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変わり種うどん!
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「・・・あー、魔国か。」
目が覚めた千春は見慣れぬ部屋に一瞬戸惑いつつも横を見ればマルグリットとユラ、そして3人の枕になったルプがいた。
「おはよールプ(ボソッ)」
「おはよう(ボソッ)」
2人を起こさないよう、小さな声でルプに声をかけて千春はモゾモゾと布団から這い出る。
「ちはるおねーちゃん?」
「あ、起きちゃった、おはよユラ。」
「おはようございまふぅ。」
目を擦りながら挨拶するユラ、しかしすぐ目が覚めた様でニッコリと微笑む。
「おはようユラ、チハル。」
「お母様おはようございます、起きてました?」
「一度起きたけれど、2人の寝顔見てたら二度寝しちゃったわ。」
フフッと笑いマルグリットも起き上がる。
「ルプありがとう、ぐっすり寝れたわ。」
「いつもの事だ気にしなくて良い。」
マルグリットが言うと、満更でも無い様にルプは答える。
「おはよう御座います王妃殿下、チハル様、ユラ様。」
「おはようエリーナ、貴女もゆっくり寝れたかしら?」
「はい、侍女としては過分な部屋を用意して頂きましたので。」
「侍女ではなく私達と一緒で客として扱ってくれたのよ、貴女も貴族令嬢なんですから。」
マルグリットはいつもと同じ様に身支度をし、千春はちゃちゃっと服を着替える、ユラはアルベルに手伝ってもらい着替える。
「お母様今日どうされます?ジブラロール戻られます?」
「んー、マリーナとティスケリーが宰相と貿易の話をするって言ってたのよ、フリエンツ経由でジブラロールの品もって言ってたから話をしてくるわ。」
「了解です!あ、朝ごはんどうされます?食べれます?」
「そうねぇ、軽くなら食べれるかしら。」
「うどんばかりじゃタンパク質が取れませんね。」
「たんぱくしつが良く分からないけれどダメなの?」
「バランスよく食べた方が良いですから、チーズはどうです?」
「朝からは重くないかしら。」
「牛乳はどうです?」
「ん~・・・好きではないわ。」
「ふむぅ、あ、そうだ、ちょっとうどんで軽く作りましょう。」
千春は何かを思い付き、マルグリットに提案する。
「そうね、何処で作るの?」
「厨房まで行くのは面倒ですね、アイトネー。」
『は~い、どうしたの?』
「ちょっとジブラロールの私の部屋まで移動お願い出来る?」
『良いけれど誰が行くの?』
「え~っと、今この部屋にいる人だけで良いよ、お母様の朝ごはん作るだけだから。」
『へぇ~・・・美味しそうねソレ。』
「また思考読んでるー、食べてみる?」
『もちろん♪』
アイトネと千春が話をしているとサフィーナが顔を出す。
「チハル起きました?」
「おはようサフィー、ちょっと私の部屋に行くから、他のメンバーに言っといて。」
「はい、私も行きますのでちょっとお待ちください。」
サフィーナはサリナへ伝言すると部屋に戻って来る。
「おっけ、それじゃアイトネお願い。」
『いくわよ~♪』
いつもの様に軽く手を振ると、いつもの応接室に居た。
「よし、それじゃサフィーうどん茹でてくれる?」
「はい、分かりました。」
「チハルおねえちゃん!ユラもてつだう!」
「おっけー、ユラは卵を割ってくれるかな?」
「はーい!」
「どれくらい茹でるの?」
「え~っとお母様と私とユラ、サフィーとエリーナさん、アルベルさん、あとルプか、アイトネ2人分いるかな?多めに作るかぁ、10人分お願い。」
「了解です。」
「あとはミルクと魔国産チーズ、え~っとコンソメの素、ニンニクとオリーブオイル、塩コショウと・・・。」
千春は指示をすると調味料と材料を並べる。
「あ、ベーコン無いかな。」
「有りますよ、オークですけど良いですか?」
「良いよー。」
「チハル様お手伝い致します。」
アルベルが厨房にやって来ると声を掛けて来る。
「お母様の所に居ても大丈夫ですよ?」
「エリーナが居ますので問題ありません、魔国ではなくチハル様のお部屋ですから。」
「あー、そだね、部隊の子も警護してるもんね、それじゃベーコンを薄切りにスライスして短冊切り・・・えーっとこんな感じに。」
