上 下
319 / 680

それぞれの休日!

しおりを挟む
「チハル何か持って行ってるの?」
 青空は馬車に揺られながら千春に問いかける。

「ルノアーさん特製ケーキとシャリーちゃんが作ったクッキーとか色々だね。」
「世界樹のお菓子は?」
「お母様に禁止されちゃった、自分達で消費しなさいって。」
「効果ヤバいもんねー。」
「でもジャムと実はあるよ。」
「出したら怒られるやつー。」
 ゲラゲラと笑いながら話す千春達、馬車は貴族街を通り程なくオーレン公爵邸に到着する、門を通ると広い庭が有り、馬車は奥まで通される。

「すっごー、めっちゃデカっ!」
 窓から見える屋敷や庭を見ながら大愛が呟く、馬車が止まり扉が開けられ、執事が頭を下げる、サフィーナ、サリナ、マルグリットの付き人アルベルが馬車を降りる。

「行くよーん。」
「よっしゃ!」
「頑張るぞ!」
 千春、青空、大愛は馬車を降りると執事に案内され屋敷向かう、大きな扉の前で屋敷の主人、オーレン卿とフランシスが立っていた。

「ようこそおいで下さいました、セベラム・オーレンと申します、お見知り置きを。」
「チハル様お久しぶりで御座います。」
「本日はご招待頂きありがとう御座います。」
 3人は挨拶を交わすとオーレン卿は青空と大愛に声をかける。

「エルドール子爵令嬢のソラ嬢、ダイア嬢ですな、本日は楽しんでいただきたい。」
「はい、ありがとう御座います。」
「よろしくお願いします。」
 挨拶が終わり応接間に案内され寛ぐ千春達。

「ふひゃぁ、ドレスって窮屈だね。」
「コルセットされる時みが出るかと思ったわ、チハルは平然としてるよね、キツく無いの?」
「きついわ!ローブが良かったぁ・・・。」
「お茶会でローブな訳有りませんよ。」
 千春の愚痴にサフィーナはクスクスと笑いながら答える。

「サフィーも令嬢で出れば良かったのに。」
 千春が言うと、サフィーナはプィっと目を逸らす。

「私はチハルの侍女兼護衛です。」
「公爵家のお茶会に護衛いらないでしょー!」
「いいえ、必要です。」
 2人のやり取りをソラとダイアは微笑みながら見ている、そして貴族が会場に集まり出す、千春は皆が集まり終わるまで待機する様に言われのんびり待った。


-----------------


「おぉー、流石白銀級冒険者だー。」
「でも本職のエーデルさんとホーキンさんには勝てないかぁ。」
 美桜と麗奈は訓練所の端に座り、ルクレツィアとエーデルの模擬戦を見学していた。

「そこまで!」
 審判をしていたホーキンが声を上げる。

「流石白銀級と言うべきですか。」
「有難うございます、流石ですね。」
 ルクレツィアは短刀の二刀を鞘に戻しながら言う。

「まだ体が本調子ではないようだな、本来であれば機動力ももっとあるだろう。」
「そうね、それは仕方ないわ、動くようになったんですもの、今から勘を取り戻すわ。」
 2人は汗を拭いながら話す。

「ルクレツィアさんカッコイイねぇ、昨日王妃様に引きずられて連れていかれた同じ人とは思えないわ。」
「ほんとだね、ルプさんにベタベタだったからねぇ。」
 美桜と麗奈が言うと、ルクレツィアが2人を見る。

「聞こえてるわよぉぉぉぉ。」
「うぉあ!冗談!冗談ですよ!?」
「へぇ~そんな風には聞こえなかったわよぉ?」
 ルクレツィアは笑みを浮かべながら2人に近寄る。

「本当の事だろう?しかし流石は獣人だな、治ったばかりの足で良く動けるもんだ。」
 ルプが壁から飛び降りて来ると、美桜達の横に立つ。

「ルプさまぁ!」
「ルプさん!助かったぁ。」
 満面の笑みで名前を呼ぶルクレツィア、美桜達はほっとした顔でルプを見る。

「ルクレツィアさん、こちらをお持ちください。」
 ホーキンが紙を渡すとルクレツィアは受け取る、エーデルは笑みを浮かべながら言う。

「今現状で第二騎士団長クラスだ、体の調子が全快すればどの部隊でも問題無い。」
「ありがとう、何をさせられるかまだ分からないのよねぇ。」
「王妃殿下の事だ、無茶な配属は無いだろう。」
 エーデルがそう言うと、肩をすくめるルクレツィア、そしてルプに抱き着く。

「ルプさま、メグの所まで一緒にお願いします!」
「何で俺が一緒に行くんだよ。」
「いいじゃないですかぁ。」
「ダメだ、ユラが今から千春の部屋に来るからな。」
「それじゃ!ユラちゃんを迎えに行きましょう!」
「・・・ん~、まぁ良いか。」
 ルプはそう言うとマルグリットの所に向かった。

「お待たせしましたミオさん。」
「いえ~♪見てて楽しかったですから♪」
「レナさん、今日はどちらへ?」
「街にいきましょー!ホーキンさん♪」
「それでは着替えて参ります、ミオさん少しだけお待ち頂けますか?」
「はーい!」
 エーデルとホーキンはそう言うと4人で訓練所を離れた。


-------------


「ヨリさん・・・遊びに行かれても良いんですよ?」
「ん~大丈夫~。」
 魔導士団長の執務室で仕事をするアリンハンド、そしてソファーでのんびりスマホを弄りながら答える頼子。

