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建国祭!

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「賑やかだねー。」
「他国の商人、冒険者、武闘家なんかも来るからな。」
 エンハルトは千春と建国祭の王都を歩きながら話す。

「あ!露店出てる!」
「ここら辺は他国の商人が出してるエリアだ、掘り出し物もあるかもな。」
「ハルト詳しいね。」
「まぁ毎年見てるからなぁ。」
 千春に微笑み露店を指差す。

「フリェンツからも来てるな。」
「クジラ・・・ティスケリーさん来てたから乗ってきた?」
「それは無いな、アレはマリーナ女王専用だ。」
「王族仕様なのか。」
 露店を物色しながらエンハルトとデートをする千春、すると話し声が耳に入る。

「南の森にあるデカい岩、アレは飛ぶらしいぞ。」
「あぁ、なんでも姫様所有の空島らしいな。」
 他国の商人は噂話でもちきりだ。

「おい!ドラゴンだ!本当にジブラロールで飼われているのか!?」
「背中に騎士が乗ってるぞ、竜騎士団だ。」
「確か王女殿下が連れてきたとか。」
「その王女もドラゴンに乗るらしいな。」
 旅人や冒険者風の者達は空を飛ぶドラゴン達を見上げながら言う。

「何笑ってんの?ハルト。」
「いや、王女の噂話ばかりだな。」
「姫様って言ってるからユラかもよ。」
「そんな訳あるか。」
 笑いながら否定するエンハルト、露店を見て回り闘技場まで足を運ぶと凄い人盛りだ。

「大盛況じゃん。」
「大陸中の腕自慢が集まるんだ。」
「へー、賞金とかあるの?」
「あるぞ、あと王国の軍に希望が有れば入れる、家も貰える。」
「国で取り込む感じ?」
「そう言う事だな、有望な人材は多い方が良い、優勝しなくても軍にスカウトもあるからな。」
 エンハルトは入場入り口とは違う所に向かい、兵士の前に行くと兵士は扉を開く。

「おぉ、VIP待遇!」
「そりゃぁ王族用の観戦場所くらいあるに決まってるだろ。」
「そりゃそうだ。」
 あはははと笑い2人は闘技場に入る、明るく照らされた廊下を歩くと美桜とエーデルが話をしていた。

「殿下、観戦ですか?」
「あぁ、どうだ?」
「結構良いですね。」
 エンハルトとエーデルは笑みを浮かべながら話す。

「何?」
 千春が言うと美桜が答える。

「スカウトする人材だよ、一緒に見てたけど凄かったよ。」
「ほほー、血まみれとか無いの?怖いんだけど。」
「模擬刀らしいよ。」
「良かったぁ。」
 エンハルトはエーデルに連れられ廊下を歩く。

「デートに闘技場ってどうなのさ。」
 千春は美桜に言うと笑いながら答える美桜。

「いっしよにいれたら良いのさ♪」
「さようですかー。」
「でも本当に凄いよ、過去一盛り上がってるらしいんだ。」
「へー、何でだろ。」
「エーデルさんの話だとドラゴンらしいよ、竜騎士の枠狙ってるらしい。」
「今ドラゴン埋まってんじゃん、余ってなくね?」
「ママドラさんがもう少し呼ぶような事言ってたらしいよ。」
「え~まだ呼ぶの?」
「うん、数頭卵産んだらしくて産休?してるらしい。」
「あ~・・・え?卵産んだの?」
 そう言うとエーデルを見る。

「はい、卵を3つ生みましたね。」
「温めてるの?」
「いえ、温める事はしないのですがその場から離れないのです。」
「守ってるわけね。」
「はい、番(つがい)で守る為動かせないドラゴンが増えました、しかしドラゴン1頭でも十分なので問題はありません。」
「でもママドラは呼ぶって?」
「はい、来たがっているドラゴンが他にも居るそうで。」
「そっかぁ、卵見てみたいな。」
「是非見てあげてください。」
 話をしながら観客席まで移動すると闘技場が一望出来る部屋に案内された。

「うひょーすごっ!」
「あ、試合やってるよ!」
 千春と美桜は身を乗り出し闘技場を見る。

「右の人尻尾あるね、獣人?」
「良く見えないけど尻尾は見えるね、角ある?」
「もう一人の方は冒険者っぽいね。」
「ほんとだ。」
「・・・ん?あの獣人さん・・・腕多くね?」
「ほんとだ、腕4本ある!」
 2人は戦いを見ながら話す。

「ほ~、どちらも動きが良いな。」
「実践で鍛えたのでしょう、正統派の動きではありませんが中々良いですね。」
「ハルト、あの人腕4本あるよ?」
「あるな、どこかでドラゴンの血が入っているのかもしれないな。」
「おおー!ドラゴンハーフ!」
「クオーターかもよ?」
 試合は進み4本腕の剣士が押し始める、そして冒険者風の男は剣を弾かれ腰を落とした。

