287 / 732
教国の思惑!
しおりを挟む
「チハルおねえちゃんこれなぁに?」
ユラは露店の品を指差しながら問いかけて来る。
「なんだろうねぇ、鑑定・・・へぇ瓜かぁ、カボチャの親戚っぽいね。」
「おいしい?」
「どうだろう、試しに買ってみよう。」
千春は並べられた瓜を数個買うと、次の露店を見て回る。
「レナ!果物ですわぁ~♪」
「うわぁカラフルだね。」
色とりどりの果物が並べられた露店にしゃがみ込み麗奈は呟く。
「お嬢さん食べられますか?」
店番をしているのか、年配の女性が野球ボールのような果物を1つ取ると麗奈に声を掛ける。
「味見出来るんですか?」
「はい、少々お待ちくださいね。」
ナイフを取り出し、慣れた手つきで果物を割ると、オレンジ色の果実が出て来る。
「はいどうぞ。」
「ありがとうございます。」
果物を受け取ると、麗奈は一緒に受け取ったスプーンですくい一口食べる。
「ん~~~~~~美味しい!リリも食べる?」
「たべますわぁ♪」
リリは姿を現し、麗奈のすくったスプーンに口を付ける。
「ん~♪甘いですわ~♪」
「お姉さんこれ下さい!」
女性は急に現れた妖精を見て、驚いたまま固まっていた。
「は?あ、はい、どれくらい買われますか?」
「この籠に入っているの全部ください!」
「はい!ありがとうございます!」
籠には2~30個ほど山盛りになっていた、それを指差す麗奈、受け取るとポイポイっとカバンに入れて行く、アイテムボックスになっているカバンに消える果物を女性はポカンとした顔で見ていた。
「チハル、酒が売っとるぞ。」
「お酒?どこ?」
ロイロに言われた方を見ると、立ち飲み居酒屋の様な店がある。
「立ち飲み?」
「どうじゃろうか・・・一杯いいか?」
「え゛ー!」
「儂が一杯くらいで酔わない事くらい知っとるじゃろ。」
「知ってるけどさー。」
「ルプ、行くじゃろ?」
「そりゃ行くだろ。」
「わっちもいくばい!」
「僕も!」
ペット達はロイロの後ろをゾロゾロと付いて行き飲み屋に入って行った。
「まったく。」
「チハルはロイロ達に優しいから。」
クスクスと笑いながら言うサフィーナ。
「色々やってくれるからね、我儘言うのもお酒の時だけだし、護衛さんも居るんでしょ?」
「えぇ、ただ紹介されてませんから、どの視線が護衛か分かりません、そもそもこのメンバーが目立ちすぎるんですよ。」
サフィーナは苦笑いしながら見まわす、そして歩いていると、建物の間に薄汚れた服を着た少年を見つける。
「スリなども多そうですね。」
「治安悪い?」
「いえ、良い方ですよ、フリエンツ王国の方が凄かったでしょう?」
「あー、あそこは海賊居たもんねー。」
千春もサフィーナの視線を追い、建物の隙間を見る。
「孤児なのかな。」
「孤児と言うよりもスラムの者でしょう、独特のコミュニティを持っていますから変に手は出さないでくださいね。」
「はーい、サフィーママー。」
千春は後ろ髪が引かれる気持ちを何とか切り離し、歩き出す。
「んー、一度目に入ると・・・やっぱり目に付くなぁ。」
所々に居る身なりが怪しい者を見ながら言う。
「チハルの世界ではこういった者は見ませんでしたね。」
「そうだね、ある程度救済措置もあるから、でもゼロではないし他の国には沢山居るよ。」
「気にしてもしょうがないですよ。」
「うん、分かってるけどね。」
「ユラちゃん、このフルーツ美味しいよ、ほらレンちゃんもおいでー。」
美桜は別の露店で試食しているフルーツを見せながら呼ぶ。
「こっちって試食とか有るの?」
「普通はしませんね、チハル達が良い所の者と分かっているからサービスしているんですよ。」
「あー、やっぱりそうなんだ、申し訳ないね。」
「その分買うでしょ?」
「もちろん!沢山買うよぉ!」
千春はそう言うと、皆が集まる場所に行く、そしてそのまま露店巡りを続けた。
----------------------
「どうだ?聖女と接触出来そうか?」
「教会からの護衛も見張っています、無理です。」
「そうか、やはり抜け駆けは無理か。」
何かしら企む男達は、報告した者から聞き、また考え出す。
「聖女を呼ぶか?」
「聖女をか?そうなるとあいつらも気付くだろ。」
「しかし、聖女と接触出来る機会を作るにはそれしかないだろう。」