「ヨリ~次の本~。」
「ほいよ~。」
 影から漫画本を取り出し、子供の姿になっているビェリーに渡す。

「・・・よっしゃ!スコア更新!」
「ヨリさん・・・遊びに行かないんですかぁ?」
「ん~アリンさんが仕事終わったらね~。」
「まだ掛かりますよ?」
「うん、いいよ~。」
「・・・。」
 アリンハンドは魔導士団の報告書、発注依頼の確認、そして許可の判をポンポンと押しながら苦笑いをする。

「急いで終わらせますので!」
「間違ったら困るでしょ~、いつも通りで大丈夫だよ~♪」
「アリン、いつもの事やん、しっかり仕事やり~。」
 スマホを弄る頼子、漫画を読みながら言うビェリー、そして書類に目を戻し、仕事をするアリンハンド、そして、その姿を見ているモリアンは大あくびをしながらぼーっとしていた。


-----------


「こんにちわー!」
「あ!ルペタちゃんいらっしゃーい。」
 庭から妖精のシュシュが飛んでくる、その後に続きルペタとハチェット、そして執事と侍女が一人ずつ部屋に入ってくる。

「失礼致します。」
「こんにちわ、ハチェット様。」
「今日はヒマリさんお一人ですか?」
 ヒマリ以外にはうさ耳侍女のラルカが部屋に居るだけだ。

「はい、今日は皆お出かけ中です。」
「そうですか。」
「どうぞ、もうすぐユラちゃんも来ると思いますから。」
 ヒマリはソファーに2人を促すと、ラルカがお茶を入れる。

「シュシュ、ポポとレンちゃんよべる?」
「レンの所に行って呼んでくるわね♪」
 ルペタが言うと、シュシュはフェアリーリングに飛び込み姿を消した、そのタイミングで扉のノックが鳴る。

「はーい!」
 日葵が返事をするとラルカが扉を開ける、ユラが侍女のサビアに手を引かれ、ルプも後ろから入って来る。

「ルペタちゃん!」
「ユラちゃん!」
 2人はテコテコと小走りで近寄ると手を繋ぎニッコリと笑みを浮かべる。

「あれ?シュシュは?」
 妖精のルルがフヨフヨと飛び回り部屋を見渡す。

「いまレンちゃんとポポよびにいったよ。」
「そうなのね~♪」
 ルペタが言うとユラの頭にちょこんと座るルル。

「ルペタちゃん今日はなにしてあそぶー?」
「きょうねー!おうちでおかしいっぱい作ってるの!おうちにいかない?」
 ルペタが言うと、ハチェットが話を付け加える。

「チハル様のレシピでお菓子の試作をしているのです、もし良ければブルーワグ国に遊びに来られませんか?」
「え?良いのかな?」
 日葵はラルカを見ると、ラルカは「少々お待ちください~」と言い魔道具を手に取り通信する。

「・・・はい大丈夫です~。」
 ラルカが答えるとオクナとフアナが部屋に現れる。

「す・・・すごいね、ジブラロールの侍女は。」
 急に現れた2人に驚くハチェット、見慣れている日葵はその姿を見てクスクスと笑う。

「連れてきましたわ~♪」
「レンちゃんいらっしゃい!」
「ユラちゃん!ルペタちゃん!久しぶり!」
「いまからブルーワグ国にいくよ!」
「え!?今から!?」
「うん!おかしがいっぱいあるんだって!」
「え!ほんと!」
 3人は手を繋ぎ嬉しそうに話す。

「ユラ、レン、ルペタ、俺の背に乗れ。」
「はーい!」
 3人はルプの背に乗りニッコニコだ。

「それでは行きましょうか、ヒマリさん。」
 ソファーから立ち上がるハチェットは手を出し、日葵をエスコートする。

「あ・・・はい。」
 手をとり立ち上がると、皆はフェアリーリングに入る。

「それじゃぁ行きは私が飛ばすわよ~!」
 ルルはそう言うと魔力を通し、皆はブルーワグに遊びに行った、暫くしてマルグリットに捕まっていたルクレツィアが王宮を走り回る事になる。

「ルプさまぁ!何処ですかぁぁ!?」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。 「離婚してください」 丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。 丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。 丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。 広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。 出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。 平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。 信じていた家族の形が崩れていく。 倒されたのは誰のせい? 倒れた達磨は再び起き上がる。 丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。 丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。 丸田 京香…66歳。半年前に退職した。 丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。 丸田 鈴奈…33歳。 丸田 勇太…3歳。 丸田 文…82歳。専業主婦。 麗奈…広一が定期的に会っている女。 ※7月13日初回完結 ※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。 ※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。 ※7月22日第2章完結。 ※カクヨムにも投稿しています。

魔法の盟約~深愛なるつがいに愛されて~

南方まいこ
BL
西の大陸は魔法使いだけが住むことを許された魔法大陸であり、王国ベルヴィルを中心とした五属性によって成り立っていた。 風魔法の使い手であるイリラノス家では、男でも子が宿せる受巣(じゅそう)持ちが稀に生まれることがあり、その場合、王家との長きに渡る盟約で国王陛下の側妻として王宮入りが義務付けられていた。 ただ、子が生める体とはいえ、滅多に受胎すことはなく、歴代の祖先の中でも片手で数える程度しか記録が無かった。 しかも、受巣持ちは体内に魔力が封印されており、子を生まない限り魔法を唱えても発動せず、当人にしてみれば厄介な物だった。 数百年ぶりに生まれた受巣持ちのリュシアは、陛下への贈り物として大切に育てられ、ようやく側妻として宮入りをする時がやって来たが、宮入前に王妃の専属侍女に『懐妊』、つまり妊娠することだけは避けて欲しいと念を押されてしまう。 元々、滅多なことがない限り妊娠は難しいと聞かされているだけに、リュシアも大丈夫だと安心していた。けれど――。

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

【R18】幼馴染の魔王と勇者が、当然のようにいちゃいちゃして幸せになる話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

処理中です...