異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

文字の大きさ
262 / 1,170
連載

教国の思惑!

しおりを挟む
「チハルおねえちゃんこれなぁに?」
 ユラは露店の品を指差しながら問いかけて来る。

「なんだろうねぇ、鑑定・・・へぇ瓜かぁ、カボチャの親戚っぽいね。」
「おいしい?」
「どうだろう、試しに買ってみよう。」
 千春は並べられた瓜を数個買うと、次の露店を見て回る。

「レナ!果物ですわぁ~♪」
「うわぁカラフルだね。」
 色とりどりの果物が並べられた露店にしゃがみ込み麗奈は呟く。

「お嬢さん食べられますか?」
 店番をしているのか、年配の女性が野球ボールのような果物を1つ取ると麗奈に声を掛ける。

「味見出来るんですか?」
「はい、少々お待ちくださいね。」
 ナイフを取り出し、慣れた手つきで果物を割ると、オレンジ色の果実が出て来る。

「はいどうぞ。」
「ありがとうございます。」
 果物を受け取ると、麗奈は一緒に受け取ったスプーンですくい一口食べる。

「ん~~~~~~美味しい!リリも食べる?」
「たべますわぁ♪」
 リリは姿を現し、麗奈のすくったスプーンに口を付ける。

「ん~♪甘いですわ~♪」
「お姉さんこれ下さい!」
 女性は急に現れた妖精を見て、驚いたまま固まっていた。

「は?あ、はい、どれくらい買われますか?」
「この籠に入っているの全部ください!」
「はい!ありがとうございます!」
 籠には2~30個ほど山盛りになっていた、それを指差す麗奈、受け取るとポイポイっとカバンに入れて行く、アイテムボックスになっているカバンに消える果物を女性はポカンとした顔で見ていた。

「チハル、酒が売っとるぞ。」
「お酒?どこ?」
 ロイロに言われた方を見ると、立ち飲み居酒屋の様な店がある。

「立ち飲み?」
「どうじゃろうか・・・一杯いいか?」
「え゛ー!」
「儂が一杯くらいで酔わない事くらい知っとるじゃろ。」
「知ってるけどさー。」
「ルプ、行くじゃろ?」
「そりゃ行くだろ。」
「わっちもいくばい!」
「僕も!」
 ペット達はロイロの後ろをゾロゾロと付いて行き飲み屋に入って行った。

「まったく。」
「チハルはロイロ達に優しいから。」
 クスクスと笑いながら言うサフィーナ。

「色々やってくれるからね、我儘言うのもお酒の時だけだし、護衛さんも居るんでしょ?」
「えぇ、ただ紹介されてませんから、どの視線が護衛か分かりません、そもそもこのメンバーが目立ちすぎるんですよ。」
 サフィーナは苦笑いしながら見まわす、そして歩いていると、建物の間に薄汚れた服を着た少年を見つける。

「スリなども多そうですね。」
「治安悪い?」
「いえ、良い方ですよ、フリエンツ王国の方が凄かったでしょう?」
「あー、あそこは海賊居たもんねー。」
 千春もサフィーナの視線を追い、建物の隙間を見る。

「孤児なのかな。」
「孤児と言うよりもスラムの者でしょう、独特のコミュニティを持っていますから変に手は出さないでくださいね。」
「はーい、サフィーママー。」
 千春は後ろ髪が引かれる気持ちを何とか切り離し、歩き出す。

「んー、一度目に入ると・・・やっぱり目に付くなぁ。」
 所々に居る身なりが怪しい者を見ながら言う。

「チハルの世界ではこういった者は見ませんでしたね。」
「そうだね、ある程度救済措置もあるから、でもゼロではないし他の国には沢山居るよ。」
「気にしてもしょうがないですよ。」
「うん、分かってるけどね。」
「ユラちゃん、このフルーツ美味しいよ、ほらレンちゃんもおいでー。」
 美桜は別の露店で試食しているフルーツを見せながら呼ぶ。

