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閑話休題:ムカイ領

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「デンハ君、ココはもう少し弄れるかい?」
「大丈夫です・・・にゃ。」
「・・・無理して『ニャ』付けなくても大丈夫だよ?」
 ムカイ領領主で頼子の父、向井勇は猫の妖精デンハに言う。

「・・・ミオとこっちのごはん食べる約束したから・・・にゃ。」
「すまん!うちの娘が!」
 美桜の父、平田啓治は頭を下げる。

「だ!大丈夫ですよ!ミタマさんやマクリちゃんも付けてますし!恥ずかしくないので!・・・にゃ!」
 デンハはオロオロと啓治に答える。

「しかし精霊魔法は便利だなぁ、タイキの金属魔法も凄いが、木をこんなに加工出来るなんて。」
 麗奈の父、矢代和也は腕を組み唸る。

「僕だけじゃないですよ、森に住む種族は結構使える者も多いです、エルフやレプラコーン、ブラウニー達も仕えますし・・・にゃ。」
「やはり精霊系の種族なんだね。」
「人間でも使える人いますよ?・・・にゃ。」
「へぇそんな人間も居るんだね。」
「はい、レナも使えますね・・・にゃ。」
「へ?レナ使えるの!?」
 和也は驚く。

「レナは精霊とも話せますからね、魔属性の特性なのかは分かりませんが、色々と使えますねぇ・・・にゃ。」
「今度手伝ってもらおうかな。」
 木で出来た簡易サスペンション、通称板バネと言われる加工をしていたパパさんズはあれやこれやと話す。

「これで良いですか?・・・にゃ?」
「そうだね、金属の板サスの方が良いだろうけれど、これだけしなりの良い木が有れば安価で作れそうだ。」
「今鉄は魔導鉄道に回しているからなぁ、出来れば代替えが欲しいな。」
「魔導鉄道はどうなってるんだ?タイキ。」
 勇は大樹に進捗状況を確認する。

「王都からムカイ領、リモーア領やショナル領には既に線路が引かれたよ、モート連邦国からもこちらに向かって線路を引いてるから思ったよりも早く動かせるね。」
「早いな!」
「流石魔法世界だね、鉄の加工や運搬も地球じゃ考えられない方法でやるから俺も見てビックリしたよ。」
 パパさんズ達は嬉しそうに話す。

「ただいまー!」
「なにしてんの?」
「まーた遊んでる。」
「デンハちゃんご苦労様ー、無茶言われてない?」
 ママさんズが部屋になだれ込む。

「失礼だなぁ、ちゃんと研究してるんだよ、なぁ?デンハ君。」
「はい!楽しいです!・・・にゃ!」
「楽しんでるなら遊びじゃ無いの?」
「いや、研究してるんだよ、ほら!サスペンション!」
「ふぅ~ん。」
 ママさんズは呆れた顔でパパさんズを見る、すると窓から妖精が現れる。

コンコンコンコン!

「あら、リリ達じゃない、どうしたのかしら?」
 頼子の母、智美が窓を開けるとリリ達が入って来る。

「ご飯作るのー!」
「海鮮なのー!」
「いっぱいだぜ!」
「食べ放題よ!」
 妖精達は一斉に話しかける。

「どういう事だ?」
 勇は首を傾げるが、智美はクスクスと笑う。

「ヨリちゃん達が海に行って海鮮沢山捕って来たから晩御飯作るんでしょ?」
「そう!」
「そうともいう!」
「そのとおり!」
「そうなのー!」
「良く分かるなお前。」
 勇は智美を見ながら呟く。

「さて、もう作り終わったの?」
「まだ!」
「今お風呂!」
「ギャーって言ってた!」
「いまからよ!」
「あー、日焼けでお風呂入った感じなのね。」
 横で聞いていた美咲は笑いながら答える。

「それじゃお手伝いに行こうかしら?」
「海鮮料理ね、何が有るのかしら。」
「材料みてから考えたら良いじゃない。」
「そうね、私も手伝うわ。」
 ママさんズはそう言うと旦那達を見る。

「私達はあっちに行くけど、どうする?」
「・・・行く。」
「御相伴に預かりますかぁ。」
「海鮮かぁ、日本酒かなぁ。」
「うちのは中華作りそうだから紹興酒もありかもな。」
「もう、飲む事ばっかりなんだから。」
「ほらいくわよ!」
「へいへい、ちょっと言付けて来るから先に行っててくれ。」
 勇は皆にそう言うと部屋を出る、勇にはポポがくっついている。

「リリちゃんお願いしていい?」
「もちろんよ!デンハ!あなたも行くんでしょ?」
「行きます!・・・にゃ!」
 皆は妖精達に誘われジブラロールに戻った。



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