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手作りどら焼き!

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「おっけー、あとは小豆の熱を取って出来上がりね。」
「はい、メモ出来ましたので大丈夫ですね。」
 千春はサフィーナにメモを取らせながら餡子を作り上げる。

「砂糖がアズキの半分の量というのはどうなんですか?」
「それ甘さ控えめで作ったんだよ。」
「・・・嘘でしょ?」
「マージーデー、普通に作るなら砂糖は同量で作るんだよ。」
「甘くするためにですか?」
「んー、砂糖は保水と防腐効果があるんだよ、しっとりして腐りにくい為だね。」
「甘いのにも理由があるんですね。」
「そ、まぁ一番は美味しくする為だけどね、サフィーこの餡子冷やしてもらっていい?」
「はい。」
 サフィーナは作り上げた餡子の鍋に手をかざし氷魔法で冷やしていく。

「それじゃ試食用に少し取っておこう、あとはそのレシピとセットで渡せば大丈夫だね。」
「はい、入れ物はどうします?」
「大丈夫だよ、密閉容器あるから。」
 千春は100均で売っているガラスの容器に餡子を詰める。

「よし!終わり!」
「こちらの白い豆は?」
「それは白あんにする方だし、一晩水に浸けないとダメだから作るとしても明日だね。」
 大きな鍋に水を張って入れた乾燥インゲン豆を見ながら言う。

「よし、餡子で何か作るかな、そろそろお昼だし。」
 千春は餡子を見ながら呟く。

コンコン。

「誰か来ましたね。」
「誰だろ。」
「1人はユラ様だと思いますが、数人居ます。」
 サリナはそう言うとすぐに扉の方へ行き確認する。

「チハル様、ユラ様とお友達が来られております。」
「友達?入ってもらって。」
「はい。」
 サリナは返事をするとユラ達を中へ招き入れる。

「チハルおねえちゃん!」
「ユラーどうしたのー?」
「おともだちが来てくれたの!」
「あ~、あの時の子達かな?」
 千春はそう言うと男の子2人と女の子1人を見て微笑む。

「イーレン・ゴールマンでございます、チハル王女でんか。」
 イーレンは可愛いドレスのスカートを軽く摘まみカテーシーで挨拶をする。

「シュウラス・ウォーレスです、チハル王女でんか。」
 背筋を伸ばしシュウラスは頭を下げる。

「ケンブリット・ダグーレンと申します、チハル王女殿下。」
 足を綺麗に揃え直立し軽く頭を下げながら挨拶をするケンブリット。

「はい、ユラのおねぇちゃんのチハルだよー、よろしくね、あ、呼ぶときはチハルおねえちゃんで。」
 ニコニコしながら千春はイーレン達に答える。

「おねえちゃん、甘いにおいするー。」
「うん、甘いお菓子作ってたからねー、そうだ、ユラ食べる?」
「たべる!」
「おっけ~♪、ユラ、友達の事なんて呼んでる?」
「レンちゃん、シュウくん、ケンくんだよ。」
「そっか、レンちゃん、シュウ君、ケン君お菓子作るからそこに座って遊んでてね。」
 お菓子を聞き、イーレン達は目をキラキラさせながら返事をし、ソファーに座る。

「さ~て、何作るかな。」
 千春は腕まくりをし、餡子を見ながら呟く。

「何が作れるの?」
 サフィーナも腕まくりをし、千春の横に立つ、サリナはユラ達にお茶を入れている。

「色々作れるけど、おこちゃま達だし、食べて汚れない方がいいよね。」
「そうですね、チハルが怒らなくても親に叱られるかもしれません、まぁ仮に汚れても私が洗浄魔法で綺麗にしますから。」
「便利だなー洗浄魔法、でも貴族の子も大変だぁ、よし、とりあえずどら焼き作るか、サフィー、フライパン温めて。」
 千春はアイテムボックスからホットケーキミックスを出し、ミルクと玉子を入れ、ささっと混ぜ合わせる。

「チハル、フライパンの準備出来たわよ。」
 サフィーナはすぐにフライパンを温め準備していた。

「それじゃどら焼きサイズの小さなホットケーキを作るね。」
「ホットケーキに挟むのがどら焼き?」
「違うけど、簡単に出来るからね。」
 お玉に軽く生地を掬いフライパンに流していく。

「プツプツ気泡が出たらひっくり返してね、直ぐ焼けるから。」
「はい。」
 フライ返しを持ったサフィーナはフライパンを見つめながら言う。


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「ユラ、チハルおねえちゃん料理するのか?」
「うん!すっごいおいしい料理つくってくれるの!」
「王女でんかなのに?」
 ケンブリットは不思議そうに言うと、イーレンも頭を横に傾けながら言う。

「僕聞いた事あるよ、王都のおいしい料理は王女でんかが作ったんだって。」
「俺も聞いた事はあるさ、でも・・・なぁ?」
「食べたらわかるよ!おかしもおいしいんだから♪」
 部屋の向こうから流れて来る甘い匂いを嗅ぎながら、4人は話す。

「お、知ってる気配だと思ったらお前たちか。」
「ルプ様!」
「元気そうだな。」
 ルプは庭から入って来ると、ユラとイーレンが立ち上がりルプに抱き着く。

「甘い匂いがしてんなぁ餡子が出来たのか。」
「あんこ?」
「あぁ、甘いお菓子だ。」
「ルプ様!ロイロ様は?」
「ロイロか?多分寝室で寝てるぞ、酒呑んで良い気分だと言いながら行ったからな。」
「そっかぁ。」
 ケンブリットは少し残念そうに呟く。

「ケン君またロイロ様に乗せてもらいたかったんでしょ。」
「そ・・・そうだけど。」
「僕も・・・。」
「もう酒も抜けてんだろ、起こしてやろうか?」
「いえ!大丈夫です!」
 ケンブリットは残念そうにしながらもルプに断る。

「はーいどら焼き出来たよー、ん?どうしたの?」
「な!なんでもないです!」
「そう?はい、出来立てのどら焼きだよー。」
 千春はそう言ってテーブルに皿を置く。

「わぁ!美味しそう!」
「チハルおねえちゃん、どらやき?」
「うん、餡子を手作りしたからね、作ってみたから食べてみて。」
((・・・・・))
「・・・あー、アイトネー。」
『はーい!チハル!呼んだ!?』
「気配を送るのやめてくんない?w」
『・・・気のせいじゃない?』
 目を逸らしながらアイトネは千春に答える。

『可愛いお客さんが居るわね、こんにちは、アイトネよーよろしくね♪』
「女神様ですか!?」
 急に現れたアイトネにイーレンが問いかける。

『そうよー、ユラと仲良くしてあげてね♪』
「「「はい!」」」
「ほら、どら焼き食べなー。」
「「「「『いただきまーす!』」」」」
「おいひい!」
「あまーい!」
「おいしいです!」
「・・・・もぐもぐもぐ」
『美味しいわ!チハル!これよこれ!』
 4人と1柱は美味しそうにどら焼きを頬張る。

「アイトネ、餡子のお菓子他に食べたいのある?」
『羊羹って作れる?』
「出来るよ、サフィーがいるからすぐ出来るし。」
『やった!』
「それじゃ作って来るよ・・・あれ?ロイロはまだ寝てんの?」
「あぁ、寝てると思うぞ。」
 ルプはユラからどら焼きを貰いながら答える。

「起こすか。」
 千春は寝室に行くと、相変わらず床で寝ているロイロにどら焼きが出来たと言って起こす、そして厨房に戻り羊羹作りを始めた。





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