上 下
290 / 680

教国ティータイム!

しおりを挟む
「アミア司祭とカルバ司祭が?」
「はい、玉砕したと。」
「聖女はそこまで手強いとは、小娘と侮ったか。」
「いえ、側に女神様ともう一柱の神が居たとか。」
「なんだと!?女神はまだわかる!しかしもう一柱とはどう言う事だ!?」
「わかりません、アミア司祭はそれ以上仰りませんでした。」
「・・・私は手を引く、側に二柱顕現させる事が出来る聖女に何が出来ると言うんだ。」
「そうだな、私も手を引く、どう考えても自殺行為だ、メルザード枢機卿の二の舞は遠慮したい。」
 男達はそう言うと、暫く沈黙が続き、解散して行った。


-----------------


「モート様って神様なんですよね?」
 日葵はモートに問いかける。

「人間からすれば神と言われる者達と立場は同じだが、神かと言われれば否だな。」
 微笑みながら答えるモート。

「死神って神様じゃ無いの?」
 千春は、あれ?と首を傾げながら呟く。

『この世界ではモートは信仰対象じゃ無いもの・・・あれ?モート信仰されてるわよ?』
「・・・あー、名乗ったのは失敗だったか。」
 失敗と言いながらも微笑むモート。

「誰に信仰されてるの?」
『元帝国が有った周りの国々ね、モートあそこ管理しなさいな。』
「柄じゃ無いだろう、この世界ならアイトネ1人で問題ないしな。」
『日本の管理者と交流して思ったんだけど、複数の管理者は有りだと思うわ。』
「それは知っている、しかしデメリットも有る、」
 モートはお茶を啜りながら答える。

「デメリット?」
 千春は気になりモートに聞く。

「あぁ、千春の世界でも沢山の血が流れた事はあるだろう、信仰する神が居るか居ないかは別としてな。」
「・・・宗教戦争?!」
「そうだ、人間は自分の信仰する神が絶対だと思わせ、正義の名の下に戦争をする、そして多くの血が流れる。」
『管理者としては面白く無いわ、でも必然でもあるの。』
「戦争が必然なの?!」
 アイトネから驚く答えが出て驚く千春。

『チハルは戦争で1万人戦死者が出るのと、戦争しない事で民が疫病や飢饉で5万人死ぬと言われたらどう思う?』
「・・・えぇぇぇ。」
『ごめんなさい、少し意地悪だったかしら、でもそう言う宗教戦争もあると言う事よ、それを聖戦と呼び、多くの血が流れる、でも結果的に多くの民が救われる事も事実なの、勿論そう言う事関係なく侵略戦争をする者達もいるけれど。』
 悲しそうにアイトネは言う。

「神様・・・管理者は何もしないの?」
『しないわ、世界の均衡には関わらない事ですもの、他の世界では関わる神もいるけど。』
「たしかに信仰を得る為に駒のように人間を扱う者もいるな。」
「ルール的にそれはどうなの?」
「グレーね、その世界のルールとしての部分だもの。」
 一息吐き、アイトネもお茶を飲む。

「それで?話し戻りますけど、モートさん神様するの?」
「今後の成り行き次第って所かな?」
『そうね、まぁ私としては一柱として迎え入れても問題ないわ、元から信仰神の勢力争いなんて無縁な世界だもの。』
「元帝国かぁ・・・。」
「千春がトイレに行ったら滅びた国だよね。」
 ふと思い出し口にする頼子。

「ヨーリー!あえて言わなかったのにっ!」
「あははは!で、帝国無くなって周りの国が強くなった感じ?」
「話じゃ連合国みたいな感じになったらしいよ。」
「へぇ、良い方に向かえば良いねぇ。」
「チハル一度行ってみるかい?」
 不意にモートが千春へ問いかける。

「私が?!何で?!」
「チハルも信仰されている1人だからだよ。」
「えぇぇ、何で私が信仰されるのぉ?!」
「結果的にチハルのおかげで皇帝が没したからだな、人の口に扉は付けれないって奴だ。」
「・・・その心は?」
「チハルが元帝国近隣の国に料理を広めると、もれなく俺に美味しい供物が捧げられる。」
「んぁぁぁ!やっぱりかぁぁぁ!でもモートさんにもスッゴイお世話になってるもんなぁ。」
 腕を組みながら千春は考え込む。

