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騎士と派閥と学園生活と
第122話-優しい友人と優しい言葉-
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「朝はごめん。私のせいで変な空気になっちゃって」
午前の授業を終えて私達はいつもの場所でお昼を食べていた。
いつもは私が率先してアリス達の元へ迎えに行っていたけど気を遣ってくれたようでアリス達の方から私の教室へ来てくれた。その心遣いが身に染みる。
「お気になさらずに。相手の言い方が悪かっただけですのよ」
アンは口を尖らせながらフォローをしてくれた。でも最初の原因を作ってしまったのは私だ。だから結果はどうであれ私も悪いことは承知している。
「だからフランソワ様! 早く噂のお話を聞きたいですわ」
「アンあなたそんな噂好きだったけ?」
「今更ですよフランソワ様。噂話は大好きです」
他の2人がにこやかな笑顔を浮かべながら私の方へと視線を向けている。彼女達も少なからず私の話を楽しみにしてくれているらしい。
「そんな期待しないで。本当にあなた達が想像しているような話じゃないの。私は助けられてばっかりの話だったから」
ガルド城での話を私はかいつまんで話した。
言えることと言えないことがある。だから、言葉を選びながらも私のした冒険と関わった人達の勇姿を語った。
話を聞いてくれている3人は目を輝かせて聞いてくれていて、私の話の山と谷ではリアクションをくれていた。
話が進むと険しい表情を浮かべる場面もあった。それでも最後には聞き終わると拍手で称えてくれた。私は誇張して言うことは何もなかった。ただ、本当にあったことを話したつもり。
「フランソワ様、すごいですよ」
ユリィは静かにそう言ってくれた。
「謙遜することはありません。周りの方のご活躍も凄いことです。ただ、フランソワ様も負けていません。自信をお持ちになってください」
その言葉は私が心の中で背負っていた重石を少し軽くしてくれた。
「そうですね。フランソワ様の行動力あっての結果です」
アリスの言葉はいつもと変わらず優しさに溢れていた。
「フランソワ様自身の魅力に皆様ついて来られたのですよ。フランソワ様はもっと誇ってください」
アンの褒めすぎな言葉も今はとても嬉しい。
周りを見て私はただついて行ってただけだと思っていた。だけど、それを周りからこうして褒められると少しは自分のことを認められるような気がした。
「ありがとう。みんな優しすぎて私泣いちゃいそう」
「でもそれが本当でしたら噂はかなり大きくなっていますわね」
「なにそれ。そっちの方が私聞いてみたいわ」
私自身が気になっていた噂の真相を聞きたかった。一体どんな噂になっているのかを。
「『フランソワ様がガルド城に入ってきた盗賊をお供を連れて自ら剣をふるって撃退したと。そして盗賊から宝を頂戴したと。そして最後の夜にはガルド城の城主との討論で城主を負かし、城の全て手に入れるはずでしたが、それを拒否して騎士学生の夢を叶えるために自らが近衛騎士と仕えさせて、さらに城主の元から数人を騎士として引き抜いた』と聞いていたのですが、似て非なるものでしたね」
「尾ひれ付きすぎよ! なにそれ! 所々は間違いないのがまたムカつくわね」
その情報の出所が気になるわね。そいつを見つけたら小一時間説教でもしてやりたい。
その噂の人物の行動が無茶苦茶すぎてそれを話した人もおかしいと思わないのか不思議で仕方ない。
「ちなみに近衛騎士を決めたと言うのは本当ですの?」
「本当よ。しかも、3人。ちょうどアリスと休みの初日に街に行った次の日にね」
「流石フランソワ様。型に収まらないですね」
ユリィはまたもや褒めてくれる。ここまできたらたまには褒め言葉以外でフランソワに言い返す所も見たくなってくる気がする。
「あの後そんな事が。私も見てみたかったです」
「大した事じゃないわよ」と言いながらもあの日のことは流石に言えないから胸の内にしまっておく。
「そしたら是非次の騎士学校へ行った際は近衛騎士の方を紹介ください。お会いしてみたいです」
「もちろんするわよ。だからアリスもシャバーニ連れてきてね。私の近衛騎士になった人と知り合いらしいから」
「そうなのですね。わかりました。声をかけてみます」
