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ラーメンはスープから!

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「おじゃましまー。」
「やほー、エプロンしてるけど何か作ってたの?」
「やっほ~♪」
 美桜と麗奈、日葵は千春に迎え入れられ異世界に入る。

「うん、今豚骨煮てた。」
「お?ラーメン作るの?」
「そう、お母様が妊娠してさ。」
「「「へ?」」」
 3人はキョトンとした顔で声を出す。

「メグ様がご懐妊だよ。」
 頼子もエプロンを着け大きなオタマを持っている。

「うっそー!おめでたいじゃん!どうする!?お祝いした方がいいよね!?」
「ミオ落ち着きなー。」
「千春がそれ言うか?さっきまでオロオロしてたじゃん。」
 頼子は笑いながら皆にバラす。

「妊娠とラーメンの繋がりがわからないな。」
「妊娠はレモンじゃん?」
「味覚変わるって言うね。」
「検索したらさ、妊婦が食べたくなる物2位がラーメンだったんさ。」
「1位は?」
「フライドポテト。」
「あ、それ聞いた事有るわ。」
「へぇ、有名なん?」
「ネットで見たよー。」
「って言うか獣くせえ!」
「これ豚骨なの?」
「そ、ちょっとねー、失敗かなーって。」
 千春は苦笑いしながら頼子と厨房に戻る、美桜達は荷物を置くと厨房に入る。

「豚の骨なん?」
「いや、こっちがオークでこっちは猪なんだけどさ・・・臭いんだわ。」
 寸胴鍋には骨が浮き、野菜が溶けかけていた。

「へぇ~。」
 美桜が寸胴鍋をのぞき込み匂いを嗅ぐ。

「こっちオークっしょ。」
「うん。」
「こっちが猪かぁ、こっちの方がマシだね。」
「違い分かるの?」
「うん、オークはダメだねぇ、猪の方野菜何入れた?」
「玉ねぎ入れたよ、これに書いてたから。」
 千春はスマホを見せながら美桜に言うと美桜はフムフムとスマホを見る。

「んっとー、ちょっと待ってね。」
 美桜はスマホで電話を掛ける。

「あ、お父さん、前ジビエで猪の豚骨スープ作ったじゃん?何入れてた?」
 美桜はメモを取りながら父親と話しをする。

「うん、玉ねぎと生姜、鷹の爪?うん、多分わかる、ほんで?うん、ニンニクね、え?鶏ガラもいれんの?・・・うん、・・・え?トンカチ?多分ある、うん、了解ありがと、え?いや、ちょっと友達と手作り猪スープつくってんのさ、うん・・・さんきゅー!ちゅ!」
 美桜は電話を切ると、メモを千春に渡す。

「だそうです。」
「おぉ・・・材料揃え直そう。」
「これどうすんの?」
「・・・失敗だからポイする。」
 寸胴鍋の火を落とし、鍋ごとアイテムボックスに入れると、新しい寸胴鍋を並べる。

「ミオのお父さんジビエ料理するんだね。」
「じいじが猪狩るんだよね、そんでお父さんが料理すんの。」
「へぇ、凄いね。」
「いや、チハルの方がすげーって。」
 猪の骨をサフィーナが次々と取り出しテーブルに並べる。

「あ、もうお湯通してんだ。」
「うん、あとは煮るだけにしてるよ。」
「チハル、トンカチある?」
「無いねぇ。」
「ヨリ、トンカチ作って。」
「へ?トンカチ作るの?」
「うん、金属加工出来るっしょ?塊作って持つ所有れば良いから。」
「おっけー。」
 頼子は影からミスリルを取り出しトンカチの様な物を作る。

「ごめん歪だけど良い?」
「問題なーし!」
 美桜は受け取るとハンマーで骨を叩いて割る。

「チハル、こっちは私やっから、他の材料ヨロー。」
「サンキューミオ、それじゃサフィーお湯お願い。」
「はーい。」
 サフィーナはお湯を寸胴鍋に入れると、千春は鍋に野菜を入れて行く。