「千春、また新しい食材とかあるかもよ?」
 こそっと耳打ちする頼子。

「んーーー!行くか!」
「いつ行く?」
「まだ教国で教えて無い物もあるし、行くなら明日以降だね。」
「移動は?」
 美桜が言うと、千春はアイトネを見る。

『大丈夫よ、また新しいお菓子や料理食べれそうですもの♪』
「チハル、行くのでしたら一度王国に戻って下さいね。」
「え?何で?」
「マルグリット王妃殿下へ行く事を伝えなければいけません。」
「そうなの?」
「はい、元皇妃ルイーズ様はマルグリット王妃殿下の知己ですから。」
「へぇ、それってやっぱりお国的な事で必要な感じ?」
「はい、黙って行けば確実に揉め事になるかと。」
「うひぇー、アイトネ、モートさんそう言う事なんだけど、良い?」
 アイトネとモートは、良いわよ~、構わない、と返事をする。

「それじゃぁ、作る予定の無い物もレシピ作っておきますかぁ。」
「手伝うよ、レシピはググれば良い?」
「うん、ケーキは確実に作れるから、メレンゲで作るパターンでお願い、あとは生クリームホイップでしょー、アイトネ何か食べた事ある物で欲しいお菓子ある?」
『ポテチとアイスクリーム!』
「おっけー、ポテチは良いとして、アイスクリームはバニラ見つけたし、今日の夜作ろう。」
「それじゃウチはパフェのレシピ作るねー。」
「私はこっちのフルーツでジャム作るわ。」
 美桜と麗奈も参戦し、それぞれ侍女が書き留めていく。

「私は何しよっか。」
 日葵は皆を見ながら言う。

「ヒマリはホットケーキお願い。」
「おっけー!お願いされた!」
 千春に言われ、日葵は嬉しそうに答え、レシピを探し一緒に書き留めて行った。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生皇太子は、虐待され生命力を奪われた聖女を救い溺愛する。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。 「離婚してください」 丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。 丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。 丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。 広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。 出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。 平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。 信じていた家族の形が崩れていく。 倒されたのは誰のせい? 倒れた達磨は再び起き上がる。 丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。 丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。 丸田 京香…66歳。半年前に退職した。 丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。 丸田 鈴奈…33歳。 丸田 勇太…3歳。 丸田 文…82歳。専業主婦。 麗奈…広一が定期的に会っている女。 ※7月13日初回完結 ※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。 ※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。 ※7月22日第2章完結。 ※カクヨムにも投稿しています。

魔法の盟約~深愛なるつがいに愛されて~

南方まいこ
BL
西の大陸は魔法使いだけが住むことを許された魔法大陸であり、王国ベルヴィルを中心とした五属性によって成り立っていた。 風魔法の使い手であるイリラノス家では、男でも子が宿せる受巣(じゅそう)持ちが稀に生まれることがあり、その場合、王家との長きに渡る盟約で国王陛下の側妻として王宮入りが義務付けられていた。 ただ、子が生める体とはいえ、滅多に受胎すことはなく、歴代の祖先の中でも片手で数える程度しか記録が無かった。 しかも、受巣持ちは体内に魔力が封印されており、子を生まない限り魔法を唱えても発動せず、当人にしてみれば厄介な物だった。 数百年ぶりに生まれた受巣持ちのリュシアは、陛下への贈り物として大切に育てられ、ようやく側妻として宮入りをする時がやって来たが、宮入前に王妃の専属侍女に『懐妊』、つまり妊娠することだけは避けて欲しいと念を押されてしまう。 元々、滅多なことがない限り妊娠は難しいと聞かされているだけに、リュシアも大丈夫だと安心していた。けれど――。

悪役令嬢の選んだ末路〜嫌われ妻は愛する夫に復讐を果たします〜

ノルジャン
恋愛
モアーナは夫のオセローに嫌われていた。夫には白い結婚を続け、お互いに愛人をつくろうと言われたのだった。それでも彼女はオセローを愛していた。だが自尊心の強いモアーナはやはり結婚生活に耐えられず、愛してくれない夫に復讐を果たす。その復讐とは……? ※残酷な描写あり ⭐︎6話からマリー、9話目からオセロー視点で完結。 ムーンライトノベルズ からの転載です。

【R18】幼馴染の魔王と勇者が、当然のようにいちゃいちゃして幸せになる話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

処理中です...