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お茶会でダンス?!

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「王女殿下、御準備が整いました。」
 執事は頭を下げ千春を呼びに来る。

「はーい、いこっか。」
「行きますわよ、ダイアさん♪」
「ブフッ、やめてよソラ!」
 3人は立ち上がり廊下を歩く、程なくざわめきが聞こえ、広い庭に出る、日差しは柔らかく涼しい風が頬を撫でる。

「どうぞこちらへ。」
 少し高い壇上へ案内されオーレン卿が笑みを浮かべながら壇上へ促す。

「お集まり頂き有難う御座います、本日はチハル王女殿下並びにご友人であるソラ・エルドール嬢、ダイア・エルドール嬢もお招きしております今日は楽しんでいただきたい。」
 千春達はペコリと頭を下げると拍手が鳴り響く。

「ではフランシスが案内しますので、王女殿下お楽しみ下さい。」
 セベラム・オーレンはそう言うと一緒に壇上から降りる。

「チハル様、頂いたケーキはもしかして・・・アレですか?」
 フランシスは小さな声で心配そうに問いかける。

「ちがうよー、お母様にアレは出したらダメって言われちゃったから、あと様は要らないよー。」
「いえ、公の場なので。」
 苦笑いするフランシス、青空達もそりゃそうだと笑っていた。

「チハル王女殿下。」
「はいぃ?!」
 声を掛けられキョドる千春。

「失礼しました、ステル・リヴィルと申します、以後お見知り置きを。」
 青年ステルは丁寧な礼をする、秀麗な青年だ。

「リヴィル・・・んーーーっと。」
「ハースに行く時にアリンさんと会った街ですよ。」
「あーーー!蜂蜜が美味しい所!」
 サフィーナに言われ思い出す千春。

「お会い出来恐悦至極で御座います。」
 ニッコリ微笑むステル、青空と大愛は目を細める。

「どうしたん?」
「笑顔が眩しい・・・。」
「私には眩しすぎる・・・。」
「あははは、連れが失礼しました。」
「いえいえ、もし宜しければソラ様お話されませんか?」
「ふぇ!?わたし?!」
 右手を差し出すステル、思わず手を置くソラはそのまま離れる、そしてダイアも同じ様に貴族の青年に声を掛けられ離れていった。

「・・・モテモテやん。」
「それはそうですよ、エルドール子爵家の令嬢、王女殿下で聖女の友人で紹介されたんです、声を掛けない方がおかしいです。」
「私は?」
「・・・次期国王のフィアンセを狙うバカがいると思いますか?」
「バカって・・・、それじゃ何で私ここにいるの?」
「いくつか心当たりは有りますけど。」
「何それー。」
「大人の事情もあるのよ?」
「あの・・・チハル様はわたくしがお願いしましたの。」
 申し訳なさそうにフランシスが話す。

「フランちゃんは言ってくれれば王宮でお茶するのに。」
「はい、今回は王妃殿下からソラ様、ダイア様の件でお父様にお声が掛かりましたので、嬉しくてついお願いしてしまいました。」
「そっかぁ、それじゃ私達はルノアーさんのケーキでも食べながらお話ししましょ。」
 千春とフランシスはテーブルへ行くと、オーレン家のメイドがお菓子を運ぶ。

「わー、美味しそう。」
「こちらは今王宮で人気のお菓子です、王宮のお菓子職人が作っている物ですよ。」
「へぇ、シャリーちゃんが作ってるのかな?」
「確かそんな名前の方でしたわ。」
 お菓子を食べながら最近千春が行った国や出来事を話しつつ、王国で流行りの遊びやお菓子を堪能しながら時間を潰す。

「ただいまぁ、あ!お菓子いいなぁ。」
「食べなかったの?」
「それどころじゃ無かったよ、ヤバいよチハル、モテ期到来だってば。」
 青空はニヤニヤしながら言うとお菓子をつまむ。

「良い人居た?」
「居たね、でもダントツでステル様だわ。」
「イケメンだし優しそうだもんねー、サフィーどうなの?」
「はい、文句なく優良です、嫡子では有りますが今は王国の管理部署で勤務していますね。」
「へぇ~。」
 サフィーナの説明を聞いていると大愛も戻ってきた。

