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嵐の来訪者
第169話-記憶にある敵-
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少しずつ陣を中心に人だかりが出来てくる。
聞こえてくるのは試合に向けた期待の声ばかりだ。それだけこのイベントの注目度は高いのだろう。
正直私としてもワクワクしている。贅沢を言えば飲み物片手に座りながらでも観戦したいと思っている。
「こんにちは。貴方はフランソワ嬢で間違い御座いませんかね?」
呆けていた私に向けての声だった。
声の方を振り向くと私の期待で溢れていた心の内は、驚きに支配された。
なぜならそこに居たのは私の知っている人物だったからだ。
「ウェルズ……」
私の声を聞いたからか、驚きに満ちた顔のどちらに反応を示したのか分からないが、私に声を掛けた男の表情が怪訝なものになった。
「私を知って頂けているとは光栄です。父の方から聞いておりましたか?」
「父……? 何のことか分からないわ」
「そうでしたか。父が以前にガルド城で貴方のご両親とも挨拶をされたと聞きましたので。失礼しました。そうです、私はウェルズ=ボーラスです」
ウェルズ。その名前は知っていた。なぜならその名前の人物はゲームに出て来ていたからだ。
しかも、その人物はフランソワとは切っても切れない関係だった。
そう目の前にいる男はゲームの中でフランソワの近衛騎士になっていた男だ。
だからこそ私は動揺を隠せなかった。いや、考えないようにしていたのかもしれない。ウェルズと言うフランソワと切っても切れない関係の存在を。
「そちらはご学友ですか。初めまして。お見知り置きを」
そう言いながら私の友人達へと声をかけていく。
作法は驚くほどに綺麗で、見た目も整っているのが相まって絵になっているとは思う。
キザな台詞に違和感がない。
「挨拶が済んだなら、もう用事はありませんね。それならもうよろしいでしょうか?」
私はこの男が初対面であっても、どこか不穏な空気を感じ取っていた。
偏見があるかもしれない。だけど、私の女としての勘がそうさせていた。
この男とはあまり関わらない方が良いと。
「何か失礼な事をしてしまいましたかな」
「友達との時間に水を差された事ね」
「それは失礼致しました。有名な貴方を見つけて思わず声をかけてしまいました。それでは、失礼致します。また、いずれ」
大袈裟な手振りで非礼を詫びるようなポーズを取った。
そしてこの場を去っていく。
「あんな奴見たことねーな」
ヤンの言葉通りだ。交流会で見たことはない。もしかしたらウェルズがアルと交換でやって来た生徒なのかもしれない。
「フランソワ様はあまりあの方がお好きではないようですね」
アンの問いかけに首を縦に振る。
理由を聞かれても詳しくははぐらかした。先入観が入っていること、そして何よりゲームの話なんて信じてもらえないからだ。
どうやらアンの印象は悪くなかったらしい。ユリィはどちらでもないらしい。
この出来事がきっかけで、私の中ではネガティブな考えが山のように浮かんでくる。
頭の中で油の切れた歯車が軋むような音を出しながら回り出したような気がする。
聞こえてくるのは試合に向けた期待の声ばかりだ。それだけこのイベントの注目度は高いのだろう。
正直私としてもワクワクしている。贅沢を言えば飲み物片手に座りながらでも観戦したいと思っている。
「こんにちは。貴方はフランソワ嬢で間違い御座いませんかね?」
呆けていた私に向けての声だった。
声の方を振り向くと私の期待で溢れていた心の内は、驚きに支配された。
なぜならそこに居たのは私の知っている人物だったからだ。
「ウェルズ……」
私の声を聞いたからか、驚きに満ちた顔のどちらに反応を示したのか分からないが、私に声を掛けた男の表情が怪訝なものになった。
「私を知って頂けているとは光栄です。父の方から聞いておりましたか?」
「父……? 何のことか分からないわ」
「そうでしたか。父が以前にガルド城で貴方のご両親とも挨拶をされたと聞きましたので。失礼しました。そうです、私はウェルズ=ボーラスです」
ウェルズ。その名前は知っていた。なぜならその名前の人物はゲームに出て来ていたからだ。
しかも、その人物はフランソワとは切っても切れない関係だった。
そう目の前にいる男はゲームの中でフランソワの近衛騎士になっていた男だ。
だからこそ私は動揺を隠せなかった。いや、考えないようにしていたのかもしれない。ウェルズと言うフランソワと切っても切れない関係の存在を。
「そちらはご学友ですか。初めまして。お見知り置きを」
そう言いながら私の友人達へと声をかけていく。
作法は驚くほどに綺麗で、見た目も整っているのが相まって絵になっているとは思う。
キザな台詞に違和感がない。
「挨拶が済んだなら、もう用事はありませんね。それならもうよろしいでしょうか?」
私はこの男が初対面であっても、どこか不穏な空気を感じ取っていた。
偏見があるかもしれない。だけど、私の女としての勘がそうさせていた。
この男とはあまり関わらない方が良いと。
「何か失礼な事をしてしまいましたかな」
「友達との時間に水を差された事ね」
「それは失礼致しました。有名な貴方を見つけて思わず声をかけてしまいました。それでは、失礼致します。また、いずれ」
大袈裟な手振りで非礼を詫びるようなポーズを取った。
そしてこの場を去っていく。
「あんな奴見たことねーな」
ヤンの言葉通りだ。交流会で見たことはない。もしかしたらウェルズがアルと交換でやって来た生徒なのかもしれない。
「フランソワ様はあまりあの方がお好きではないようですね」
アンの問いかけに首を縦に振る。
理由を聞かれても詳しくははぐらかした。先入観が入っていること、そして何よりゲームの話なんて信じてもらえないからだ。
どうやらアンの印象は悪くなかったらしい。ユリィはどちらでもないらしい。
この出来事がきっかけで、私の中ではネガティブな考えが山のように浮かんでくる。
頭の中で油の切れた歯車が軋むような音を出しながら回り出したような気がする。
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★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
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