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騎士と派閥と学園生活と
第144話-総長の思惑-
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総長の発した言葉を理解するまで一瞬の沈黙が場に走る。
「えーと、何か反応が貰えると助かるんだけどなぁ」
「すみません。ちょっと理解できていなかったもので」
総長の苦笑いが彼の心情を物語っていた。『反応に困る人だな』と。
「そう難しく考えることはないさ。ただ、俺のグループに入るだけ。別に君を使い走りにするとかはないしね。それにメリットもある」
「メリット?」
「今日君が昼頃に言われていたような事はなくなるね。君のバックには総長がいるって事が分かればあんな事は言えないだろうしね」
「だからそれは総長様の勘違いですって」
彼の表情はさっきと変わってにこやかになっている。
確かにそれはメリットとしては大きい。結果として今目立つ形になっていて、また昼のように上級生に目をつけられる事もあるかもしれない。それを回避出来るのは悪くない。
ただ、それだけで彼が私を誘う事はないはずだ。何故なら彼にメリットがない。恨み節を買うような生徒を手元に置いておくデメリットの方が大きいとも考える事ができる。
「逆に私が派閥に入ることでのデメリットはありますか?」
「デメリットか。ないんじゃないかな。それで君の評価が下がる訳でもないしね。逆に人脈が広がっていい事の方が多いと思うよ」
「確かにですね。人脈が広がりすぎて疲れ果てる事もありますけどね」
「手厳しい意見だね」
「仮に私が入っても総長様の役に立つとも思えないのですが」
「そんな事ないよ。さっきも言ったけど君には少なからず影響力はあると思うからね。それに君達を昼のようなトラブルから遠ざける壁にもなる」
「それが私が総長様に返せるメリットと言うことですね」
「あぁ、そうとも言えるね」
右手を口元に当てて目を閉じた。深く考え事をする際にはこのポーズが1番集中できる。
「どうだい、別に悪い話ではないだろう。ただ、君のことが気に入ったからこその提案だ。誰にでも言ってる話でもないよ」
「少し考えさせて頂いてもよろしいですか?」
「構わないよ。ただ、あまり時間をかけるのは個人的に好まないから3日で返答をくれないか」
「ありがとうございます。いかんせん無知なものですぐに結論が出せません」
「そんな謙遜しなくてもいいよ。今日は来てもらってすまなかったね。いい返事が聞けるのを楽しみにしておくよ」
その言葉を最後にこの場での面談は終わって、私は総長さんに見送られながら部屋を後にした。
部屋にいるのは2人の男女。客人が帰った部屋で男性は仕事をこなしながら、女性はその補佐をしながら手を動かしていた。
「無知ねぇ……」
「どうかされましたか総長」
「いや、彼女は予想以上に崩すのが難しそうだなと思ってね。彼女は今日自分で考えていた以上に自分に価値があることを理解していない」
「それは彼女が分かっていながら呆けているのでは?」
「それは無さそうだ。自覚がないんだろ。意識はあっても知識がない。1年だし仕方ないけどさ」
「それをいち早く確保しようした総長は流石ですね」
「君の後の後継者がまだ頼りないからさ。念には念を入れて置かないと」
「私もその手腕を発揮できるよう精進致します」
「大丈夫だよ。そこまで気張らなくて」
そんな会話が響く部屋の中で2人は話しながらも手のペースを落とすことなく仕事を続けていた。
「えーと、何か反応が貰えると助かるんだけどなぁ」
「すみません。ちょっと理解できていなかったもので」
総長の苦笑いが彼の心情を物語っていた。『反応に困る人だな』と。
「そう難しく考えることはないさ。ただ、俺のグループに入るだけ。別に君を使い走りにするとかはないしね。それにメリットもある」
「メリット?」
「今日君が昼頃に言われていたような事はなくなるね。君のバックには総長がいるって事が分かればあんな事は言えないだろうしね」
「だからそれは総長様の勘違いですって」
彼の表情はさっきと変わってにこやかになっている。
確かにそれはメリットとしては大きい。結果として今目立つ形になっていて、また昼のように上級生に目をつけられる事もあるかもしれない。それを回避出来るのは悪くない。
ただ、それだけで彼が私を誘う事はないはずだ。何故なら彼にメリットがない。恨み節を買うような生徒を手元に置いておくデメリットの方が大きいとも考える事ができる。
「逆に私が派閥に入ることでのデメリットはありますか?」
「デメリットか。ないんじゃないかな。それで君の評価が下がる訳でもないしね。逆に人脈が広がっていい事の方が多いと思うよ」
「確かにですね。人脈が広がりすぎて疲れ果てる事もありますけどね」
「手厳しい意見だね」
「仮に私が入っても総長様の役に立つとも思えないのですが」
「そんな事ないよ。さっきも言ったけど君には少なからず影響力はあると思うからね。それに君達を昼のようなトラブルから遠ざける壁にもなる」
「それが私が総長様に返せるメリットと言うことですね」
「あぁ、そうとも言えるね」
右手を口元に当てて目を閉じた。深く考え事をする際にはこのポーズが1番集中できる。
「どうだい、別に悪い話ではないだろう。ただ、君のことが気に入ったからこその提案だ。誰にでも言ってる話でもないよ」
「少し考えさせて頂いてもよろしいですか?」
「構わないよ。ただ、あまり時間をかけるのは個人的に好まないから3日で返答をくれないか」
「ありがとうございます。いかんせん無知なものですぐに結論が出せません」
「そんな謙遜しなくてもいいよ。今日は来てもらってすまなかったね。いい返事が聞けるのを楽しみにしておくよ」
その言葉を最後にこの場での面談は終わって、私は総長さんに見送られながら部屋を後にした。
部屋にいるのは2人の男女。客人が帰った部屋で男性は仕事をこなしながら、女性はその補佐をしながら手を動かしていた。
「無知ねぇ……」
「どうかされましたか総長」
「いや、彼女は予想以上に崩すのが難しそうだなと思ってね。彼女は今日自分で考えていた以上に自分に価値があることを理解していない」
「それは彼女が分かっていながら呆けているのでは?」
「それは無さそうだ。自覚がないんだろ。意識はあっても知識がない。1年だし仕方ないけどさ」
「それをいち早く確保しようした総長は流石ですね」
「君の後の後継者がまだ頼りないからさ。念には念を入れて置かないと」
「私もその手腕を発揮できるよう精進致します」
「大丈夫だよ。そこまで気張らなくて」
そんな会話が響く部屋の中で2人は話しながらも手のペースを落とすことなく仕事を続けていた。
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