14 / 20
内政改革⑧ 塩水選と正条植え
しおりを挟む
寺倉郷では、昨年「四公六民」にしたことにより米の税収が大幅に減ってしまった。もちろん千歯扱きや唐箕、干し椎茸の販売と灰吹法による金銀の回収により、寺倉家の財政面では全く問題はないのだが、米は移民たちへの報酬に使えるだけでなく、戦時には兵糧となり、凶作時の非常食にもなるので、米はある程度余裕を持って備蓄しておきたい。
本音では税率はせめて「五公五民」くらいが望ましいのだが、今さら修正するのも好ましいとは言いがたい。故に米の収穫量自体を増やしたいと考えている。元の収穫量を100として、それを3割増の130に増やすことができれば、「六公四民」の60から「四公六民」の40に減った年貢を、「四公六民」のままで52にまで増やすことができ、「五公五民」の50よりも多くなる計算となる。
米の収穫量を増やす方法には肥料や稲の品種改良もあるが、手っ取り早く効果的にできるのは種籾の「塩水選」と「正条植え」だ。塩水選とは種籾を食塩水に入れ、比重が重くて沈んだ種籾だけを選んで、苗代で育苗するという種籾の選別方法である。
そして、正条植えは田植えの際に縦と横の列を揃え、同じ間隔を開けて苗を植える方法だ。前世では田植え機で植えられて綺麗に稲が並んだ風景が当たり前だったが、人の手で植えるこの時代では狭い間隔で密集して田植えしている。
正条植えをすると、日影が減って日光が稲に十分に当たり、風通しも良くなって稲の生育や稲穂の実付きも良くなるだけでなく、除草や害虫駆除、稲刈りの作業もやり易くなるのだ。そのため植える苗の本数は今より少し減ることになるが、稲1本当たりの稲籾が格段に増えるため、トータルでは正条植えした方が収穫量が増えることになる。
塩水選と正条植えを同時に行えば、米の収穫量は2割から3割程度は増えるはずだ。2月下旬の評定で、俺は塩水選と正条植えの試行を提案し、父から了承を得ると、寺倉郷の2割に当たる田んぼで塩水選と正条植えを試行的に始めたのだった。
一方、石鹸作りの方は試作が2月から始まったが、2月末に出来上がった最初の石鹸は獣脂の臭いが強く、ドロドロの液状のものが出来上がった。しかし、その石鹸を使って汚れた雑巾を洗わせると、黒く染みついた汚れは綺麗に落ち、洗浄力自体は問題なさそうだった。
とはいえ、衣類や食器を洗ったり、水浴びで身体や髪を洗ったり、京で富裕層に販売するためには、まず絶対に臭いの改善が必要だ。できれば固形化して使い易くしたいところだな。今後は柑橘類の果汁を入れて香りを付けてみたり、炭の粉を入れて臭いを除いたりできないか試しながら、しばらくは改良に努める必要がありそうだ。
その後、春になると、領内最大の寺である源煌寺の参道沿いには新興商人の店が幾つか出来つつあった。まぁ、現金収入が増えて購買力が上がった領民たちも行商人からの買い物だけでは不便であるため、俺が木原十蔵の伝手を使って商人たちを誘致した結果だ。商人たちが俺の勧誘に喜んで応じたのを見ると、どうやら商人たちも寺倉郷は有望な地だと目を付けたらしい。
いずれ近い将来、移民により人口が増加し、繁栄を遂げる寺倉郷の光景が俺の目にははっきりと映っている。その頃には、源煌寺の参道を商人街にして、自由な競争を生み出すため楽市楽座を導入したいところだ。
◇◇◇
7月上旬のある日の昼下がり、上等な服を着た40代後半の恰幅の良い男が馬に乗り、僅かな供を連れて寺倉郷の街道を歩んでいた。
その男の名は蒲生下野守定秀という。寺倉家の主家である蒲生家の当主であり、「六角六宿老」と呼ばれる六角家の重臣の一人である。蒲生家の本拠地は寺倉郷の30kmほど南にある蒲生郡日野郷であり、飛び地の板ヶ谷にある配下の領地を主君自ら訪ねるのは、極めて異例であった。
蒲生家は形式上は客将として六角家と主従関係で結ばれていたが、過去に定秀の祖父・蒲生貞秀が、存亡の危機にあった六角家当主・六角高頼を支援して復権させた経緯があり、その恩義から蒲生家は六角家中で突出した所領を与えられていた。そして、六角家当主が高頼の孫・六角義賢になった今代でも、蒲生家の権力は六角家中で当主の義賢に匹敵するほどであった。
その蒲生定秀は初めて訪れる寺倉郷の景色を馬上から眺めていたが、ふと馬を止めた。
「何だ、あの田は! あそこだけ稲が綺麗に並んでおるではないか? ふむ、他の田よりも稲の背丈が高いようだな」
周りの田よりも頭一つ高く青々と育った稲が、正条植えされて綺麗に並んでいる田が目に映ると、定秀は驚嘆の声を上げる。その堂々とした様は、秋を彩る黄金色の稲穂を、目の奥で想起させるような立派なものであった。
「……ふっ、これも例の"神童"とやらの仕業か? 益々会うのが楽しみになるのぅ」
やがて定秀は片頬に笑みを浮かべ、再び馬を歩ませていった。
一方その頃、蒲生定秀の供の一人が先触れとして寺倉家の屋敷を訪ね、定秀の来訪を告げていた。その報はすぐに当主・寺倉政秀に伝えられた。政秀は突然の主君の来訪に驚いたが、家臣たちや使用人に命じて定秀を迎える準備を慌ただしく進めるのだった。
◇◇◇
申の刻過ぎ(午後4時頃)、寺倉家の屋敷の広間では上座に座る蒲生定秀と、下座の正面には平伏する父の姿があった。
「蔵之丞。此度は突然訪ねてしまい、誠に済まぬな。所用で近くまで参ったのでな。折角の機会だと思い立ち、急遽立ち寄らせてもらった」
蒲生定秀は真正面から父を見据えながら、会釈するように僅かに頭を下げた。
「本来ならば私共が出迎えに参るべきところ、主君である下野守様にわざわざ足を運んでいただき、誠に申し訳ございませぬ」
主君の詫びの言葉に、父は慌てて頭を垂れて言葉を返した。その額にはまるで炎暑に当てられたかのように大粒の汗が滲み出ている。
「最近の寺倉郷の発展は著しいと耳にしておったが、ここに至る道中もなかなか目を見張るものがあったぞ」
「お褒めいただき、光栄の至りにございまする。何もない山間の田舎ですが、下野守様も日野からの長旅でさぞかしお疲れでございましょう。今宵はささやかですが、精一杯のもてなしをさせていただきます故、どうかごゆるりとお寛ぎくだされ」
「そうか、世話を掛けるのぅ。ついでに見ておきたいものもありそうだしな」
そう言いながら広間を見回した定秀の目は、小姓のフリをして隅に座っていた俺に向けられて止まった。一見柔和な笑みを浮かべながらも、その目の奥にまるで獲物を狙う虎のような獰猛な光が宿るのを垣間見た俺は、本能的に身体がビクッと強張り、その視線の意味を察知した。
人の口に戸は立てられない。これまで行ってきた施策が俺の発案であると、商人から耳にしたのだろう。所用のついでというのは口実だ。本当の目的は、急速に発展する寺倉郷の偵察と、"神童"と評判の俺の見定めに違いない。
蒲生家にとって俺が有用ならば懐柔し、邪魔ならば排除し、どちらでもなければ放置する、といったところか。俺に目を向けながら言った意味は、さしずめ「あまりやりすぎるなよ」という警告なのだろう。俺は定秀の値踏みするかのような視線に当てられながらも、定秀の目的を冷静に分析していた。
本音では税率はせめて「五公五民」くらいが望ましいのだが、今さら修正するのも好ましいとは言いがたい。故に米の収穫量自体を増やしたいと考えている。元の収穫量を100として、それを3割増の130に増やすことができれば、「六公四民」の60から「四公六民」の40に減った年貢を、「四公六民」のままで52にまで増やすことができ、「五公五民」の50よりも多くなる計算となる。
米の収穫量を増やす方法には肥料や稲の品種改良もあるが、手っ取り早く効果的にできるのは種籾の「塩水選」と「正条植え」だ。塩水選とは種籾を食塩水に入れ、比重が重くて沈んだ種籾だけを選んで、苗代で育苗するという種籾の選別方法である。
そして、正条植えは田植えの際に縦と横の列を揃え、同じ間隔を開けて苗を植える方法だ。前世では田植え機で植えられて綺麗に稲が並んだ風景が当たり前だったが、人の手で植えるこの時代では狭い間隔で密集して田植えしている。
正条植えをすると、日影が減って日光が稲に十分に当たり、風通しも良くなって稲の生育や稲穂の実付きも良くなるだけでなく、除草や害虫駆除、稲刈りの作業もやり易くなるのだ。そのため植える苗の本数は今より少し減ることになるが、稲1本当たりの稲籾が格段に増えるため、トータルでは正条植えした方が収穫量が増えることになる。
塩水選と正条植えを同時に行えば、米の収穫量は2割から3割程度は増えるはずだ。2月下旬の評定で、俺は塩水選と正条植えの試行を提案し、父から了承を得ると、寺倉郷の2割に当たる田んぼで塩水選と正条植えを試行的に始めたのだった。
一方、石鹸作りの方は試作が2月から始まったが、2月末に出来上がった最初の石鹸は獣脂の臭いが強く、ドロドロの液状のものが出来上がった。しかし、その石鹸を使って汚れた雑巾を洗わせると、黒く染みついた汚れは綺麗に落ち、洗浄力自体は問題なさそうだった。
