿に戻るのかも知れない。魔法の時間も終わりかな。
「どうなるか分からないからとりあえずお礼は言っておくわ。色々やってはくれた様だけど、すごい事してたじゃない貴方」
「色々やらかしといてなんだけど、もしかしたら後は貴方に任せる事になるのかも知れない」
「貴方消えるの?」
「分からない。だけだ、なんとなくそう思える。だってだからこうしてフランソワと話せてるのかも知れないじゃない」
「どうかしらね。ゆっくりと腰を据えて話してみたかったけど」
「私も。残念だな」
多分私は目が覚めたらフランソワじゃなくなっている。そう思ったのは嘘じゃない。もしかしたらお互いの姿は魂の姿なのも知れない。それがお互い認識できたって事はお別れなのかも知れない。
別れた後でもこの記憶があるのかは分からない。だけど、あれば良いなとは思う。
「ねぇ。もし私が消えてたらアリスに伝言お願い」
「分かったわ」
「『これからも頑張って』って。」
「それだけ?」
「うん。これ以上は無粋ってもんじゃない?」
「どうかしらね」
「それにあんまり長いと覚えられないかも知れないし」
「私はそこまで馬鹿じゃない」
言葉だけだと馬鹿にしている様かも知れないけど、お互いに表情があれば笑いながら言っていると思う。
「そろそろ貴方見えなくなるわよ」
「やっぱり? なんだか眠たくなって来たかも」
「また入れ替わって今度は私の場所に貴方がいるかも知れないわね」
「そうかな? でも私としてはまた貴方に会えるチャンスがあれば何でも嬉しいけどね。そろそろやばいかも。また会えるといいね」
「えぇ。そうね。貴方のことは忘れないつもり」
「私も」
その言葉を言うのが限界だった。最後の一言を伝えて私は抗え無い眠気に屈してしまった。
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