「チハル!モテ期来た!」
「お前もかーい、で?ダイアの目に留まる良い人はいたのかぇ?」
「うん、って言うか皆んな良い人すぎてヤバい!」
「語彙力消滅してんじゃん。」
「んっとね、2人目の人が凄い好みだったなぁ。」
「名前は?」
「えぇー・・・トラ・・・トラデ?」
「トラディ・ショナル様です、伯爵家次男25歳、現在は王国軍部の方に勤めております、ショナル伯爵王都邸を任せられておりますね。」
 大愛が思い出していると、ツラツラと説明を始めるサリナ。

「サリナ・・・詳し過ぎる、もしかして覚えてるの?」
「はい、優良有力な貴族公子は概ね。」
「・・・サリナ独身だよね?」
「はい。」
「狙ってた?」
「いえ、私は許婚がおりますので。」
「あ、そうなんだ。」
「トラディ様やステル様は侍女の中でも人気が有りますからね。」
 サフィーナはサリナの説明に頷きながら答える。

「2人ともよかったにぇ~。」
「チハルに言われたくないなぁ。」
「ほんそれ、超絶イケメンで次期国王の第一王子ゲットしてんだもんねぇ。」
「そうそう、ステル様見た時も全然表情変えなかったよね。」
「まぁ毎日あのイケメン王子みてたらなんとも思わないよね~。」
 青空と大愛はにやけながら千春に言うと、千春は耳を赤くしたままプイっと目を逸らす、挨拶をした壇上では音楽が流れていたが、ゆっくりした音楽に変わり男女が中央に集まると軽いステップで踊り出す。

「あ、ダンスしてる。」
「ほんとだ、一応教えてもらったけど・・・。」
「お茶会でダンスするんだね~。」
 千春が言うと青空と大愛もダンスを見る、するとアルベルが声を掛ける。

「ソラ様、ダイア様、踊りたい方はいらっしゃいますか?」
「えっと・・・ステル様かなぁやっぱり、でも踊れるか分からないし。」
「私も踊るならトラディ様かな?ダンスは多分大丈夫なんだけど。」
「そうですか、それではルールをお教えしますね。」
「ルール?」
 アルベルはテーブルにある花を一輪手に取ると説明を始める。

「王国や近辺諸国でのルールです、遠い国ではルールは変わります、女性が花を一輪持つのはダンス相手を待っている目印です、そして男性は花を持つ女性を必ず見ています。」
「へぇ、それで?」
「花を持つ女性は踊りたい男性だけを見てください、目が合えば必ず男性はエスコートします。」
「興味なくても?」
「興味が無ければ目を合わせません、ソラ様ステル様が見えますか?」
 青空は目だけでステルを追うと、ステルはチラチラとこちらを見ている。

「見てる!」
「はい、ダイア様、トラディ様が見えますか?」
「え?何処だろう・・・。」
「ダイアさん右後方です。」
 サフィーナがトラディの場所を教えると、大愛はそっと体を動かし目線を動かすとトラディも大愛を気にするように見ていた。

「見てまふ!!」
「はい、そう言う事です、お二方が花瓶の花を一輪持ち目を合わせれば、後は男性がすべてエスコートします、しかし、ダンスが終わったら必ずここへ戻って来て下さいね、あの2人はしないと思いますが、2人になろうとする男性は多いですから。」
「はい!」
「了解です!」
「では。」
 説明が終わりアルベルはにっこり微笑むと一歩下がる、そして青空と大愛の2人は頷き花を一輪持つ、そして目を向けると。

「ソラ様、踊っていただけますか?」
「はい!」
 アルベルの言う通り、ステルはソラの横まで来ると声を掛ける、2人は中央に向かいダンス踊り始めた。

「ダイア様、もしよろしければ一曲如何でしょうか。」
「はい!お願いします。」
 にっこり微笑みながら話しかけるトラディ、そして大愛はトラディの手を取り立ち上がると歩いて行った。

「・・・私は?」
「私と踊ります?」
「サフィー侍女姿じゃん、せめてドレス!」
「あら、ドレス着て来れば良かったわ。」
「城に戻ったらおどったげるよ。」
 クスクスと2人は笑いながら、楽しそうに踊る青空と大愛を見学した。



 
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