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ガルド城の秘密
第71話-月と狼男-
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資料室のドアを開いた先にあるさっきまで私とユリが探し物をしていた机のところに変わらずにユリはいた。
扉が開く音に反応してこっちに視線を向けたユリと目があった。
お互いに首を振り合った。
どうやら向こうも収穫と言える物はなかったらしい。
「ただいま。ごめん効果的な成果はなかった。ガルド公ならなんか知ってるかなと思ったんだけどなぁ」
「私もです。三代目の事や歴代の城主の記録を見ましたが特に目ぼしいものはありませんでした」
「ほとんど最初と状況は変わってないってことね」
目の前に置かれている謎の文書が視線に入る。
こんなものが残っているなら何かしら残されたものがあるはずなのに、それに繋がる手掛かりがないと言うのがもどかしい。
「ところでフランソワ様、この文書で何か思う所はありませんか?」
ユリはこの謎の文書に思う所があるらしい。
実を言うと私もある。ただそれがなんで気になるか。それが具体的に言いづらかったから放置していた。
「実は私もなの」
「フランソワ様と気になる所が一緒だと先へと進む鍵になるかもしれませんね」
「先に私から言うわね。『月の奇跡』って所。理由を聞かれると困るけど、なんだか気になるの。唐突と言うか、書き方に違和感があるって言うかなんと言うか」
「私もです。そこの部分は余計な一言だと思うんです。なのにそこにあると言うのは違和感でした」
確かにその一言はなくても文は成り立つ。と言うことは確かに無意味な一言になってしまう。違和感の正体はそこか。
「だとしたらこの一言を中心に考えてみましょ。どう見るべきかしら。ユリの視点で教えて」
「まずは『月の奇跡』とはなにかですね」
「言葉の通りなら月が奇跡を起こすってことよね」
「または月が作用して奇跡を起こすですね」
「なるほど、月を見ると狼男になるって言うのは月が作用してるわね」
「例えの話が分からなくてすみません。勉強不足です。ただ意味としては合ってるかと」
「いいわユリ。今の私の発言は忘れてなんだか恥ずかしいから」
どうやらこの世界には狼男の話は存在しないらしい。
「私は後者だと思うんだけど、どう?」
「私もフランソワ様と同じで月が作用する事だと思います。むしろそれしか想像できませんので」
「確かに。月が奇跡を起こすのを頼りにしてたらいつになるかも分からないしね」
さっきの案を仮説にする。
そしたら問題は『何』が月に作用して奇跡を起こすか。
「月が作用何かが起こると仮定します。するとさっきのフランソワ様の例え話のようなものがいて残されたものを見つけられるとかはどうでしょう」
自分の例えがまた出されてしまって恥ずかしさを覚える。できれば早く忘れて欲しい。
「そんな事もあるかもしれないけど……どうかしら。あとできればその例え話は早く忘れて頂戴ね」
「この状況ではいい例え話だとは思いますが、正直あまり現実的ではないですね」
ユリは小さく笑う。
絶対私の反応を見て楽しんでるわ。
「それでも、もしも、あるとしたら仮定するわ。そしたらそれがあるのはどこだと思う」
「外ですね」
「私もそう思う」
外と言われると昨日の一件がある。ユリの見たと言う影。「まさかあの影が……狼男のような存在……。なわけないやろ!」と心の中で1人ツッコミを入れる。
「もしかしてフランソワ様の言っていた存在が私が昨日見た影の正体……と言うことはないでしょうか?」
「それはない。私が結論付けたわ、心の中でね」
「そうですね。冗談です」
話としては冗談なのは当たり前だ。でも昨日見たと言う影、それはこの話とは切っても切れない関係じゃないかと私は内心思い出していた。
ユリと半日程の考察を出し合っても答えにたどり着きそうな物は出なかった。
ただ私達は「隠されているものに繋がる場所、あるいは物、何かしらが有るのは外ではないか」と言う考えは一致した。
結局ただ考える事だけに費やして具体的なものにたどり着けなかった。
外の探索をするにしても広い敷地内のどこに有るかは見当もつかないし、ユリの見た怪しい影の事もあって二の足を踏んでいた。
夕食の時間になると2人で明日またこの資料室で会って考える約束をしてそれぞれの家族の元へと戻っていった。
扉が開く音に反応してこっちに視線を向けたユリと目があった。
お互いに首を振り合った。
どうやら向こうも収穫と言える物はなかったらしい。
「ただいま。ごめん効果的な成果はなかった。ガルド公ならなんか知ってるかなと思ったんだけどなぁ」
「私もです。三代目の事や歴代の城主の記録を見ましたが特に目ぼしいものはありませんでした」
「ほとんど最初と状況は変わってないってことね」
目の前に置かれている謎の文書が視線に入る。
こんなものが残っているなら何かしら残されたものがあるはずなのに、それに繋がる手掛かりがないと言うのがもどかしい。
「ところでフランソワ様、この文書で何か思う所はありませんか?」
ユリはこの謎の文書に思う所があるらしい。
実を言うと私もある。ただそれがなんで気になるか。それが具体的に言いづらかったから放置していた。
「実は私もなの」
「フランソワ様と気になる所が一緒だと先へと進む鍵になるかもしれませんね」
「先に私から言うわね。『月の奇跡』って所。理由を聞かれると困るけど、なんだか気になるの。唐突と言うか、書き方に違和感があるって言うかなんと言うか」
「私もです。そこの部分は余計な一言だと思うんです。なのにそこにあると言うのは違和感でした」
確かにその一言はなくても文は成り立つ。と言うことは確かに無意味な一言になってしまう。違和感の正体はそこか。
「だとしたらこの一言を中心に考えてみましょ。どう見るべきかしら。ユリの視点で教えて」
「まずは『月の奇跡』とはなにかですね」
「言葉の通りなら月が奇跡を起こすってことよね」
「または月が作用して奇跡を起こすですね」
「なるほど、月を見ると狼男になるって言うのは月が作用してるわね」
「例えの話が分からなくてすみません。勉強不足です。ただ意味としては合ってるかと」
「いいわユリ。今の私の発言は忘れてなんだか恥ずかしいから」
どうやらこの世界には狼男の話は存在しないらしい。
「私は後者だと思うんだけど、どう?」
「私もフランソワ様と同じで月が作用する事だと思います。むしろそれしか想像できませんので」
「確かに。月が奇跡を起こすのを頼りにしてたらいつになるかも分からないしね」
さっきの案を仮説にする。
そしたら問題は『何』が月に作用して奇跡を起こすか。
「月が作用何かが起こると仮定します。するとさっきのフランソワ様の例え話のようなものがいて残されたものを見つけられるとかはどうでしょう」
自分の例えがまた出されてしまって恥ずかしさを覚える。できれば早く忘れて欲しい。
「そんな事もあるかもしれないけど……どうかしら。あとできればその例え話は早く忘れて頂戴ね」
「この状況ではいい例え話だとは思いますが、正直あまり現実的ではないですね」
ユリは小さく笑う。
絶対私の反応を見て楽しんでるわ。
「それでも、もしも、あるとしたら仮定するわ。そしたらそれがあるのはどこだと思う」
「外ですね」
「私もそう思う」
外と言われると昨日の一件がある。ユリの見たと言う影。「まさかあの影が……狼男のような存在……。なわけないやろ!」と心の中で1人ツッコミを入れる。
「もしかしてフランソワ様の言っていた存在が私が昨日見た影の正体……と言うことはないでしょうか?」
「それはない。私が結論付けたわ、心の中でね」
「そうですね。冗談です」
話としては冗談なのは当たり前だ。でも昨日見たと言う影、それはこの話とは切っても切れない関係じゃないかと私は内心思い出していた。
ユリと半日程の考察を出し合っても答えにたどり着きそうな物は出なかった。
ただ私達は「隠されているものに繋がる場所、あるいは物、何かしらが有るのは外ではないか」と言う考えは一致した。
結局ただ考える事だけに費やして具体的なものにたどり着けなかった。
外の探索をするにしても広い敷地内のどこに有るかは見当もつかないし、ユリの見た怪しい影の事もあって二の足を踏んでいた。
夕食の時間になると2人で明日またこの資料室で会って考える約束をしてそれぞれの家族の元へと戻っていった。
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