とはいえ、衣類や食器を洗ったり、水浴びで身体や髪を洗ったり、京で富裕層に販売するためには、まず絶対に臭いの改善が必要だ。できれば固形化して使い易くしたいところだな。今後は柑橘類の果汁を入れて香りを付けてみたり、炭の粉を入れて臭いを除いたりできないか試しながら、しばらくは改良に努める必要がありそうだ。
その後、春になると、領内最大の寺である源煌寺の参道沿いには新興商人の店が幾つか出来つつあった。まぁ、現金収入が増えて購買力が上がった領民たちも行商人からの買い物だけでは不便であるため、俺が木原十蔵の伝手を使って商人たちを誘致した結果だ。商人たちが俺の勧誘に喜んで応じたのを見ると、どうやら商人たちも寺倉郷は有望な地だと目を付けたらしい。
いずれ近い将来、移民により人口が増加し、繁栄を遂げる寺倉郷の光景が俺の目にははっきりと映っている。その頃には、源煌寺の参道を商人街にして、自由な競争を生み出すため楽市楽座を導入したいところだ。
◇◇◇
7月上旬のある日の昼下がり、上等な服を着た40代後半の恰幅の良い男が馬に乗り、僅かな供を連れて寺倉郷の街道を歩んでいた。
その男の名は蒲生下野守定秀という。寺倉家の主家である蒲生家の当主であり、「六角六宿老」と呼ばれる六角家の重臣の一人である。蒲生家の本拠地は寺倉郷の30kmほど南にある蒲生郡日野郷であり、飛び地の板ヶ谷にある配下の領地を主君自ら訪ねるのは、極めて異例であった。
蒲生家は形式上は客将として六角家と主従関係で結ばれていたが、過去に定秀の祖父・蒲生貞秀が、存亡の危機にあった六角家当主・六角高頼を支援して復権させた経緯があり、その恩義から蒲生家は六角家中で突出した所領を与えられていた。そして、六角家当主が高頼の孫・六角義賢になった今代でも、蒲生家の権力は六角家中で当主の義賢に匹敵するほどであった。
その蒲生定秀は初めて訪れる寺倉郷の景色を馬上から眺めていたが、ふと馬を止めた。
「何だ、あの田は! あそこだけ稲が綺麗に並んでおるではないか? ふむ、他の田よりも稲の背丈が高いようだな」
周りの田よりも頭一つ高く青々と育った稲が、正条植えされて綺麗に並んでいる田が目に映ると、定秀は驚嘆の声を上げる。その堂々とした様は、秋を彩る黄金色の稲穂を、目の奥で想起させるような立派なものであった。
「……ふっ、これも例の"神童"とやらの仕業か? 益々会うのが楽しみになるのぅ」
やがて定秀は片頬に笑みを浮かべ、再び馬を歩ませていった。
一方その頃、蒲生定秀の供の一人が先触れとして寺倉家の屋敷を訪ね、定秀の来訪を告げていた。その報はすぐに当主・寺倉政秀に伝えられた。政秀は突然の主君の来訪に驚いたが、家臣たちや使用人に命じて定秀を迎える準備を慌ただしく進めるのだった。
◇◇◇
申の刻過ぎ(午後4時頃)、寺倉家の屋敷の広間では上座に座る蒲生定秀と、下座の正面には平伏する父の姿があった。
「蔵之丞。此度は突然訪ねてしまい、誠に済まぬな。所用で近くまで参ったのでな。折角の機会だと思い立ち、急遽立ち寄らせてもらった」
蒲生定秀は真正面から父を見据えながら、会釈するように僅かに頭を下げた。
「本来ならば私共が出迎えに参るべきところ、主君である下野守様にわざわざ足を運んでいただき、誠に申し訳ございませぬ」
主君の詫びの言葉に、父は慌てて頭を垂れて言葉を返した。その額にはまるで炎暑に当てられたかのように大粒の汗が滲み出ている。
「最近の寺倉郷の発展は著しいと耳にしておったが、ここに至る道中もなかなか目を見張るものがあったぞ」
「お褒めいただき、光栄の至りにございまする。何もない山間の田舎ですが、下野守様も日野からの長旅でさぞかしお疲れでございましょう。今宵はささやかですが、精一杯のもてなしをさせていただきます故、どうかごゆるりとお寛ぎくだされ」
「そうか、世話を掛けるのぅ。ついでに見ておきたいものもありそうだしな」
そう言いながら広間を見回した定秀の目は、小姓のフリをして隅に座っていた俺に向けられて止まった。一見柔和な笑みを浮かべながらも、その目の奥にまるで獲物を狙う虎のような獰猛な光が宿るのを垣間見た俺は、本能的に身体がビクッと強張り、その視線の意味を察知した。
人の口に戸は立てられない。これまで行ってきた施策が俺の発案であると、商人から耳にしたのだろう。所用のついでというのは口実だ。本当の目的は、急速に発展する寺倉郷の偵察と、"神童"と評判の俺の見定めに違いない。
