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ガルド城の秘密

第96話-2重の攻撃-

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 まずは相手の立ち位置をずらして、フランソワ様のための道を確保しなければならない。

「私が前に出ます。バレルさんは攻撃に専念して下さい」
「おうよ!」

 剣を持つ相手に対してはそれを防げる私が前に出ざる終えない、バレルさんの傷の事もある。
 一直線に相手に向かって走る。小細工は必要ない。相手の動きを止めてバレルさんに繋ぐため。
 剣のリーチを活かして迎撃される。それでもいい、今度はこちらから鍔迫り合いに持ち込む。炎の熱がきつい。それでもうまくこの場面に持ち込めた。
 そして私の後方からバレルさんが少し遅れて走ってくる。目の前の男目掛けてバレルさんが右腕の一撃を振るう。
 相手も馬鹿じゃない。攻撃行動の動作を見て後ろに下がる。
 ただ、それが私の狙い目だ。
 下がると言う事はこちらのペースに持ち込めるタイミングでもある。
 鍔迫り合いを外して後ろに下がる相手を左側から追撃する。腕力に自信はない、だけどこちらも刃物だ。避け切れなければ受けるしかない。短剣を受けさせてもう一度バレルさんの援護攻撃を待つ。
 休みのない攻撃に相手も反撃に移れない。
 そして何より、相手の動きの主導権をこちらが握った。

「行け!」

 バレルさんの掛け声にフランソワ様が岩陰から飛び出した。入ってきた方へ繋がる通路に向かって。

「くっ!」

 初めて男の顔が歪んだ。ここまで余裕な表情だったのを歪めることができた。

「行かせない!」

 鍔迫り合いを無理やり外してフランソワ様の方へと走ろうとする。

「させない!」

 相手の意識がフランソワ様に向いた。その瞬間を待っていた。
 フランソワ様の作戦は理解したつもりだ。だけど、実行する前に相手を倒す勝機。それがここだ。
 走り出す体勢に入った相手の懐へ飛び込んだ。
 剣の優位な距離じゃなく、短剣の優位な距離へ。
 腹部への一撃、切るのではなく、刺す。短剣を相手に突き立てる。
 渾身の一撃、それを紙一重で避けられた。フランソワ様を追いかけるのをやめて回避に専念された。
 私も相手も体勢を崩している。
 でもこちらには頼れる仲間がもう1人がいる。
 顔を引き攣らせて放つ一撃。
 バレルさんの右腕が、体勢を崩した相手に命中した。
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