ベーコンをまな板に置くと見本を作る。
「こんな感じでお願いします。」
「はい、了解しました。」
「それじゃ私は味付けしますかね。」
フライパンにオリーブオイルを入れ温めると刻んだニンニクを炒める。
「良い香りね。」
「お母様、座ってて大丈夫ですよ。」
「何か手伝わせて頂戴。」
ニッコリ微笑んで言われると千春も断れない、ユラを見るとまだ卵と格闘していた。
「ユラと一緒に卵お願いします。」
「わかったわ、ユラ、一緒にやりましょう。」
「はーい!」
2人のやり取りを見ながら千春はベーコンを受け取りフライパンに入れる。
「ちょっとカリっとした方が良いかな。」
少し火を強くしベーコンを炒めるとミルクを入れる。
「ミルクベースのスープ?」
サフィーナは初めて見る料理に興味を持ち問いかける。
「スープと言えばスープだねぇ。」
キューブ型のコンソメをぽいぽいっと入れかき混ぜ、ゆっくり沸騰するまで待つ。
「チハル、卵出来たわよ。」
「その卵をまーぜまぜしておいてください。」
泡だて器を渡すとユラが嬉しそうに受け取る。
「私がボウルを持つからユラかき混ぜてちょうだい。」
「はい!おかあさま!」
2人の作業は続く。
「あとはチーズを削ってとかしま~す。」
「チハルうどん出来たわよ。」
「お湯切ってこのザルにあげておいてくれる?」
「はーい。」
千春はフライパンのスープを少し味見しながら塩コショウで調節する。
「おっけ、サフィこの大鍋にうどんいれてくれる?」
サフィーナはザルに入った麺を鍋に入れると千春はフライパンのスープをその鍋に流し込む。
「お母様卵くださーい。」
「ココに入れたらいいのかしら?」
「はい、どばーっとお願いします。」
マルグリットはボウルに入った、溶き卵を大鍋に入れると千春は急いでぐるぐるとかき混ぜる。
「うらうらうらうらぁ!」
「フフッ、なにその掛け声。」
「なんとな~~~~くでぇぇすぅぅぅ!結構力いるんですよぉ!」
かき混ぜたうどんを深皿に移し替えると千春はチーズグレーターで濃厚なチーズを削りかけ、最後に粗びき胡椒を振りかける。
「はい!出来上がり!」
「ん-良い匂いね、これなら食べれそう。」
「チハル、これは何て言う料理なの?」
「ん、カルボナーラうどん!」
「へぇ、美味しそうね、それじゃぁ向こうで頂きましょうか。」
マルグリットは盛り付けられた深皿を手に取る。
「王妃殿下お持ち致します。」
「大丈夫よ、あなた達も自分達の分持って来なさいな。」
「ユラも持つー!」
「ユラ、ふち持たないと熱いからね?」
「うん!」
「サフィー・・・器用だね。」
千春はサフィーナを見ると右手に2皿、左手に1皿持ち立っていた。
「さぁチハル行きましょう。」
「う、うん。」
サフィーナに促され応接室に向かうと、サフィーナはアイトネとルプの前に皿を並べる。
「えーっとフォークでもお箸でもどっちでもOKですから。」
「お箸で頂こうかしら。」
「ユラもー!」
皆はそれぞれ箸やフォークを持ちいつもの挨拶をする。
「いただきま~す。」
「いただきまーす!」
「「「「「いただきます。」」」」」
「ん!美味しいわ!」
「とっても美味しいですね、ミルクと卵、チーズが良く合わさって太い麺に良く絡んでます。」
サフィーナはつるりと麺を飲み込むと感想を言う。
「チハルおねえちゃんおいしい!」
「よかったねー。」
「千春、本当に美味いぞ、おかわりはあるのか?」
「う・・・無いけどルプとアイトネの分は皆の倍入れてるよ。」
『ん~~~~~♪』
ルプは皆と違い、箸でごっそり取るとズルズルっと食べている、アイトネは一口食べるたびに唸る。
「満足そうで何よりで御座います~♪」
「チハル。」
「なんですか?お母様。」
「ルノアーにこのレシピ教えてあげて。」
「はい、気に入りました?」
「えぇ、これならいつでも食べれそうよ。」
「タンパク質と炭水化物、カルシウムも取れます、あとビタミンは野菜で取ってくださいね。」
「色々考えて作ってるのね。」
「はい、たま~~~~~~に何も考えず美味しいから作る事も有りますけれど。」
「フフッ、有難うチハル。」