蒲生家にとって俺が有用ならば懐柔し、邪魔ならば排除し、どちらでもなければ放置する、といったところか。俺に目を向けながら言った意味は、さしずめ「あまりやりすぎるなよ」という警告なのだろう。俺は定秀の値踏みするかのような視線に当てられながらも、定秀の目的を冷静に分析していた。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
CREEPY ROSE:『5000億円の男』
生カス
SF
人生のどん底にいた、何一つとりえのない青年ハリこと、梁木緑郎(はりぎ ろくろう)は、浜辺を歩いていたところを何者かに誘拐されてしまう。
連れ去られた先は、男女比1:100。男性がモノのように扱われる『女性優位』の世界だった。
ハリはそんな世界で、ストリートキッズの少女、イトと出会う。
快楽と暴力、絶望と悔恨が蔓延る世界で繰り出される、ボーイミーツガールズストーリー。
※小説家になろう
https://ncode.syosetu.com/n4652hd/
魔法少女ってマジカルなのか? ――で、俺、惨状? そんな俺は社畜ブサメン瓶底メガネキモオタク。愛と夢と希望をブチ壊し世界の危機に立ち向かう?
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
極平凡で、ありふれた、良くある、日常の風景――。
朝起きて、準備して、仕事に出掛ける。
俺にしてもいつも通りで、他の誰とも何も変わらない――筈だった。
気付いた時には、既に手遅れだった。
運命の歯車が突如大きく、歪み、狂い、絡みあって――まるで破滅へと誘うかのように、今日、この日、たった今――目の前で動き出したのだ――。
そして俺は――戦うことを強いられる。
何故か――『魔法少女』として?
※一部、改稿しました。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ぞんびぃ・ぱにつく 〜アンタらは既に死んでいる〜
されど電波おやぢは妄想を騙る
SF
数週間前、無数の巨大な隕石が地球に飛来し衝突すると言った、人類史上かつてないSFさながらの大惨事が起きる。
一部のカルト信仰な人々は、神の鉄槌が下されたとかなんとかと大騒ぎするのだが……。
その大いなる厄災によって甚大な被害を受けた世界に畳み掛けるが如く、更なる未曾有の危機が世界規模で発生した!
パンデミック――感染爆発が起きたのだ!
地球上に蔓延る微生物――要は細菌が襲来した隕石によって突然変異をさせられ、生き残った人類や生物に猛威を振い、絶滅へと追いやったのだ――。
幸運と言って良いのか……突然変異した菌に耐性のある一握りの極一部。
僅かな人類や生物は生き残ることができた。
唯一、正しく生きていると呼べる人間が辛うじて存在する。
――俺だ。
だがしかし、助かる見込みは万に一つも絶対にないと言える――絶望的な状況。
世紀末、或いは暗黒世界――デイストピアさながらの様相と化したこの過酷な世界で、俺は終わりを迎えるその日が来るまで、今日もしがなく生き抜いていく――。
生ける屍と化した、愉快なゾンビらと共に――。
七日目のはるか
藤谷 郁
SF
女子大に通う春花は、純情硬派なイケメン女子。
ある日、友人の夕子(リケジョ)が【一週間だけ男になる薬】という怪しい錠剤を持ってきた。
臨床試験を即座に断る春花だが、夕子の師である真崎教授の「ただのビタミン剤ですよ」という言葉を信じ、うっかり飲んでしまう。
翌朝、パニックに陥る春花に、真崎は思いも寄らぬ提案をしてきて……
(2023/11/15 最終話を改稿しました)
バウンティハンター
ペンネームナシケイ
SF
いつものように賞金稼ぎとして依頼をこなしていた氷見十六夜の元に
ハンター協会の元締めオスカーから依頼がくる。それは第三次世界大戦の原因
のひとつになったロボット発明王にして武器商人の「チビデブ」を捕まえ
ること。仲間と組んで捕まえてもいいという依頼だった。調査を始める
氷見。そこへリックとバージルがくわわり追跡するうちに「チビデブ」
の恐ろしい計画を知ってしまう。彼らは砂漠にあるアジトへ
向かうのだった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる