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ガルド城の秘密
第68話-城主の娯楽-
しおりを挟む「場所は知らなくても何が鍵かは分かっているという事はありませんか?」
「そう思う理由は?」
質問が質問で返された。意味のない質問なのか、それとも痛い所を疲れての反応なのか判断する為の材料が私にはまだない。
「この城はあなたが城主です。それなのにまだ見つける事ができていないという事はおかしくありませんか?」
「隠されているからじゃな」
「こんなに広い城でも人を使って、毎日調べたら見つかる事だと私は思います」
別に私も城主のガルド公がもう既に隠し場所に続く物理的な鍵を持っているとは思っていない。でも何かしら情報はあるのだと思っている。そうでなければこの短い期間で探し物をさせるのは些か不自然だ。
「ない。手がかりなど特に何もない。だからこれは儂の遊びの様な物だ。昔からこの期間に連れられて来た物は退屈そうにしている者が多くてな。何かしら娯楽を与えている。それだけだ」
「そう……ですか」
「ただ、この儂にそこまで言ってきたのは初めてじゃ。真実を言おう。さっき言っていた様に人を集めて城を探した事はあった。ただ見つかりはせんかった」
「何も?」
「何もない。それは確かじゃ」
「ありがとうございました。失礼な言い方をした事を謝らせて頂きます」
「構わん。それぐらい強気な方がよいわ」
一通りのやり取りを終えて2人で笑う。
そこにさっきまでの重い空気はない。
「それでどうだ何か分かったかな?」
「いえ、残念ながらさっぱり。ただ普通に探しては見つからないのではないかと」
「人手を使っても見つからんのだからそう思うのが普通じゃろう。楽しみにしておるよ」
その言葉の返事に一礼をして部屋を出た。
外に出るとさっき案内してくれた人がまだ立っていた。
「待っててくれたんですか?」
「帰り道分かりませんでしょう」
言われて思った。確かにと。
資料室までの道案内を依頼して私は大人しく後ろをついて歩いた。
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