38 / 420
白と黒の騎士
第26話-もう1人の護衛-
しおりを挟む
傘を射して歩くこと20分ほどたったころには私たちは高層についていた
目の前に広がる家は全て一軒家で壁も綺麗に装飾されている。窓もドアも綺麗でさっきまでの街並みとは全然違う風景が広がっている。
雨でなければもっと輝いて見えたんだろう。
「順番交代だ。あんたが先に歩いて入ってくれ。俺はそれについていく」
「分かった。けどなんで?」
「俺が下層の人間でここは高層だ。簡単だろ。そんでもってあんたはお嬢様。俺はその付き添いってことだ。まだ説明はいるか?」
「なんとなく分かった。やっぱりそういうのがあるのね」
「当たり前だ。あんたみたいなのが稀なんだ」
道を歩く人がこっちを見てくる。私じゃない。ヤンの方をみんなは見ている。
「気にすんな。慣れっこだ」
私が振り返ると笑うように言った。下層という場所と高層という場所の扱いの差を私は今日一番に実感している。
「あそこだ」
そう言って指を伸ばした先には大きな白い家があった。門とドアがここから見える。庭には花が植えてあって、この雨の中でも明るい庭を演出している。うっすらとだけど見覚えがある。あれはアルの住んでいる家だ。アルルートで背景になっていたのを覚えている。色とりどりの花が植えられた庭は印象深い。
「護衛ってアルだったのね」
「アルの家知ってんのかよ。どこまで知ってんだか恐ろしいな」
「でも私はヤンの家は知らないわ」
「知らなくていいよ。ここみたいにきれいな所じゃないしな。ほらあそこを訪ねてアルに会うぞ。あいつどうせ暇だろう」
「その自信に満ちた言葉は失礼じゃない?」
「事実だろうに」
肩をすくめて言う。この2人だからこその言葉なのかもしれない。この2人の関係性が少し羨ましい。
私はヤンに促されてアルの家の門をくぐってドアをノックした。
数回のノックの後に奥から人の気配が近づいてくる。
目の前に広がる家は全て一軒家で壁も綺麗に装飾されている。窓もドアも綺麗でさっきまでの街並みとは全然違う風景が広がっている。
雨でなければもっと輝いて見えたんだろう。
「順番交代だ。あんたが先に歩いて入ってくれ。俺はそれについていく」
「分かった。けどなんで?」
「俺が下層の人間でここは高層だ。簡単だろ。そんでもってあんたはお嬢様。俺はその付き添いってことだ。まだ説明はいるか?」
「なんとなく分かった。やっぱりそういうのがあるのね」
「当たり前だ。あんたみたいなのが稀なんだ」
道を歩く人がこっちを見てくる。私じゃない。ヤンの方をみんなは見ている。
「気にすんな。慣れっこだ」
私が振り返ると笑うように言った。下層という場所と高層という場所の扱いの差を私は今日一番に実感している。
「あそこだ」
そう言って指を伸ばした先には大きな白い家があった。門とドアがここから見える。庭には花が植えてあって、この雨の中でも明るい庭を演出している。うっすらとだけど見覚えがある。あれはアルの住んでいる家だ。アルルートで背景になっていたのを覚えている。色とりどりの花が植えられた庭は印象深い。
「護衛ってアルだったのね」
「アルの家知ってんのかよ。どこまで知ってんだか恐ろしいな」
「でも私はヤンの家は知らないわ」
「知らなくていいよ。ここみたいにきれいな所じゃないしな。ほらあそこを訪ねてアルに会うぞ。あいつどうせ暇だろう」
「その自信に満ちた言葉は失礼じゃない?」
「事実だろうに」
肩をすくめて言う。この2人だからこその言葉なのかもしれない。この2人の関係性が少し羨ましい。
私はヤンに促されてアルの家の門をくぐってドアをノックした。
数回のノックの後に奥から人の気配が近づいてくる。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
転生悪役令嬢の前途多難な没落計画
一花八華
恋愛
斬首、幽閉、没落endの悪役令嬢に転生しましたわ。
私、ヴィクトリア・アクヤック。金髪ドリルの碧眼美少女ですの。
攻略対象とヒロインには、関わりませんわ。恋愛でも逆ハーでもお好きになさって?
私は、執事攻略に勤しみますわ!!
っといいつつもなんだかんだでガッツリ攻略対象とヒロインに囲まれ、持ち前の暴走と妄想と、斜め上を行き過ぎるネジ曲がった思考回路で突き進む猪突猛進型ドリル系主人公の(読者様からの)突っ込み待ち(ラブ)コメディです。
※全話に挿絵が入る予定です。作者絵が苦手な方は、ご注意ください。ファンアートいただけると、泣いて喜びます。掲載させて下さい。お願いします。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
転生したので猫被ってたら気がつけば逆ハーレムを築いてました
市森 唯
恋愛
前世では極々平凡ながらも良くも悪くもそれなりな人生を送っていた私。
……しかしある日突然キラキラとしたファンタジー要素満載の異世界へ転生してしまう。
それも平凡とは程遠い美少女に!!しかも貴族?!私中身は超絶平凡な一般人ですけど?!
上手くやっていけるわけ……あれ?意外と上手く猫被れてる?
このままやっていけるんじゃ……へ?婚約者?社交界?いや、やっぱり無理です!!
※小説家になろう様でも投稿しています
悪役令嬢に転生したので、すべて無視することにしたのですが……?
りーさん
恋愛
気がついたら、生まれ変わっていた。自分が死んだ記憶もない。どうやら、悪役令嬢に生まれ変わったみたい。しかも、生まれ変わったタイミングが、学園の入学式の前日で、攻略対象からも嫌われまくってる!?
こうなったら、破滅回避は諦めよう。だって、悪役令嬢は、悪口しか言ってなかったんだから。それだけで、公の場で断罪するような婚約者など、こっちから願い下げだ。
他の攻略対象も、別にお前らは関係ないだろ!って感じなのに、一緒に断罪に参加するんだから!そんな奴らのご機嫌をとるだけ無駄なのよ。
もう攻略対象もヒロインもシナリオも全部無視!やりたいことをやらせてもらうわ!
そうやって無視していたら、なんでか攻略対象がこっちに来るんだけど……?
※恋愛はのんびりになります。タグにあるように、主人公が恋をし出すのは後半です。
1/31 タイトル変更 破滅寸前→ゲーム開始直前
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる