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目が覚めたらゲームの世界!?
第12話-誰だっけ-
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授業時間の終わりを告げる鐘の音が校舎に鳴り響いた。時間はお昼時で、クラスメイト達もみんなお昼の準備で持っているお弁当を広げたり、学生食堂の方へと足を運んでいく。
隣のクラスからはアンがお弁当を持ってこちらの方へやってきた。
「今日からアリスも一緒にお昼を食べようって誘っているんだけど、いいかしら」
「アリスさんですか。フランソワ様が誘われたなら構いません」
「ユリィと同じ意見です。先に教えてくださればお連れしましたのに」
二人とも異論はないと思ってたけど、ここまでとは。あんたらこの前めっちゃ愚痴ってなかったっけ。
「そしたら私が呼んでくるから二人は待っておいて」
席を立って隣の教室に向かう。アリスの席は奥の窓側になっているはず。
今日もきれいな金髪の美少女がそこにいた。だが、その前には一人の男子生徒が立っている。アリスの机に手をついて話しかけている。
会話をしているという感じではなさそうだ。
「アリス。お昼を食べましょう。来ないから迎えに来たわよ」
その言葉にアリスと男子生徒がこっちを向いた。アリスには安堵、男子生徒には怒りの表情がこっちに向けられる。
「君はなんだ。僕が今アリスさんと話をしているんだ。邪魔をしないでくれ」
怒りの表情と連動するように怒りの声色でこっちに鋭い言葉を投げつけてきた。
「話してるって言うよりかは一方的に言葉をかけてアリスを困らせてたようにしか見えなかったけど」
お互いの言葉と視線がぶつかり合う。
先に口を開いたのは男子生徒の方だった。
「君が誰かは知らない。だけど僕の事は聞いたことがあるだろ。アゴン=リーゾル。リーゾル領の嫡子だ」
はて、どこかで聞いた名前のような……そうでないような。誰だっけな。
「残念だけど聞いたことないわ。話はそれでいいでしょ。アリス早くお昼にしましょ。お腹すいちゃったわ」
「僕の名前を聞いたことないなんてどこの田舎娘だ。教養を身につけろ!」
顔を真っ赤にしてこっちに吠えてくる。それを無視してアリスの腕をつかんで引寄せてそのままユリィとアンが待っている教室へと向かう。
「おい待て。話は終わってないぞ。アリスさんも田舎娘と食べるより僕との方がランチも美味しくなるはずだ」
「うるさいわ。一人で食べとけ」
顔をアゴンの方へ向け、言い放って会話を終わらせた。
「フ、フランソワ様。庇って頂いて有難いのですが、このままでいいのですか?」
「いいのよ。ほっときなさい。そんでもってまたあいつが来たら私のとこ来なさい」
そのまま私とアリスは後ろから飛んできた「フランソワ。名前は覚えたからな覚悟しておけよ」という言葉も無視して教室を後にした。
隣のクラスからはアンがお弁当を持ってこちらの方へやってきた。
「今日からアリスも一緒にお昼を食べようって誘っているんだけど、いいかしら」
「アリスさんですか。フランソワ様が誘われたなら構いません」
「ユリィと同じ意見です。先に教えてくださればお連れしましたのに」
二人とも異論はないと思ってたけど、ここまでとは。あんたらこの前めっちゃ愚痴ってなかったっけ。
「そしたら私が呼んでくるから二人は待っておいて」
席を立って隣の教室に向かう。アリスの席は奥の窓側になっているはず。
今日もきれいな金髪の美少女がそこにいた。だが、その前には一人の男子生徒が立っている。アリスの机に手をついて話しかけている。
会話をしているという感じではなさそうだ。
「アリス。お昼を食べましょう。来ないから迎えに来たわよ」
その言葉にアリスと男子生徒がこっちを向いた。アリスには安堵、男子生徒には怒りの表情がこっちに向けられる。
「君はなんだ。僕が今アリスさんと話をしているんだ。邪魔をしないでくれ」
怒りの表情と連動するように怒りの声色でこっちに鋭い言葉を投げつけてきた。
「話してるって言うよりかは一方的に言葉をかけてアリスを困らせてたようにしか見えなかったけど」
お互いの言葉と視線がぶつかり合う。
先に口を開いたのは男子生徒の方だった。
「君が誰かは知らない。だけど僕の事は聞いたことがあるだろ。アゴン=リーゾル。リーゾル領の嫡子だ」
はて、どこかで聞いた名前のような……そうでないような。誰だっけな。
「残念だけど聞いたことないわ。話はそれでいいでしょ。アリス早くお昼にしましょ。お腹すいちゃったわ」
「僕の名前を聞いたことないなんてどこの田舎娘だ。教養を身につけろ!」
顔を真っ赤にしてこっちに吠えてくる。それを無視してアリスの腕をつかんで引寄せてそのままユリィとアンが待っている教室へと向かう。
「おい待て。話は終わってないぞ。アリスさんも田舎娘と食べるより僕との方がランチも美味しくなるはずだ」
「うるさいわ。一人で食べとけ」
顔をアゴンの方へ向け、言い放って会話を終わらせた。
「フ、フランソワ様。庇って頂いて有難いのですが、このままでいいのですか?」
「いいのよ。ほっときなさい。そんでもってまたあいつが来たら私のとこ来なさい」
そのまま私とアリスは後ろから飛んできた「フランソワ。名前は覚えたからな覚悟しておけよ」という言葉も無視して教室を後にした。
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