上 下
580 / 732

2人目の聖女!

しおりを挟む
「うむ、上手いのぅ。」
「有難うございますロイロ様。」
「これは便利だ。」
 ロイロは魔法によるドラゴン成獣化を教えていた。

「すごぉい!ミカ綺麗!」
「ゼルカッコいい!!!」
 青空と大愛は成獣になりロイロと並ぶミカとゼルに声を掛ける。

「これでソラ様を乗せれますね。」
「やったね!リヴィル領までひとっとびだ!」
 ミカの大きな頭に抱き着く青空は嬉しそうだ。

「ダイアどうだ?」
 艶のあるロイロの黒とは違い、光を全て吸い尽くすような漆黒のゼルは大愛に顔を寄せる。

「めっちゃカッコいい!」
 青空と大愛はキャッキャと騒いでいると、お客が現れる。

「う~っわ、またドラゴン増えてるし。」
「こんばんは~♪ロイロさんそのドラゴンお友達?」
 ユーリンとシャルルが現れ、後ろからは野郎3人が歩いて来る。

「やっと来たか。」
「ロイロちゃん乗せてくれればいいのにぃ。」
「準備もあったからのぅ、急いで来る必要もないじゃろ?」
「ま~、そうだけど、で?何の宴なの?」
「チハルがこっちに来て1周年じゃ。」
「あ、あっちから来たの昨年の今日なんだ。」
 事情を知っているユーリンとシャルルはそう言うと部屋に入り千春の所へ駆け寄った。

「俺達も来て良かったのか?」
「まぁ顔見知り程度ではあるけどな。」
「ロイロさんが良いって言ったんだ、良いんだろ?」
 そう言うと部屋に入り千春に挨拶をする。

「らっしゃい!」
「あ、なんかおめでとうございます。」
「いや、別におめでたいわけじゃないんだよね。」
 アハハハと笑いながら答える千春、そしてドレスアップした頼子達と話す。

「で、あのドラゴンなに?」
 ユーリンは気になった事を聞く。

「あれ新しくペットになったドラゴン、白い方がミカって言うソラの天使ドラゴン、黒い方はゼル、ダイアの悪魔ドラゴンだよ。」
「・・・えーっと、情報多くない?」
「そう?」
「天使と悪魔って何?」
 シャルルはドラゴンを見ながら呟く。

「んー、ちょっと特殊な世界の転生ドラゴンと思ったら良いんじゃない?知らんけど。」
「千春適当だなぁ。」
「んじゃヨリ説明してよ。」
「・・・うん、それでいい。」
 説明をしていると扉がノックされ、扉番と化したモリアンが開ける。

「チハル、1年ありがとう、これからも私の娘として、このお腹の子の姉としてよろしくね。」
「はい、お母様。」
「チハルおねぇちゃんおめでとー!」
「ありがとー♪」
 マルグリットに返事をし、ユラとハグする千春。

「チーちゃん、ほらそこに座ってな。」
「えー、手伝うよー。」
「今日は主役でしょ?それにそんな綺麗なドレス着てるんだから、大人しく座ってな。」
「はーい。」
 千春は頼子と一緒にソファーに座る。

「1年かぁ、それじゃ私って正月に来たから1ヶ月くらいしか変わんないだ。」
「うん、あの1ヶ月は怒涛の様に過ぎたからなぁ。」
「遊びに誘っても来なかったもんね。」
「だってコッチで色々やってたんだもん。」
 昨年を思い出しながら2人は話す、部屋には次々と食事が運ばれ並べられていく。

「誰がこんなに食べるのかな。」
 頼子は並ぶ料理を見て呟く。

「さぁ?」
 千春は呆れた顔でテーブルを見る、頼子はポツリと呟く。

「アイトネとモートさんなら消費出来るかな。」
『呼んだ~?』
「まだですよ~。」
「やぁヨリ、チハル。」
「こんばんわ~ん♪」
「・・・え?私モートさんも呼べるようになったの?」
 モートの顔を見ながら問いかける頼子。

「気にするな。」
「いや、気になりますって!ねぇ千春!私聖女じゃないよね!?」
「どうだろね、気になるならアリンに鑑定してもらったら~?」
『ヨリは聖女じゃ無いわよ?でも信仰が集まってるから準聖女って感じ?』
「ちょっとまったー!!!!信仰って何ですか!?アイトネ様!」
『ジブラロール王国の令嬢や貴族淑女からも信仰心集まってるわよ?』
「えぇぇぇ・・・アレかぁ!」
「流石美の聖女!」
「やめれ!」
「ねぇアイトネ、『ヨリは』って言ったよね?」
『えぇ。』
「・・・他は?」
『ん、えっとぉ・・・ソラがね?』
「うん、ソラが?」
『聖女付いちゃった。』
「・・・ソラぁぁぁ!!!!」
 思わず青空を呼ぶ千春。

「なにー?どしたーん?」
「ソラ聖女だって!」
「あー、なんかそう言う噂聞いたわ、でも皆何かしらついてんじゃん。」
「いや、そうじゃ無く、『聖女』らしいよ。」
「・・・は?」
 思わず聞き返す青空、そして皆がアイトネを見る。

『えっとぉ、ソラってミカと契約したじゃない?』
「うん。」
「したね。」
「はい、しました。」
『で、ミカって天使って表現したけれど、あの種族って聖魔法特化してるわけ。』
「へ~流石天使種族。」
「へ?もしかしてソラも聖属性魔法使えるとか?」
「うそ、聞いてないんだけど。」
『それで・・・神託スキル7付けてたじゃない?』
「つけてましたなぁ。」
「皆ついてるねぇ。」
『ミカのせいでランクあがっちゃって聖女付いちゃった、テヘッ。』
「・・・うん、ソラ、ナカーマ。」
「ちょー!まって!お願い!内緒にして!せめて準でお願い!」
「良いじゃんもう噂になってんだし。」
「聖女は1人で良いだろー!」
「2人でも良いじゃーん!仲間じゃーん!」
「てぇぇぃ!!!手を握るなぁ!チハルぅ!」
 嬉しそうに手を握る千春、青空はペィっと手を振り払う。

「ふっ、振り払ったところで変わらぬよ!ソラどん!」
「くっ!」
「先生!ソラは良いとして、ダイアはどうなんですかー!」
 頼子は千春と青空の漫才を放置しアイトネに問いかける。

「ダイアは闇魔法が付いたわね。」
「ダイア!仲間ー!」
 頼子は嬉しそうに大愛を呼ぶ。

「騒がしいなぁ、どうしたん?」
「ソラが聖女になった、ダイアは闇魔法使えるようになってるよ!」
「マ!?もしかして影収納出来るの!?」
「どうなんです?アイトネ様。」
『使えるわよ、それからこの世界では使われてない魔法も使えるわね。』
「おぉー!どんな魔法ですか?」
『暗黒魔法ね、これはゼルに聞けば覚えれると思うわよ?』
「暗黒魔法キター!」
 大愛は両手を上げ叫ぶ。

「カッコいいけど、危なくないんですか?」
『使い方を間違えばどの魔法でも危ないわよ?』
「「「「「確かに。」」」」」
『それに闇魔法の分岐だもの、多分ヨリとビェリーも使えるわよ。』
「マ?ビェリー!ビェリーって暗黒魔法使えるの!?」
「ん?知らんばい?そんな魔法。」
『使える素質があるって事、それもゼルに聞いたら教えてくれるわよ。』
「アイトネ様は使えるんですか?」
『えぇ、私はどの魔法でも使えるわよ。』
「マジか、さすが神。」
 頼子と大愛は外で成獣ドラゴンになったゼルの所に駆け寄り話を聞きに行く。

「暗黒魔法ってどんな魔法なの?アイトネ。」
『んー、実は聖魔法と裏表の魔法なの、聖だと回復、暗黒は腐敗、魔力譲渡の代わりに魔力を吸い取ったり出来るわ。』
「・・・こわっ。」
「危ない魔法じゃん!」
『使い方次第ね。』
「でも影収納はウラヤマ~。」
 聖魔法が付いた青空は羨ましそうに大愛と頼子を見る。

「回復出来るようになったし良いじゃん。」
 千春はニヤニヤと青空を見る。

「・・・まぁ・・・うん。」
「聖女ナカーマ!!!!」
「それが嫌なんだよぉ!面倒事ホイホイじゃん!」
「失礼な!好きでホイホイしてんじゃないよ!」
 千春と青空はギャイギャイと騒ぐ、そして外ではゼルの魔法講義が始まっていた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生王女は現代知識で無双する

紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。 突然異世界に転生してしまった。 定番になった異世界転生のお話。 仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。 見た目は子供、頭脳は大人。 現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。 魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。 伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。 読んでくれる皆さまに心から感謝です。

幸子ばあさんの異世界ご飯

雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」 伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。 食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。

死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと

Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

浮気相手の面倒見ろとか寝惚けてるんですか? 撃ちますよ? 雷魔法。

隣のカキ
恋愛
私の婚約者は足りていないと貴族界隈で噂される程の人物。そんな彼が真実の愛を見つけたのだそうです。貴族にそんな言い訳は通用しません。第二夫人? 寝惚けているようなので目を覚まして差し上げます。雷魔法で。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

転生したら死にそうな孤児だった

佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。 保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。 やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。 悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。 世界は、意外と優しいのです。

処理中です...