皆は満足そうにカルボナーラうどんを啜る、その後、魔国に戻り皆が同じ物を食べたいと言われ、千春はもう一度厨房で作る事になった。
目が覚めた千春は見慣れぬ部屋に一瞬戸惑いつつも横を見ればマルグリットとユラ、そして3人の枕になったルプがいた。
「おはよールプ(ボソッ)」
「おはよう(ボソッ)」
2人を起こさないよう、小さな声でルプに声をかけて千春はモゾモゾと布団から這い出る。
「ちはるおねーちゃん?」
「あ、起きちゃった、おはよユラ。」
「おはようございまふぅ。」
目を擦りながら挨拶するユラ、しかしすぐ目が覚めた様でニッコリと微笑む。
「おはようユラ、チハル。」
「お母様おはようございます、起きてました?」
「一度起きたけれど、2人の寝顔見てたら二度寝しちゃったわ。」
フフッと笑いマルグリットも起き上がる。
「ルプありがとう、ぐっすり寝れたわ。」
「いつもの事だ気にしなくて良い。」
マルグリットが言うと、満更でも無い様にルプは答える。
「おはよう御座います王妃殿下、チハル様、ユラ様。」
「おはようエリーナ、貴女もゆっくり寝れたかしら?」
「はい、侍女としては過分な部屋を用意して頂きましたので。」
「侍女ではなく私達と一緒で客として扱ってくれたのよ、貴女も貴族令嬢なんですから。」
マルグリットはいつもと同じ様に身支度をし、千春はちゃちゃっと服を着替える、ユラはアルベルに手伝ってもらい着替える。
「お母様今日どうされます?ジブラロール戻られます?」
「んー、マリーナとティスケリーが宰相と貿易の話をするって言ってたのよ、フリエンツ経由でジブラロールの品もって言ってたから話をしてくるわ。」
「了解です!あ、朝ごはんどうされます?食べれます?」
「そうねぇ、軽くなら食べれるかしら。」
「うどんばかりじゃタンパク質が取れませんね。」
「たんぱくしつが良く分からないけれどダメなの?」
「バランスよく食べた方が良いですから、チーズはどうです?」
「朝からは重くないかしら。」
「牛乳はどうです?」
「ん~・・・好きではないわ。」
「ふむぅ、あ、そうだ、ちょっとうどんで軽く作りましょう。」
千春は何かを思い付き、マルグリットに提案する。
「そうね、何処で作るの?」
「厨房まで行くのは面倒ですね、アイトネー。」
『は~い、どうしたの?』
「ちょっとジブラロールの私の部屋まで移動お願い出来る?」
『良いけれど誰が行くの?』
「え~っと、今この部屋にいる人だけで良いよ、お母様の朝ごはん作るだけだから。」
『へぇ~・・・美味しそうねソレ。』
「また思考読んでるー、食べてみる?」
『もちろん♪』
アイトネと千春が話をしているとサフィーナが顔を出す。
「チハル起きました?」
「おはようサフィー、ちょっと私の部屋に行くから、他のメンバーに言っといて。」
「はい、私も行きますのでちょっとお待ちください。」
サフィーナはサリナへ伝言すると部屋に戻って来る。
「おっけ、それじゃアイトネお願い。」
『いくわよ~♪』
いつもの様に軽く手を振ると、いつもの応接室に居た。
「よし、それじゃサフィーうどん茹でてくれる?」
「はい、分かりました。」
「チハルおねえちゃん!ユラもてつだう!」
「おっけー、ユラは卵を割ってくれるかな?」
「はーい!」
「どれくらい茹でるの?」
「え~っとお母様と私とユラ、サフィーとエリーナさん、アルベルさん、あとルプか、アイトネ2人分いるかな?多めに作るかぁ、10人分お願い。」
「了解です。」
「あとはミルクと魔国産チーズ、え~っとコンソメの素、ニンニクとオリーブオイル、塩コショウと・・・。」
千春は指示をすると調味料と材料を並べる。
「あ、ベーコン無いかな。」
「有りますよ、オークですけど良いですか?」
「良いよー。」
「チハル様お手伝い致します。」
アルベルが厨房にやって来ると声を掛けて来る。
「お母様の所に居ても大丈夫ですよ?」
「エリーナが居ますので問題ありません、魔国ではなくチハル様のお部屋ですから。」
「あー、そだね、部隊の子も警護してるもんね、それじゃベーコンを薄切りにスライスして短冊切り・・・えーっとこんな感じに。」
ベーコンをまな板に置くと見本を作る。
「こんな感じでお願いします。」
「はい、了解しました。」
「それじゃ私は味付けしますかね。」
フライパンにオリーブオイルを入れ温めると刻んだニンニクを炒める。
「良い香りね。」
「お母様、座ってて大丈夫ですよ。」
「何か手伝わせて頂戴。」
ニッコリ微笑んで言われると千春も断れない、ユラを見るとまだ卵と格闘していた。
「ユラと一緒に卵お願いします。」
「わかったわ、ユラ、一緒にやりましょう。」
「はーい!」
2人のやり取りを見ながら千春はベーコンを受け取りフライパンに入れる。
「ちょっとカリっとした方が良いかな。」
少し火を強くしベーコンを炒めるとミルクを入れる。
「ミルクベースのスープ?」
サフィーナは初めて見る料理に興味を持ち問いかける。
「スープと言えばスープだねぇ。」
キューブ型のコンソメをぽいぽいっと入れかき混ぜ、ゆっくり沸騰するまで待つ。
「チハル、卵出来たわよ。」
「その卵をまーぜまぜしておいてください。」
泡だて器を渡すとユラが嬉しそうに受け取る。
「私がボウルを持つからユラかき混ぜてちょうだい。」
「はい!おかあさま!」
2人の作業は続く。
「あとはチーズを削ってとかしま~す。」
「チハルうどん出来たわよ。」
「お湯切ってこのザルにあげておいてくれる?」
「はーい。」
千春はフライパンのスープを少し味見しながら塩コショウで調節する。
「おっけ、サフィこの大鍋にうどんいれてくれる?」
サフィーナはザルに入った麺を鍋に入れると千春はフライパンのスープをその鍋に流し込む。
「お母様卵くださーい。」
「ココに入れたらいいのかしら?」
「はい、どばーっとお願いします。」
マルグリットはボウルに入った、溶き卵を大鍋に入れると千春は急いでぐるぐるとかき混ぜる。
「うらうらうらうらぁ!」
「フフッ、なにその掛け声。」
「なんとな~~~~くでぇぇすぅぅぅ!結構力いるんですよぉ!」
かき混ぜたうどんを深皿に移し替えると千春はチーズグレーターで濃厚なチーズを削りかけ、最後に粗びき胡椒を振りかける。
「はい!出来上がり!」
「ん-良い匂いね、これなら食べれそう。」
「チハル、これは何て言う料理なの?」
「ん、カルボナーラうどん!」
「へぇ、美味しそうね、それじゃぁ向こうで頂きましょうか。」
マルグリットは盛り付けられた深皿を手に取る。
「王妃殿下お持ち致します。」
「大丈夫よ、あなた達も自分達の分持って来なさいな。」
「ユラも持つー!」
「ユラ、ふち持たないと熱いからね?」
「うん!」
「サフィー・・・器用だね。」
千春はサフィーナを見ると右手に2皿、左手に1皿持ち立っていた。
「さぁチハル行きましょう。」
「う、うん。」
サフィーナに促され応接室に向かうと、サフィーナはアイトネとルプの前に皿を並べる。
「えーっとフォークでもお箸でもどっちでもOKですから。」
「お箸で頂こうかしら。」
「ユラもー!」
皆はそれぞれ箸やフォークを持ちいつもの挨拶をする。
「いただきま~す。」
「いただきまーす!」
「「「「「いただきます。」」」」」
「ん!美味しいわ!」
「とっても美味しいですね、ミルクと卵、チーズが良く合わさって太い麺に良く絡んでます。」
サフィーナはつるりと麺を飲み込むと感想を言う。
「チハルおねえちゃんおいしい!」
「よかったねー。」
「千春、本当に美味いぞ、おかわりはあるのか?」
「う・・・無いけどルプとアイトネの分は皆の倍入れてるよ。」
『ん~~~~~♪』
ルプは皆と違い、箸でごっそり取るとズルズルっと食べている、アイトネは一口食べるたびに唸る。
「満足そうで何よりで御座います~♪」
「チハル。」
「なんですか?お母様。」
「ルノアーにこのレシピ教えてあげて。」
「はい、気に入りました?」
「えぇ、これならいつでも食べれそうよ。」
「タンパク質と炭水化物、カルシウムも取れます、あとビタミンは野菜で取ってくださいね。」
「色々考えて作ってるのね。」
「はい、たま~~~~~~に何も考えず美味しいから作る事も有りますけれど。」
「フフッ、有難うチハル。」
皆は満足そうにカルボナーラうどんを啜る、その後、魔国に戻り皆が同じ物を食べたいと言われ、千春はもう一度厨房で作る事になった。
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