「チハル、鳥ガラある?」
「いや、鳥ガラは無いけど王宮の厨房に言ったら常備してるよ。」
「チハルさん!私取ってきます!」
「まってモリーちゃん、沢山いると思うからビェリー連れて行って。」
 美桜は皆に指示をして作業を進める。

「ミオが頼もしいんだが?」
 麗奈はポツリと呟く。

「最近さー、料理めっちゃ頑張ってるらしいよ。」
「エーデルさんに食べさせる為っしょ?」
 日葵が言うと千春も言う。

「そりゃチハルみたいに料理上手だったら良いけどさー、料理経験無いじゃん?」
「いや、そんだけ作れるなら凄くね?」
「覚えたんだって、家でも料理してっからね~♪」
 割った骨を寸胴鍋に入れながらニコニコと話す美桜。

「こんなもんかな?」
「さんきゅ~ミオ助かったわ。」
「ラーメンスープって豚骨だけ?」
「醤油は作ったよ。」
「へぇ、味噌は?」
「こっちの素材で作りたいんだけど、味噌ジブラロールに出回って無いんだよ。」
「味噌はあるんだ。」
「ハースには有るらしいよ。」
「チハル、魚介スープ作ろう。」
 麗奈が楽しそうに千春へ言う。

「魚介って煮干しとか?」
「そそ、魚介スープ美味しいし豚骨魚介スープとかあるじゃん、混ぜても良いんじゃね?」
「ほほぅ、ちょっと検索するわ。」
 スマホで作り方を見ると、千春は眉間に皺を寄せる。

「・・・難しいよコレ。」
「マジで?」
「乾物めっちゃいる。」
「鰯煮干し鯵煮干し昆布に鰹節かぁ・・・ハードルたっけぇなぁ。」
「フリエンツ王国にあんじゃね?」
「遠いな!」
 美桜はさらり言うが、麗奈は苦笑いしながら答える。

「リリ、フリエンツにフェアリーリング作ったよね?」
「えぇお城の裏に作らせてもらったわ♪」
「チハルちょっと行ってくるわ。」
 麗奈はそう言うとリリを連れフェアリーリングに向かう。

「ルプ!護衛に付いて行って!」
「おう、美味いラーメンの為だ幾らでも手伝うぞ。」
 楽しそうに答えるルプは一緒にフェアリーリングに入って行った。

「あとは鳥ガラ待ちだね。」
「麺はどうすんの?」
「今日はスープだけ、乾麺買って来たから一応作れるけど、パスタマッシーンは明日届くよ。」
「あ、麺も作んのね。」
「うん、出来ればダーサンに量産してもらう予定~♪」
「また資産増えるんじゃね?」
「増えそうだねぇ、何か使い道考えておいてよ。」
「無理、今あるお金すら使い切れない。」
 話をしているとモリアンとビェリーが帰って来る。

「貰って来ましたー!」
「スープも貰って来たばい?」
「ミオ、スープも入れる?」
「取り敢えず鶏ガラだけ頂戴、こっち作り上げよう。」
「ここ置くばーい。」
 ビェリーは鳥ガラを取り出す、既に下処理が終わり寸胴鍋に鶏ガラは詰め込まれていた。

「おぉ、もう処理終わってるじゃん、入れるだけだね。」
 美桜は鳥ガラを入れ蓋を閉める。

「はい、あとは灰汁を取りながら6時間くらい煮ま~す。」
「6時間!?」
「そだよ、めっちゃ時間かかるよ。」
「今から6時間・・・深夜じゃん。」
「夜食にラーメンだな。」
「ダメな奴だ!」
「ヤバいって、最近ヤバいんだって。」
「何が?」
「聞くな!」
「私もヤバいんだってぇ。」
 頼子と日葵はお腹をプニプニしながら崩れ落ちる。

「んじゃウチとチハル2人で食べるかぁ。」
「レナも食べるんじゃん?」
「まって!食べるよ!?」
「私は今日はあっちだけど夜来るわぁ!」
 そして麗奈が戻って来ると魚介スープも同じ様に煮込み夜は更けて行った。





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