「こっちって試食とか有るの?」
「普通はしませんね、チハル達が良い所の者と分かっているからサービスしているんですよ。」
「あー、やっぱりそうなんだ、申し訳ないね。」
「その分買うでしょ?」
「もちろん!沢山買うよぉ!」
 千春はそう言うと、皆が集まる場所に行く、そしてそのまま露店巡りを続けた。


----------------------


「どうだ?聖女と接触出来そうか?」
「教会からの護衛も見張っています、無理です。」
「そうか、やはり抜け駆けは無理か。」
 何かしら企む男達は、報告した者から聞き、また考え出す。

「聖女を呼ぶか?」
「聖女をか?そうなるとあいつらも気付くだろ。」
「しかし、聖女と接触出来る機会を作るにはそれしかないだろう。」
「それに俺達は教会関係者だ、お伺いを立てるだけなら問題は無いだろう。」
「よし、手紙を送るぞ?」
「そうだな、聖女が来ればチャンスも有るはずだ。」
 そう言うと男達はニヤリと笑い、手紙を書き綴った。


---------------------


「聖女様は?」
「はい、先程商業ギルドを出た後は露店巡りをしながら食材等を買われております。」
「何を買ったかは確認しているか?」
「書き留めております。」
「ふむ、今後、教国に教皇を戻す為にも女神様への供物の確立は絶対にしなければならない!」
 カーディー枢機卿は拳を握りしめながら力説する。

「料理の得意な信者と助祭を連れてきました!」
 部下の1人がそう言うと、女性を2人連れて来る。

「よし!あとはレシピを教えて頂き、女神様への料理を作るだけだ、頼むぞ2人とも!」
 2人は頭を下げる。

「これで・・・これであわよくば私が次の教皇に!」
「そうなれば次の枢機卿は私に推薦して・・・・。」
「わかっている、もちろんだ、女神様の恩恵を受けたとは言え、成り上がりのデクスターが教皇というのが納得いかん、裏であ奴らも動いておるのは分かっている、しかし何も出来ないだろうからな!」
 カーディーは勝ち誇ったように笑顔になる、そして部下達に言う。

「もうすぐ聖女様がお帰りになる!しっかりやるんだぞ!」
「「「「はいっ!」」」」
 返事をすると、それぞれ持ち場に移動していく、それぞれの思惑を胸に抱きながら。






しおりを挟む
感想 3,901

あなたにおすすめの小説

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。

7歳の侯爵夫人

凛江
恋愛
ある日7歳の公爵令嬢コンスタンスが目覚めると、世界は全く変わっていたー。 自分は現在19歳の侯爵夫人で、23歳の夫がいるというのだ。 どうやら彼女は事故に遭って12年分の記憶を失っているらしい。 目覚める前日、たしかに自分は王太子と婚約したはずだった。 王太子妃になるはずだった自分が何故侯爵夫人になっているのかー? 見知らぬ夫に戸惑う妻(中身は幼女)と、突然幼女になってしまった妻に戸惑う夫。 23歳の夫と7歳の妻の奇妙な関係が始まるー。

離婚したいけれど、政略結婚だから子供を残して実家に戻らないといけない。子供を手放さないようにするなら、どんな手段があるのでしょうか?

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 カーゾン侯爵令嬢のアルフィンは、多くのライバル王女公女を押し退けて、大陸一の貴公子コーンウォリス公爵キャスバルの正室となった。だがそれはキャスバルが身分の低い賢女と愛し合うための偽装結婚だった。アルフィンは離婚を決意するが、子供を残して出ていく気にはならなかった。キャスバルと賢女への嫌がらせに、子供を連れって逃げるつもりだった。だが偽装結婚には隠された理由があったのだ。

【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。  天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。  学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。

木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。 彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。 しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について

国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”  人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。