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騎士と派閥と学園生活と

第153話-事の顛末-

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「フロー先輩ですね」
「えぇ、それで構わないわ」

 もうこの人から私に敵意は無くなっていた。
 刺々しさが消えたフロー先輩はどこにでもいる1人の女性になっていた。

「ごめんなさい。まずは貴方に謝るべきよね」

 そう言って頭を下げられた。
 フロー先輩は純粋な人なんだと思う。だからこそ、怒りで純粋に当たってくるし、悪いと思えばさっきまでの事が嘘の様に謝ってくる。

「もういいんです。それ以上下げられたら今度は私が怒りますよ!」
「優しいわね。ありがとう」

 この手の人にはこう言って許すのが1番いい。そうでないと中々謝るのを辞めてくれなくて延々と謝ってくる事を私は知っている。

「ところで聞きたいんですけど、どうして私の事をフロー先輩の派閥に入れようとしたんですか?」
「あんまり恥ずかしいから聞かないで欲しいのだけれど……」
「お願いします。教えて下さい!」

 困った顔をしているけど、私は諦めない。今度は私が頭を下げてお願いする。

「分かった、だから頭を上げてちょうだい」

 「仕方ないな」と言う様な表情を私に向けて話だした。

「貴方が総長から派閥に誘われていたのを聞いたの。だから私の元に入れて、総長に言ったら喜んで貰えると思ったのよ」

 やっぱりそうだったのか。ただ、そうなると少し気になる事があった。

「誰から聞いたんですか?」
「アゴン君からよ。あの子も総長の派閥なのよ。親元同士が仲が良いらしいわ」

 その名前に聞き覚えはない。

「貴方ほど有名じゃないから」

 首を捻っていた私を見かねてフォローを入れてくれた。

「それは……フロー先輩から?」
「いいえ、彼からよ。『知ってますか?』って」

 そのアゴンって奴にどこまでの意図があったかは分からない。
 だけど、状況的に見ればその人がフロー先輩を唆した様にも聞こえる。
 考え様に寄っては彼よりも更にその上の人物に唆されて、手の中で踊らされている様な気もする。
 フロー先輩が上手く取り込めば良し、ダメならダメで良しと言う様な思惑があるんじゃないだろうか。
 ただそんな周りくどい事をしてまでの目的があるのかが私はどうしても腑に落ちなかった。
 そんな事を考えていると大きな音が響いた、予鈴の鐘だ。夢中になって話し込んでしまった、私達はまだ登校したばかりだった事を思い出した。

「フロー先輩急ぎましょう。ありがとうございました!」
「そ、そうね。さよなら」

 朝から騒がしいやりとりをして、名前を教えてもらった仲にはなったけど、呆気ない別れの言葉をお互いに投げて私達は教室へと急いで走った。
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