「おー勝ったね4本腕さん。」
「強いねー。」
「ハルト、あの人の腕前って騎士団だとどれくらい?」
「そうだなぁ、まだ全力では無さそうだったから何とも言えんな、どうだ?エーデル。」
「はい、竜騎士団に移動したリベス辺りといい勝負でしょうか。」
「はーいはーい!ルクレツィアさんと比べたら?」
 美桜はエーデルに問いかける。

「10回勝負して10回ルクレツィアが勝つでしょうね。」
「マ?」
「はい。」
「すげぇなルクレツィアさん。」
「ね、流石王妃殿下のPTに居ただけあるねぇ。」
 千春と美桜は椅子に腰かけると執事がお茶を淹れる。

「有難うございます、あれ?今日サフィーちゃんは?」
「ん・・・貴族令嬢とお茶会。」
「おおー、貴族やってんねー。」
「チハルの代わりだ。」
「え?チハルの代わり?」
 エンハルトの呟きに反応する美桜は千春に問いかける

「うん、結構大きなお茶会らしいんだけど・・・。」
「チハルに取り入ろうとする貴族令嬢がワラワラと寄って来るからな、チハルには荷が重いだろ。」
「良いの?チハル行かなくて。」
「大丈夫だ、逆にチハルが行くと問題が多すぎる、最悪俺の妻がまた増える事になるからな。」
「あ、それはヤバいわ、チハル行かなくて正解だわ。」
「・・・否定できなくて悔しい!」
「俺の婚約者としてサフィーが代わりに出ているんだ問題無い。」
「サフィーちゃんを落とせる貴族令嬢とか居るわけ?」
 美桜はエンハルトを見る。

「居たら凄いな、逆に迎え入れて良いレベルだ。」
「そんなに!?」
「あぁ。」
「頑張れサフィー!」
 雲一つ無い空を見上げ千春はサフィーナを応援する、そして暫く試合を見た千春は美桜達と別れ、闘技場を後にする。

「凄かったぁ。」
「中々良い人材が確保出来そうだ。」
「やっぱりドラゴンの方?竜騎士団?」
「それは適性が有るからな、騎士団から竜騎士団に移動した者はドラゴンの飛行に耐えれる者ばかりだ。」
「え?そんな飛び方する?」
「させたんだよ、何処まで耐えれるか。」
「ひぇぇ・・・あ、モリーなら多分トップはれるわ。」
「モリーがか?」
「うん、ロイロの本気モードで飛んで楽しんで帰って来たもん。」
「・・・それは凄いな。」
「最初は悲鳴あげてたけどね~♪」
 ある程度見て回ると千春とエンハルトは竜騎士団の広場へやって来た。

「ドラゴンの卵はどこかな~♪」
「エンハルト殿下!チハル王女殿下!」
 エンハルトと千春に気付き走って来るのは竜騎士団のアイリスだ。

「こんちゃーアイリスちゃん、ドラゴンが卵産んだんだって?」
「はい!見に来られたんですか!?」
「うん、見ても大丈夫?」
「はい、竜騎士団や見知った人間でしたら触らせてくれますよ。」
「おぉー。」
 アイリスに連れられ広場に作られた簡易とは言えない程立派な厩舎に入る。

「おー!」
 千春の前にはドラゴンが寝そべっており、傍らにバスケットボール程の卵が藁の上に置かれている。

「やほードラゴンさん・・・あれ?アベリアじゃん。」
『チハル様いらっしゃいませ。』
「アベリアが卵産んだの?」
 アイリスが騎乗する白のスカーフを巻いたドラゴン、アイリスは嬉しそうに話す。

『はい、初めての卵です。』
「よかったねぇ、触っても良い?」
『はいどうぞ。』
 千春は卵を撫でる。

「ちゃんと生まれるんだぞ~♪」
『有難うございます。』
「あ、そだ、アイトネー。」
((なにー?))
「卵に祝福とかかけれない?」
((無事に生まれるわよ?ドラゴンの卵は生命力が強いもの。))
「そっか、女神様のお墨付きなら問題無いか。」
((聖女の祝福かけておいたら?))
「なにそれ初めて聞いたんだけど。」
((保護みたいな物よ、回復魔法の応用で何か有れば発動する固定魔法ね。))
「へぇ、どうやってかけるの?」
((ちょっとまってね、呪文は何が言い?))
「ん~、祝福だけで良くない?」
((それじゃその言葉をトリガーに発動するようにしてあげるわね。))
 アイトネの言葉の後に千春はふわりとした感覚を感じる。

「できた?」
((できたわ~♪))
「ありがと、後でお礼準備しておくね♪」
 千春はそう言うと卵をそっと両手で覆う。

「祝福。」
 ぽわっと手が温かくなる、そして卵がうっすら光る。

『・・・それは。』
「聖女の祝福だよ、アイトネから今教えてもらったの、無事に生まれるよ。」
『有難うございます!』
「・・・チハル、それ外で使うなよ。」
「・・・やっぱり?」
「当たり前だ。」
 呆れた顔でぼやくエンハルト、千春はケラケラ笑いながら他の卵にも祝福を掛け満足げに部屋に帰った。



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