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嵐の来訪者

第209話-邂逅-

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 ここに来てから何日が経ったのか。正確には分からない。ただ、3日以上は経っている、そんな気がしてやまない。
 日の暮れも正確には分からないこの部屋の中で規則正しい生活は可能な限りしていても時間の流れは掴めなかった。
 ここに見張りに来る男達は定期的に交代している。その時少し外が見えるだけでここでの数少ない刺激になっていた。
 飯はそれなり。男しかいないこの空間での水浴びも、今いる部屋の一角で出来るのだから最低限の生活だけは出来ているのは救いだ。

 ドアを叩く音が聞こえた。木で出来た扉から聞き慣れた音は男達の入れ替わりの合図。自由だったらそのタイミングで脱出を図るが武器もなく、何より目の前の鉄格子がそれを拒んでいる。たがら今日も席を立つ男を横目で見ていた。

「なんだ……おま……!」

 今度は聞き慣れない男の叫び声が聞こえた。最後まで聞こえることはなかった。明らかに途中から聞き取れなくなっていた。そして何かが倒れる音がした。

「お前……あん時の……」

 扉を開けた男が倒れた先にいたのはいつぞやにお嬢が近衛騎士に誘っていた男。

「まさか貴方がいるなんて思ってなかったですよ」

 そう言いながらさっきまで男のいた机を漁って鍵を見つけて鉄格子を開いた。
 出ろと言うことなのか、罠を警戒しながら鉄格子を潜った。

「色々聞きたい事はあるんだが……ありがとう助かった」
「別にいいですよ。こっちも聞きたい事があるんで」
「聞きたい事? まぁそしたらさっさとここ出ようぜ。見張りが来たら面倒だ」
「それなら大丈夫ですよ。ここに次の交代が来るのは明日以降ですから」
「なんで分かるんだよ。お前あいつらとグルなのに裏切ったのか?」

 気持ちだけ身構える。裏切り者でもこいつらとグルだったら油断はできない。

「いや、違う。数日見張っていた結果だ。ここのやつらは三日毎で交代だ」
「見張ってただと?」
「あぁ、色々探ってたらここに行き着いた。ここが何なのかが分からなかったから見張ってた。それに一応もう一人連れがいて外で警戒してる。何かあればすぐに分かる」

 こいつが何を探っていたのか。それは分からないが、こいつらとグルでなければいい。

「まぁ、今はそれでいい。そしたら情報交換だ。俺も何が何だか分からねぇ」
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