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Time can only move forward

第245話-もう一度友達に-

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「フ、フランソワ様! 昨日は申し訳ございませんでした」
「気にしないで、私こそごめんなさい。昨日私からぶつかってしまったのに何も言ってなかったから」
「お怪我はありませんでしたか? あの後帰られたとお聞きしまして……」
「さっきも言ったでしょ、気にしないで大丈夫だから帰ったのは貴方のせいじゃないから」

 必死に謝ってくるアリスを見てるとこの世界に来た時の事を思い出す。あの時もゲームと一緒でアリスとぶつかったんだっけな。

「それは……良かったです」

 アリスが安堵した表情を浮かべた。当然領主の娘の怒りは買いたくないだろうし当然か。

「そ、それでは私はこれで失礼します」
「あっ! 待って頂戴」
「えっ?」

 前はアリスに見惚れてそのまま行かせてしまった。でも今回は違う。あの時の浮かれ切っていた私じゃないし、昨日みたいに動揺している私でもない。

「アリスさん私と友達になってくれないかしら」

 今回はこの場で友達になってもらおう。そしたら一日でも早く、前と同じ状況に戻せる。なんなら前よりも友達として過ごす時間は長くなる。

「私の名前を覚えてくれていたんですか?」

 「当然じゃない。呼び慣れているくらいよ。前から友達だったのよ」なんて言えるわけもない。そう、この時間では初めて友達になるんだ。私だけが知ってる違和感。この違和感は拭えない。

「当たり前じゃない。同じ学院の生徒じゃないの」

 確か前もこう言ったような気がする。そしたら確かアリスはお礼を言ってくれたんだ。私はその事に内心驚いたんだっけな。「名前覚えてくれるだけでお礼を言われるなんて」って。

「そう言う事でしたか。ありがとうございます」

 ほらやっぱりね。アリスは変わらない。
 ハニカム笑顔が可愛いのも変わらない。私はその魅力に取り憑かれていたんだ。
 前の時間だと最後は色々あってアリスの表情をゆっくりと見ることはなかった。私自身心の余裕がなかった。だから久々に見たアリスに癒される。
 問題が解決したわけじゃないのは分かってる。だけど、心の潤いは必要だ。

「良かったら私達と今日お昼を食べない?」
「私がですか? よろしいのですか?」
「勿論、他にも二人いるから紹介するわ。私の友達だって」
「あ、ありがとうございます。でも本当によろしいのですか……? 友達になって下さり、お昼までご一緒なんて……」
「私がそうしたいの。明日はやる事があるから今日食べておきたいの」
「分かりました。お邪魔させて頂きます」
「お邪魔なんて事ないから大丈夫。約束ね」
「はい」

 私が先約を入れたから前みたいに困る事もないだろうに。確か前はクラスの誰かに誘われてたんだっけかな。

「ところで……。差し出がましいのですが、好奇心で失礼致します。明日はお忙しいのですか?」
「ちょっと野暮用ってやつでね」

 明日の予定はともかく……。こうして私はまたアリスと無事に友達になれた。
 幸先はどうやらいいらしい。
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