今週が終わるとまた騎士学校との交流会がある。
私としてもみんなを紹介するのが私も楽しみで仕方ない。
午前の授業を終えて私達はいつもの場所でお昼を食べていた。
いつもは私が率先してアリス達の元へ迎えに行っていたけど気を遣ってくれたようでアリス達の方から私の教室へ来てくれた。その心遣いが身に染みる。
「お気になさらずに。相手の言い方が悪かっただけですのよ」
アンは口を尖らせながらフォローをしてくれた。でも最初の原因を作ってしまったのは私だ。だから結果はどうであれ私も悪いことは承知している。
「だからフランソワ様! 早く噂のお話を聞きたいですわ」
「アンあなたそんな噂好きだったけ?」
「今更ですよフランソワ様。噂話は大好きです」
他の2人がにこやかな笑顔を浮かべながら私の方へと視線を向けている。彼女達も少なからず私の話を楽しみにしてくれているらしい。
「そんな期待しないで。本当にあなた達が想像しているような話じゃないの。私は助けられてばっかりの話だったから」
ガルド城での話を私はかいつまんで話した。
言えることと言えないことがある。だから、言葉を選びながらも私のした冒険と関わった人達の勇姿を語った。
話を聞いてくれている3人は目を輝かせて聞いてくれていて、私の話の山と谷ではリアクションをくれていた。
話が進むと険しい表情を浮かべる場面もあった。それでも最後には聞き終わると拍手で称えてくれた。私は誇張して言うことは何もなかった。ただ、本当にあったことを話したつもり。
「フランソワ様、すごいですよ」
ユリィは静かにそう言ってくれた。
「謙遜することはありません。周りの方のご活躍も凄いことです。ただ、フランソワ様も負けていません。自信をお持ちになってください」
その言葉は私が心の中で背負っていた重石を少し軽くしてくれた。
「そうですね。フランソワ様の行動力あっての結果です」
アリスの言葉はいつもと変わらず優しさに溢れていた。
「フランソワ様自身の魅力に皆様ついて来られたのですよ。フランソワ様はもっと誇ってください」
アンの褒めすぎな言葉も今はとても嬉しい。
周りを見て私はただついて行ってただけだと思っていた。だけど、それを周りからこうして褒められると少しは自分のことを認められるような気がした。
「ありがとう。みんな優しすぎて私泣いちゃいそう」
「でもそれが本当でしたら噂はかなり大きくなっていますわね」
「なにそれ。そっちの方が私聞いてみたいわ」
私自身が気になっていた噂の真相を聞きたかった。一体どんな噂になっているのかを。
「『フランソワ様がガルド城に入ってきた盗賊をお供を連れて自ら剣をふるって撃退したと。そして盗賊から宝を頂戴したと。そして最後の夜にはガルド城の城主との討論で城主を負かし、城の全て手に入れるはずでしたが、それを拒否して騎士学生の夢を叶えるために自らが近衛騎士と仕えさせて、さらに城主の元から数人を騎士として引き抜いた』と聞いていたのですが、似て非なるものでしたね」
「尾ひれ付きすぎよ! なにそれ! 所々は間違いないのがまたムカつくわね」
その情報の出所が気になるわね。そいつを見つけたら小一時間説教でもしてやりたい。
その噂の人物の行動が無茶苦茶すぎてそれを話した人もおかしいと思わないのか不思議で仕方ない。
「ちなみに近衛騎士を決めたと言うのは本当ですの?」
「本当よ。しかも、3人。ちょうどアリスと休みの初日に街に行った次の日にね」
「流石フランソワ様。型に収まらないですね」
ユリィはまたもや褒めてくれる。ここまできたらたまには褒め言葉以外でフランソワに言い返す所も見たくなってくる気がする。
「あの後そんな事が。私も見てみたかったです」
「大した事じゃないわよ」と言いながらもあの日のことは流石に言えないから胸の内にしまっておく。
「そしたら是非次の騎士学校へ行った際は近衛騎士の方を紹介ください。お会いしてみたいです」
「もちろんするわよ。だからアリスもシャバーニ連れてきてね。私の近衛騎士になった人と知り合いらしいから」
「そうなのですね。わかりました。声をかけてみます」
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私としてもみんなを紹介するのが私も楽しみで仕方ない。
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