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ガルド城の秘密

第103話-騎士の戦いと結末-

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 迫り来る火を纏った剣を弾いてカルロスさんが攻撃に転じた。
 次に繰り出される一撃は止めることが出来ないだろう。攻撃を仕掛けた後で大きく身体を動かすこともできないはずだ。
 カルロスさんの剣が相手の身体を斬りつける。そしてこの戦いは終わる。少なくとも私はそう思った。
 ただ目の前の光景は違った。
 剣で身体を斬りつけるのではなく、剣の持ち手で相手の身体を殴打した。そして体勢を崩して屈んだ所に追い討ちをかける。
 首の裏元にまた剣の持ち手で一撃を入れた。
 
「がっ……はっ……」

 空気を吐くような声を出して顔から地面に堕ちた。そして動かなくなった。
 カルロスさんが相手の剣を掴んで振って火を消す。そして男から外した鞘と剣を手にこちらに近づいてくる。

「こちらを、もう当分起きないとは思いますので武器を取る必要もないでしょうが」
「さっき私たちも意識を奪った時に同じことを思ったのですが、相手のやられたフリに騙されてしまいまして、大丈夫でしょうか」
「そうでしたか。大変だったでしょう。流石に今の一撃で意識はそう簡単には戻らないでしょう。それに相手も消耗していたので限界に近いものはあったでしょう。あなた達のおかげです」

 そんな労いの言葉を私たちにかけてくれた。
 不安だった気持ちが吹き飛ぶ。

「流石はガルド公の近衛騎士だな。頼りなるぜ」
「言ったように相手が弱っていただけです。しかし、万全でも私は勝ちますが。それより客人、怪我が酷い、すぐに城に戻りましょう」
「助かるよ。でもどうしてここが?」
「その話は主に任せます」

 そう言って階段の方へ声を上げた。そして姿を見せたのは私達に魔法の話をしたガルド公だった。
 私たちは全員で階段の方へと向かう、元気とはいえお年を召された方だ。こちらから向かう方がいいと全員が言葉を交わすことなく察した。
 バレルさんもカルロスさんの肩を借りてこちらにやってくる。

「おぉ。こんな所があるとは。驚きじゃ」

 目を丸くして地下を見渡すその姿を見る限り、ここの事を本当に知らなかったらしい。

「主、客人が怪我をしていますので、城へ一度戻ります。外部の者が入り込んでいるようですし、主と他の客人も一旦戻りましょう」
「嫌じゃ」

 カルロスさんの配慮を即答で断った。

「それならここにおる輩を全て縛り上げ、お主がバレルを城へ一旦連れ帰れ。入り口はボロフが見ておるから大丈夫じゃ、仮に中に誰かおったとしてわしの護衛がおる」

 無茶苦茶なことを言い出してユリと私の方を見る。

「言い出したら聞きませんからね。わかりました。ただ、人は変えさせて頂きます。ボロフに客人を城へと戻させます。ここにいる者を縛って私が入り口を見張ります」
「それで良い」
「縛り上げるのはローブでいいでしょう。ここには他に何人がいますか?」
「そこの二人と奥に一人、縛り上げるのであれば奥にいる男が持っている金属製の糸がいいかと」
「ありがとうございます。私は奥に行きますので少々お待ちを。客人、申し訳ございませんが、怪我をされている方を上にいる者に城に届けるよう手配お願いします」
「分かりました。フランソワ様はここでガルド公とお待ちください」

 そう言い残して各自がそれぞれの場所へと散っていった。
 残されたのは私とガルド公と去り際に渡された剣、そして私が抱えている鞘だけになった。
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