「それに俺達は教会関係者だ、お伺いを立てるだけなら問題は無いだろう。」
「よし、手紙を送るぞ?」
「そうだな、聖女が来ればチャンスも有るはずだ。」
そう言うと男達はニヤリと笑い、手紙を書き綴った。
---------------------
「聖女様は?」
「はい、先程商業ギルドを出た後は露店巡りをしながら食材等を買われております。」
「何を買ったかは確認しているか?」
「書き留めております。」
「ふむ、今後、教国に教皇を戻す為にも女神様への供物の確立は絶対にしなければならない!」
カーディー枢機卿は拳を握りしめながら力説する。
「料理の得意な信者と助祭を連れてきました!」
部下の1人がそう言うと、女性を2人連れて来る。
「よし!あとはレシピを教えて頂き、女神様への料理を作るだけだ、頼むぞ2人とも!」
2人は頭を下げる。
「これで・・・これであわよくば私が次の教皇に!」
「そうなれば次の枢機卿は私に推薦して・・・・。」
「わかっている、もちろんだ、女神様の恩恵を受けたとは言え、成り上がりのデクスターが教皇というのが納得いかん、裏であ奴らも動いておるのは分かっている、しかし何も出来ないだろうからな!」
カーディーは勝ち誇ったように笑顔になる、そして部下達に言う。
「もうすぐ聖女様がお帰りになる!しっかりやるんだぞ!」
「「「「はいっ!」」」」
返事をすると、それぞれ持ち場に移動していく、それぞれの思惑を胸に抱きながら。
ユラは露店の品を指差しながら問いかけて来る。
「なんだろうねぇ、鑑定・・・へぇ瓜かぁ、カボチャの親戚っぽいね。」
「おいしい?」
「どうだろう、試しに買ってみよう。」
千春は並べられた瓜を数個買うと、次の露店を見て回る。
「レナ!果物ですわぁ~♪」
「うわぁカラフルだね。」
色とりどりの果物が並べられた露店にしゃがみ込み麗奈は呟く。
「お嬢さん食べられますか?」
店番をしているのか、年配の女性が野球ボールのような果物を1つ取ると麗奈に声を掛ける。
「味見出来るんですか?」
「はい、少々お待ちくださいね。」
ナイフを取り出し、慣れた手つきで果物を割ると、オレンジ色の果実が出て来る。
「はいどうぞ。」
「ありがとうございます。」
果物を受け取ると、麗奈は一緒に受け取ったスプーンですくい一口食べる。
「ん~~~~~~美味しい!リリも食べる?」
「たべますわぁ♪」
リリは姿を現し、麗奈のすくったスプーンに口を付ける。
「ん~♪甘いですわ~♪」
「お姉さんこれ下さい!」
女性は急に現れた妖精を見て、驚いたまま固まっていた。
「は?あ、はい、どれくらい買われますか?」
「この籠に入っているの全部ください!」
「はい!ありがとうございます!」
籠には2~30個ほど山盛りになっていた、それを指差す麗奈、受け取るとポイポイっとカバンに入れて行く、アイテムボックスになっているカバンに消える果物を女性はポカンとした顔で見ていた。
「チハル、酒が売っとるぞ。」
「お酒?どこ?」
ロイロに言われた方を見ると、立ち飲み居酒屋の様な店がある。
「立ち飲み?」
「どうじゃろうか・・・一杯いいか?」
「え゛ー!」
「儂が一杯くらいで酔わない事くらい知っとるじゃろ。」
「知ってるけどさー。」
「ルプ、行くじゃろ?」
「そりゃ行くだろ。」
「わっちもいくばい!」
「僕も!」
ペット達はロイロの後ろをゾロゾロと付いて行き飲み屋に入って行った。
「まったく。」
「チハルはロイロ達に優しいから。」
クスクスと笑いながら言うサフィーナ。
「色々やってくれるからね、我儘言うのもお酒の時だけだし、護衛さんも居るんでしょ?」
「えぇ、ただ紹介されてませんから、どの視線が護衛か分かりません、そもそもこのメンバーが目立ちすぎるんですよ。」
サフィーナは苦笑いしながら見まわす、そして歩いていると、建物の間に薄汚れた服を着た少年を見つける。
「スリなども多そうですね。」
「治安悪い?」
「いえ、良い方ですよ、フリエンツ王国の方が凄かったでしょう?」
「あー、あそこは海賊居たもんねー。」
千春もサフィーナの視線を追い、建物の隙間を見る。
「孤児なのかな。」
「孤児と言うよりもスラムの者でしょう、独特のコミュニティを持っていますから変に手は出さないでくださいね。」
「はーい、サフィーママー。」
千春は後ろ髪が引かれる気持ちを何とか切り離し、歩き出す。
「んー、一度目に入ると・・・やっぱり目に付くなぁ。」
所々に居る身なりが怪しい者を見ながら言う。
「チハルの世界ではこういった者は見ませんでしたね。」
「そうだね、ある程度救済措置もあるから、でもゼロではないし他の国には沢山居るよ。」
「気にしてもしょうがないですよ。」
「うん、分かってるけどね。」
「ユラちゃん、このフルーツ美味しいよ、ほらレンちゃんもおいでー。」
美桜は別の露店で試食しているフルーツを見せながら呼ぶ。
「こっちって試食とか有るの?」
「普通はしませんね、チハル達が良い所の者と分かっているからサービスしているんですよ。」
「あー、やっぱりそうなんだ、申し訳ないね。」
「その分買うでしょ?」
「もちろん!沢山買うよぉ!」
千春はそう言うと、皆が集まる場所に行く、そしてそのまま露店巡りを続けた。
----------------------
「どうだ?聖女と接触出来そうか?」
「教会からの護衛も見張っています、無理です。」
「そうか、やはり抜け駆けは無理か。」
何かしら企む男達は、報告した者から聞き、また考え出す。
「聖女を呼ぶか?」
「聖女をか?そうなるとあいつらも気付くだろ。」
「しかし、聖女と接触出来る機会を作るにはそれしかないだろう。」
「それに俺達は教会関係者だ、お伺いを立てるだけなら問題は無いだろう。」
「よし、手紙を送るぞ?」
「そうだな、聖女が来ればチャンスも有るはずだ。」
そう言うと男達はニヤリと笑い、手紙を書き綴った。
---------------------
「聖女様は?」
「はい、先程商業ギルドを出た後は露店巡りをしながら食材等を買われております。」
「何を買ったかは確認しているか?」
「書き留めております。」
「ふむ、今後、教国に教皇を戻す為にも女神様への供物の確立は絶対にしなければならない!」
カーディー枢機卿は拳を握りしめながら力説する。
「料理の得意な信者と助祭を連れてきました!」
部下の1人がそう言うと、女性を2人連れて来る。
「よし!あとはレシピを教えて頂き、女神様への料理を作るだけだ、頼むぞ2人とも!」
2人は頭を下げる。
「これで・・・これであわよくば私が次の教皇に!」
「そうなれば次の枢機卿は私に推薦して・・・・。」
「わかっている、もちろんだ、女神様の恩恵を受けたとは言え、成り上がりのデクスターが教皇というのが納得いかん、裏であ奴らも動いておるのは分かっている、しかし何も出来ないだろうからな!」
カーディーは勝ち誇ったように笑顔になる、そして部下達に言う。
「もうすぐ聖女様がお帰りになる!しっかりやるんだぞ!」
「「「「はいっ!」」」」
返事をすると、それぞれ持ち場に移動していく、それぞれの思惑を胸に抱きながら。
290
お気に入りに追加
2,578
あなたにおすすめの小説
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと
Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
気が付けば丸々とした令嬢でした。
ミント
ファンタジー
前世の記憶が戻った瞬間、婚約者に婚約破棄されてました。
でも私的には全然ショックじゃない!
むしろ私の体型がショックでした。
こんなに太ってるなんて許せない!
令嬢の私はダイエットします!
恋愛要素に繋がるかまだわからないためファンタジーにさせていただきました🙋♀️
皆様に役立つ?情報が入っているかもしれない小説です🙋♀️(本人談)
文の最後に私の呟き?入ってることがあります。
ご了承くださいm(_ _)m
浮気相手の面倒見ろとか寝惚けてるんですか? 撃ちますよ? 雷魔法。
隣のカキ
恋愛
私の婚約者は足りていないと貴族界隈で噂される程の人物。そんな彼が真実の愛を見つけたのだそうです。貴族にそんな言い訳は通用しません。第二夫人? 寝惚けているようなので目を覚まして差し上げます。雷魔法で。
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる